浜美枝のいつかあなたと

毎週日曜日
 9時30分~10時00分
Mr Naomasa Terashima Today Picture Diary

寺島尚正 今日の絵日記

2021年2月8日 長きにわたり

立春翌日の4日、関東地方に春一番が吹いた。
春一番は、立春から春分の日までの間に初めて吹く南よりの強い風で、
これまで最も早かった1988年の2月5日を1日上回り、
1951年に気象庁が統計を取り始めてから最も早い発表だ。
2月7日の日曜、東京都港区の最高気温は15度。
陽射しを浴びると春を感じる暖かさだった。
「梅や水仙を見に行こうかな」
浜松町駅近くにある旧芝離宮恩賜庭園に行ってみた。
すると、臨時休園。
東京都が管理しているため、年末の12月26日から門を閉ざしたままなのだ。
こんな晴天の日、広々とした庭園で緑を眺めながら日光浴がしたかった。
未練がましく、木戸に近づいた。藤棚の下、水仙がひっそり咲いている。
「梅の花も見てもらえず寂しく咲いているのだろうな」
そう思いながら体を反転させたとき、いい香りが鼻に届いた。
「これは・・沈丁花の香りだ!」
嬉しくなって、再び庭園を覗き込む。
しかし白いブーケの様な花は確認できなかった。
「せめて、匂いで、その存在を気づいてほしかったのかしら」
途中で解除の可能性はあるものの、緊急事態宣言は3月7日までだ。
花の命は決して長くはない。
鳥や昆虫たちは、いつも通りに行動している。
そんな彼らは、人間が今まで経験したことのない生活をしている姿を
どんな思いで見ているのだろうか。
庭園内で野鳥が囀る。
春の陽はあくまでも優しかった。

長きにわたり
長きにわたり
閉ざされたまま
閉ざされたまま

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