文化放送HPへ 番組審議会
 

4月24日に行われた第447回文化放送番組審議会について御報告いたします。

議題は今年3月11日放送の報道スペシャル「もう一度逢えるかな〜高田高校1年2組」です。今回の企画は、アーサー・ビナード氏のもとに、陸前高田で被災した方から一通の手紙が届いたことをきっかけに実現しました。アーサー氏は震災前の2007年に、甚大な津波被害を受けた岩手県立高田高等学校で詩作の授業を行ったことがあり、縁あってその10年後の2017年にも同校で授業を行いました。
番組ではアーサー氏が当時の思い出を語るとともに、生徒達との再会を通じて陸前高田の今の姿と復興に向けた取り組みなどを伝えました。そして番組終盤には、午後2時46分から行われた震災追悼式での1分間の黙とうを生中継しました。

では、審議委員の意見の概要です。

○ 「風化というのは隠されてきたものと向き合う事で、消えることではない」というアーサーさんの言葉が心に沁みこんで来た。声も人柄が出ていてとても良い。多くのリスナーに聴いて頂くことは難しいかもしれないが、こういう番組は証言を残すという深い意味があり、価値があると思う。今だから話せる当時の気持ちというところにフォーカスして、過剰な演出が無いのも良い。

○ 実際に体験した方でないと分からない感じが全体に出ていて、又それを背負いながら生きる姿を改めて確認も出来、良い番組だ。とても大事な番組だから予定調和的になって、なかなか軌道をはみ出せないように番組を作っている不自然さを少し感じた。もう少し違う見方を入れ込んだら、アーサーさんの取り組み方の意味などが見えてくるのではないかと思った。

○ 風化という言葉を一本軸にして、現実に生きている我々人間と、長い時間軸で地球というものが変わっていく事について問いかけても良かったかもしれない。アーサーさんは声が良いだけでなく息が聞こえてくる。独特の世界に引き込まれる語りの良さがあり、こういう番組は続いて欲しい。途中で考え込んでも良いので、その間も活かしながら1人しゃべりにすると、もっと深まる部分があったかもしれない。

○ アーサーさんはインタビューの達人で、そこをとても上手く活かした企画だ。相手に対する謙虚さも好感が持てる。この姿勢が、色々話を聞き出すことに繋がっているのであろう。現地での録音をもう少し入れた方が、リアリティーを感じる事が出来たかも知れない。内容が盛りだくさんで消化不良の部分もあり、少しトピックスを減らして深く掘り下げても良かったのではないかと感じた。

○ 静かに聴かせてくれる良い番組だ。風化には「見えないものが見えてくる」という意味がある事にも気づくことが出来た。アーサーさんの上手な聴き方、間の取り方で取材者皆様の言葉が明快、明瞭になりとても聴き易かった。このように丁寧にインタビューする姿勢は大切だと思う。“逢いたい”ということがあまり取り上げられていなかったが、少し時間を置いて取り上げて頂きたいと思う。

○ コメントの端々に気にかかる、気に留めたい言葉がいくつかあった。「黙祷が終わった後、自分はどうするのかを考えるだろうか」という、押しつけがましくないアーサーさんの言葉も、心にドシンと入ってきた。今後も長期的な視点で番組制作をして欲しい。ラジオの大切さ、耳で聴くことで自分の心を感じる、それを自分なりに調理して人に伝えていくことの大切さも改めて感じた。

○ やや情緒的であり、オブラートで全体を包んでいる感じで少し物足りなさを感じた。音や画像を再現することを封印する風潮もある、妥当な作り方も非常に大事ではあるが、「風化させない」という事を考えるのなら、知らせていくのも使命ではないかと思う。黙祷の1分間は非常に印象的で画期的なアイデアだと思った。

 

7人の委員が、このようにのべました。
文化放送番組審議委員は、委員長・弘兼憲史、副委員長・加藤タキ、そして白井勝也、松永真理、荒川洋治、福本容子、吉野隆の各氏7名です。(発言はこの順番ではありません。)

平成30年5月21日
文化放送番組審議会事務局

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