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diary

2010年12月13日 沢山の雲

司馬遼太郎 『坂の上の雲』に熱中している。
といっても、一気に読む時間はないので、ちびちび進んでいる。
これがまたいい。
30代までは、「夜を徹してでも早く読み切る」に感動を覚えた。
50を超え、「楽しみこそ少しづつ」に魅力を感じるようになった。
年齢とは関係がなく、環境のなせる技かもしれぬ。
『坂の上の雲』とは、封建の世の中から目覚めたばかりの日本。
その道を登り詰めて行けば、やがては手が届くと焦がれた欧米的近代国家を
「坂の上にたなびく一筋の雲」に例えたという。
日本特有の精神と文化が、19世紀末の西洋文化に対しどのような反応を示したか。
時代は21世紀。
成熟社会という言葉を耳にして久しい。
我が子を見ていても、自分が同じ頃抱いていた夢や価値観は到底通用しない。
満ちあふれた社会。しかし精神的には何か不安定。
『道はあっても、登りなのか下りなのか、はたまたその道は正しい道なのか』
小説の中には、本来の夢とは違っても、生きていくため、時代が与えたと言うべき場で活躍する兄弟が出てくる。
『大道楽』と自身の使命を呼び、昼夜をそこに費やす。
時代は違えど心に刺さる言葉がたくさんある。
改めて名作の素晴らしさに感動している。
本は人生の栄養・・・そう思う。

写真
沢山の雲