今大会の見どころ

大学駅伝は再び戦国時代へ!?

前回大会、箱根駅伝三連覇と大学駅伝三冠を史上初めて同時に達成した青山学院大学。今季も“駅伝男”田村和希、“青トレの申し子”下田裕太を中心に分厚い選手層を誇り、優勝候補の筆頭として駅伝シーズンの開幕を迎えました。しかし、ふたを開けてみれば、スピード駅伝の出雲は2位、距離が延びて有利かと思われた全日本は順位を下げて3位に終わりました。青山学院の1強時代に“待った”をかけたライバルは1校ではなく、2校だったのです。出雲を制したのは黄金世代が2年生になり、スピードには自信がある東海大学。全日本を制したのは学生長距離界のエースに成長した鈴木健吾を中心に充実の布陣を揃えた神奈川大学でした。奇しくも、青山学院・原監督は全日本の直前、「このレースが分岐点になる」と語っていましたが、神大と東海、どちらか一方ではなく、両校に遅れをとるとは思ってもいなかったことでしょう。1区の出遅れがあったとはいえ、ほぼベストのメンバーで全日本を勝ちにいった結果で、思惑としては“裏”の分岐点となってしまったわけですから…。
第94回箱根駅伝。今大会で大学駅伝の勢力図はガラリと変わる可能性があります。
スピードランナーを数多く揃える東海大学は、長い距離に対応しきれないのでは? と見られる傾向にありますが、11月の上尾シティハーフマラソンでは、出場大学最多7人が63分台をマーク。距離への不安は払しょくされたと言っていいでしょう。
神奈川大学は「箱根を勝って大後監督を胴上げする」という目標に向かって、着実に階段を上っています。出雲では、エースの鈴木健吾を調整のために温存し、さらに敢えてピークを外した状態で挑んだ結果が7位。そして、全日本では、鈴木健吾をアンカーに据えた万全の状態で臨み優勝。この一連の流れは神大に大きな自信をもたらしました。20年ぶりの栄冠を掴んだ直後のメンバー全員が浮かれることなく「箱根に向けて…」と語っていたのが印象的で、油断はないと言っていいでしょう。
このほか、今大会の優勝争いに絡んできそうなチームは全日本1区・相澤晃、4区・山本修二らの好走で、6区の途中まで先頭を走り続けた東洋大学、上尾ハーフで日本人トップの片西景をはじめ、63分台を6人出した駒澤大学、エース・塩尻和也を中心に充実した陣容の順天堂大学、都大路優勝メンバーが最終学年となり、ニャイロ、永戸聖ら3年生も充実している山梨学院大学、出雲で3位に入り存在感を見せた日本体育大学、距離が長くなればなるほど自信がある早稲田大学などなど、まさに戦国駅伝の様相です。
キーとなるのはやはり、特殊区間の『山』。
4連覇がかかる青山学院は下りに自信があります。「戦国駅伝」の予想を覆し、青山学院が連覇を達成するのか。それとも、他校が優勝をもぎ取るのか…。最後まで気の抜けないレースになりそうです。
一方で、シード権争いは史上最高レベルになることが予想されます。優勝を狙うチームでさえ、一歩間違えれば転げ落ちる可能性があり、一つのミスが結果を大きく左右することになりそうです。前回の予選会で敗退。連続出場が途切れ、新たな歴史を刻み始める古豪・中央大学、力のある選手が実力を発揮すれば、優勝争いにも絡んでくるはずの中央学院大学、「私が来てから最も良いチーム」と指揮官・岡田監督が語る拓殖大学らの活躍にも注目です。