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PART1 くにまる東京歴史探訪
ONAIR REPORT
10月31日(月)〜11月4日(金)今週のテーマは「ブックタウン神保町」
読書の秋にちなみまして、世界一の書店街である千代田区・神田神保町かいわいをご紹介します。


10月31日(月)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
今日は、「神保町のなりたち」をひもときます

車に乗って靖国通りを東から西へ走っていくと、須田町(すだちょう)、淡路町(あわじちょう)、そして小川町(おがわまち)を過ぎるあたりから、ぽつぽつと個性的な本屋さんが姿を現します。そして駿河台下から神保町、専大前にかけて、左側に見えるのは見渡す限りの本屋さん本屋さんまた本屋さん。神田神保町かいわいにはおよそ160軒の古書店、30軒の新刊書店が集中しており、売り場面積が合計5,000坪、在庫1,000万冊という、文字通り、世界一のブックタウンです。

「神保町」という名前は、江戸時代、このあたりに「神保伯耆守(じんぼほうきのかみ)」という旗本の広大なお屋敷が広がっていたことにちなんでいます。
明治維新後、このあたりには東京大学の前身である東京開成学校を始めとして、明治、中央、一橋、法政、専修そして日本大学といった、日本を代表する大学が続々と開校しました。そこで学ぶ学生を相手に、専門書を扱う書店が次々に開店し、次第に今日のような書店街が生まれてきた、という次第です。貧しい学生たちにとって、少しでも安く本を手に入れたい…というのは、まさに切実な願いだったのでしょう。このあたりは、1945年(昭和20年)、東京のほとんどが焼き尽くされたアメリカ軍による空襲を奇跡的に免れたため、今でも戦前からの重厚なたたずまいを見せるビルが、そこかしこに残されています。

さて、神保町の秋の風物詩として親しまれているのが、毎年恒例の「神田古本まつり」です。始まったのが1960年(昭和35年)だそうですから、今回で46回目を迎えた伝統あるフェスティバル。今年も11月3日の「文化の日」まで、にぎにぎしく開催されますが、「古本まつり」のメイン・イベントといえば、やはり「青空掘り出し市」。神保町交差点付近と、駿河台下に近い三省堂書店付近、2つの会場に所狭しと本が並べられ、全国、いえ、全世界から押し寄せる本好きな人々が鵜の目鷹の目。掘り出し物を求め、目を血走らせながらワゴンに群がっています。長年探し求めた一冊を、ようやく発見したときの喜びは、こたえられないものなんでしょうね。

小川町の交差点から坂を上っていくと、ほどなく左側に見えてくるのが、ビザンチン様式の美しい建築、東京復活大聖堂教会、通称「ニコライ堂」。
本探しに疲れた人々の耳に、おごそかな鐘の音が響き渡ります。



11月1日(火)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
今日は、「古書店今昔物語 その1」をご紹介します。

「神田古本まつり」開催中の、神田神保町かいわいには、戦前からの歴史を誇る、由緒ある古書店が立ち並んでいます。明治時代、このあたりに林立した大学の学生さんたちを相手に、書店街が発達したのですが、では、どんな本を取り扱っていたのか…というと、当初は法律関係の本ばかりだったようです。
というのも、当時、日本を近代化するために、一刻も早く法律を整備することが望まれており、あたりの大学も、ほとんどが「法学部」中心だったから。そんな歴史に忠実…と申しましょうか、今でも法律書をメインに扱う、創業以来、およそ90年という歴史を誇る古書店、厳松堂(がんしょうどう)図書の現役古書店主、おん年82歳の山田一郎さんにお話を伺いました。

厳松堂があるのは、神保町のいちばん書店が集中した、駿河台下から神保町交差点にかけての靖国通り南側のエリア。反対側の歩道に立って見回してみると、本当に見渡す限り、本屋さんだらけ。初めてこの街を訪れた人々は、この風景を見て、誰もが度肝を抜かれるはず。本好きなら、うれしさのあまり腰が抜けてしまうのではないでしょうか。
もっとも、靖国通りのこのあたりが神保町の中心になったのは大正時代以降のことで、それ以前は、駿河台下の五叉路から、西へ向かって伸びていく現在の「すずらん通り」がメインストリートだったそうです。

明治時代、書店街が出来始めたころは、靖国通りもすずらん通りも同じくらいの幅でしたが、市電が通ることになって靖国通りが拡張されたため、削られた反対側にあった店も、次々とこちら側に移転。本当にぎっしりと書店が立ち並ぶことになって、このあたりの方が表通りになっていった、ということのようです。
それにしても、道路の南側に面しているということは、つまり、店は北向きということ。何を好きこのんでわざわざ暗い北向きに店を構えるかといえば、それは本の日焼けを防ぐためなんだとか。さらに、北向きは南向きに比べると家賃が安いので、一石二鳥。物事にはなんでも、合理的な理由があるものなんですね。



