第2回かもめ亭レポート

<第二回のトリを努めてくださったのは古今亭志ん輔師匠>

 小学館と文化放送が共催する『浜松町かもめ亭』の第二回公演が、2月15日(木)文化放送メディアプラスホールで開催されました。。
 今回の番組は
『たらちね』林家彦丸
『加藤孫六 出世馬喰』神田ひまわり
『二人癖』柳家三三
『幾代餅』古今亭志ん輔というものでした。
トップバッターの彦丸さんは、注目の二つ目さんで、歌舞伎俳優の尾上菊之助によく似ている(?)と評判の二枚目!今回は、言葉遣いが丁寧すぎる女房と、江戸っ子の新婚生活を描いた『たらちね』を演じてくださいました。「たらちね」は和歌の約束事で「母」にかかる枕詞ですが、この噺の中では、お嫁入りした清女さんが「たらちねの胎内を出でしときは鶴女、鶴女と申せしが・・・」と奇妙な自己紹介をします。さらっとした上品な味わいの高座で今夜はスタートしました。
続く神田ひまわりさんは講談界の注目若手。きりっと引き締まった語りで『加藤孫六 出世馬喰』という噺を聞かせてくださいました。16世紀に活躍した戦国武将、加藤嘉明。幼名を孫六と言い、幼くして父に死に別れたあとは馬喰の下働きをして暮らしたと史実にも残っています。講談のストーリーでは、孫六自身が、機転を利かせて馬喰に弟子入りするエピソードが描かれ、生活力あふれる楽しい噺になっています。孫六の聡明さ、純粋さをひまわりさんがくっきりと描いてくれました。
 続く三三さんは、枕で某食品会社のマスコット・キャラクターの意味について分析をしたりして、笑わせてくれました。「あの会社のマスコット、考えてみるとお客様に舌を出しているんですよ」。噺は「二人癖」。ひまわりさんの講談からは一転して、江戸っ子二人のたわいもない勝負(先に口癖を言ってしまったほうが負けという遊び)を描いた落語らしい落語で観客を落語世界にさそってくれました。
 トリは大看板、古今亭志ん輔さん。搗米屋に奉公する職人と、傾城幾代太夫のなれそめを描いた「幾代餅」で会を見事に締めくくってくださいました。搗米屋の職人が大名道具と呼ばれる位の高い花魁、幾代太夫に片思いし、ついに結ばれるという物語のこの噺。ともすると重くシリアスになりがちな物語を、志ん輔さんはからっと明るく聴かせてくださいました。
 戦国武将の噺から、江戸っ子の遊び、そして職人の純愛物語まで。第二回の『浜松町かもめ亭』は幅広い話芸をお楽しみいただけたと思います。次回、三月公演もぜひご期待下さい。
( ※ 「幾代餅」に関しまして、主人公の職業を「餅屋の職人」、傾城の名前を「高尾太夫」と間違えておりました。正確には搗米屋の職人が、所帯を持って餅屋を開くというストーリーでした。また傾城の名前は似た噺「紺屋高尾」と混同していました。当サイトをご覧頂いた方よりご指摘を頂きました。有り難うございます。)

今回の高座は、近日、落語音源ダウンロードサイト『落語の蔵』で配信予定です。どうぞご期待下さい。



Copyrightc2006,Nippon Cultural Broadcasting Inc. All right reserved.   

JOQRトップへ