11月2日(水)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
今日は、「古書店今昔物語 その2」をご紹介します。

「神田古本まつり」でにぎわう、神田神保町かいわい。古本屋さんといえば、あの独特の香りに包まれて、時にはホコリに悩まされながら、埋もれた宝を求めて本の山をじーっと眺める、そんなイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
ところが最近、この神保町にもニューウエーブが台頭しています。映画や演劇、音楽関係の本を専門に扱うお店は以前からありましたが、最近では60年代以降のロックやポップス、映画やテレビなどに関する、いわゆる「サブカルチャー」関連の雑誌や書籍、さらにはツアーパンフやポスターといったグッズまでも取り扱う、いわば「若者向き」のお店が次から次へと開店。今ではひとつの大きな流れを作り上げるまでに成長しているんです。
また、それにつれてこの神保町を訪れるお客さんのほうも少しずつ低年齢化していて、洋書などを扱う、オシャレな古本屋さんも増えてきて、百年の歴史を誇る本の町が、ゆっくりと、その姿を変えていこうとしています。そんなニューウエーブ古本屋さんの、いま一番の売れ筋といえば、おなじみ「クイーン」。

70年代に青春を過ごしたかつてのロック少女たちはもちろん、90年代、フレディ・マーキュリーが亡くなったあとに、はじめてその存在を知った現役ロック少女たちも、いちばん熱かったころの彼らの足跡を求めて古本屋さん周り。当時の日本公演を詳細にレポートした雑誌や、ポスターなどを手にしては、トリハダを立てて感動しているとか。
もちろん、クイーンだけではありません。プレスリー、ビートルズに始まって、ベイシティ・ローラーズ、キッスといった、かつてのロック・アイドルたちを特集した雑誌を探す女性たちや、シカゴ、グランド・ファンク、ディープ・パープルといったバンドに夢中になったロック中年たちが、失われた夢を探しにこの神保町へと集まってくるんです。最近、いろいろな出版社から、大人向けのロック雑誌が新たに発刊されているのも、こうした動きをにらんでのもの。

百年前には、近代日本を作り上げるため法律書を探すカタ〜い学生たちでにぎわっていたこの町が、一世紀を経たいまでは、40年前には「不良の音楽」と呼ばれていたロックによって静かに盛り上がっている。神保町という不思議な空間の懐の深さを感じずにはいられません。



11月3日(木)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
コーナーはお休みしました。

11月4日(金)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
最終日の今日は、「神保町でほっと一息」をご紹介します。

在庫1,000万冊の本の海を泳ぎ疲れて、その日の収穫を両手いっぱいのバッグに詰めた神保町フリークたち。彼らにとって一番ドキドキする瞬間は、雰囲気のいい喫茶店に入って、薫り高いコーヒーを飲みながら、買ったばかりの本のページをめくるひととき。神保町には、そんなくつろげる空間を提供してくれる喫茶店の名店が数多く存在しています。ファストフード系のコーヒーショップに押されて、町の喫茶店がどんどん姿を消している今日このごろ。もちろん、神保町とて例外ではありませんが、それでもまだまだ、この町にはコーヒーが取り持つ、お店とお客さんのつながりがしっかりと生きています。
中でも有名な一軒が、地下鉄神保町駅の階段を上がると、すぐ目の前にある山小屋風の建物「さぼうる」。スペイン語で「味」という名前をもつこちらのお店は、1955年(昭和30年)の開店だといいますから、ことしでめでたく50周年を迎えました。ドアを開けると、いつもニコニコとお客さんを迎えてくれる名物店主の鈴木文雄さんに、お話を伺いました。

本の山を抱えて、やっとたどりついた喫茶店。ほんとうに、ホッとする空間がここにはあるんですね。この「さぼうる」は、我らが「純喫茶」のマスター、谷村新司さんもよくお見えになるんだそうですよ。

さて、くつろぐだけではものたりない、動き回ればやっぱりおなかがへる…という皆さん向けに、神保町にはおいし〜い食べ物もたくさんあります。
「さぼうる」の昔ながらのナポリタンもお勧めですが、やはり神保町といえば「カレー」。共栄堂、ボンディ、ペルソナ、まんてん、エチオピア…といった、カレー好きなら誰もがその名前を聞くだけでドキドキする名店がそこかしこにあります。本を探すだけではなく、カレーや、そのほかのいろいろなオイシイものを食べ歩くのも、神保町ならではの楽しみのひとつです。ここは学生の町でもあるだけに、どの店もボリュームたっぷりなのも食いしん坊には、うれしいところであります。



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