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PART1 くにまる東京歴史探訪
ONAIR REPORT
3月27日(月)〜3月31日(金)今週のテーマは、「大学ミュージアムめぐり」
収集した貴重な資料を展示、公開しているユニークな大学の博物館をご紹介します。


3月27日(月)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
初日の今日は、「日本工業大学 工業技術博物館」ご紹介します。

日本工業大学工業技術博物館は、前身の東京工科学校の創立80周年記念事業として、1987年(昭和62年)に開設されました。この博物館には、300台以上の工作機械が展示されています。文句なく日本一!で、展示物のおよそ70%が動かせる状態になっているのも、素晴らしいことです。

工作機械は、「マザー・マシン」と呼ばれるように、機械を作る機械で、もしこれがなければ、電気製品も自動車も、あらゆる工業製品が作れないのです。ここでは、明治から昭和の時代まで、日本の工場で使われていた機械を、年代別に展示してあるので、工作機械の発明から、改良や工夫が加えられてきた歴史を知ることが出来ます。

この博物館には、月に1日だけ大活躍している、SL、蒸気機関車があります。115年前にイギリスで作られ、旧国鉄や大井川鉄道で長く働いた機関車で、大井川鉄道から寄贈され、1993年(平成5年)から、毎月第三土曜日に運転されていて、毎回、親子づれやカメラマンで賑わっています。運転するための準備は大変なもので、蒸気を作るために必要なお湯はおよそ5トン、沸かすのにはおよそ4時間もかかるそうです。重厚で、変わらぬ人気のSLも、工作機械が発明されたおかげで生まれたので、ものづくりの歴史を保存している博物館にピッタリ…というわけです。
博物館の一角に、昭和初期に東京の下町にあった町工場が再現されていて、70年程前の、活気のある町工場にタイムスリップした気分にさせてくれます。もちろん、機械は当時のもので、どれもちゃんと動きます。

最近、「ものづくりの原点にかえれ!」と言われます。工作機械の歴史を勉強するには絶好の場所として、他の大学の学生や、いろいろなメーカーの新人研修の利用も増えているそうです。日本工業大学工業技術博物館の最寄り駅は、東武伊勢崎線の東武動物公園駅です。休館日は日曜と祝日、開館時間は、午前9時半から午後4時までです。



3月28日(火)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
今日は、「武蔵野音楽大学 楽器博物館」をご紹介します。

練馬区羽沢(はざわ)のキャンパスの一角に、楽器博物館があります。収蔵品はおよそ5000点と、楽器のコレクションでは日本一で、50年以上も前から集められてきたものを中心に、1967年(昭和42年)に開館しました。膨大な楽器コレクションが、種類別・年代別に整理され展示してあります。「音の出るもの」「楽器に関係のあるもの」は、時代と場所を問わず収集の対象にした…といわれるほど幅広い資料が収められていて、コレクターから寄贈されたものも加え、充実ぶりは世界有数といわれます。

なかでも、鍵盤楽器と管弦楽器のコレクションは必見です。ピアノの数はおよそ100台!で、その3分の1ほどは演奏できます。どれを取っても歴史を感じられるものばかりですが、19世紀のはじめに作られたグランドピアノについているベルは、当時、世界的に流行していたトルコ風音楽を効果的に演奏するためのものでした。モーツアルトが使ったと伝えられる携帯用のピアノや、ナポレオン3世の結婚祝いに、イギリスのヴィクトリア女王が贈ったピアノもあります。そのピアノは、ナポレオンが愛用した帽子の形をしていて、「ナポレオン帽子型ピアノ」と呼ばれています。

世界の民族楽器の展示にも、広いスペースがあてられていて、どんな音がするか分からない楽器もあります。たとえば、アフリカ・ザイールの楽器、スリット・ドラムは、大きな木をくりぬいて作られていて、通信にも使うそうです。世界にある楽器の種類は、すべての民族が独自の楽器を持っているので、調べようがないそうです。

さて、この博物館、現在は週に1日だけ公開されているのですが、4月からは、月曜日から金曜日の午前10時から午後4時までに、拡大されます。団体の場合は事前予約が必要ですが、説明や楽器の演奏も聴けるガイドツアーも行われます。楽器の大敵は湿気で、館内は1年を通して、湿度はおよそ55%に保たれているそうです。武蔵野音楽大学楽器博物館の最寄り駅は、西武池袋線の江古田駅です。



3月29日(水)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
今日は、「明治大学博物館」をご紹介します。

千代田区神田駿河台に、今年創立125周年を迎える明治大学があります。125周年事業の一環として建てられた建物のアカデミーコモンの地下に、明治大学博物館があります。それまで別々の施設だった「刑事」「商品」「考古学」の三つの博物館をまとめて、2004年4月に明治大学博物館としてスタートしました。

最初に出来たのは刑事博物館で、1929年(昭和4年)のことでした。きっかけは、当時ヨーロッパを視察したある教授が、ヨーロッパの大きな都市には必ず刑事博物館があるのを知り、働きかけて作り上げたそうです。当時の日本は関東大震災の直後で、古い街並みが消え、多くの文化財や貴重な資料が失われたばかりでした。法律学校として始まった明治大学の施設にふさわしい…と賛成する人が増えて、膨大な量の古文書や、十手などの捕物道具が集まったのです。

商品博物館は1951年、考古学博物館は1952年に開館しました。商品博物館は、日本の伝統工芸品の収集と展示に力を入れ、考古学博物館は、旧石器時代から古墳時代までの発掘調査で実績のある、明治大学考古学研究の成果を展示しています。なかでも、群馬県の岩宿(いわじゅく)遺跡から発掘された石器は、それまで知られていなかった石器時代を解明した貴重な出土品です。三つの部門を統合した明治大学博物館の収蔵品は、三十数万点と、125年の歴史が生み出した充実した施設です。

教職員や学生の研究に役立っているほか、将来は学芸員になりたい…という学生の実習の場としても使われています。明治大学は、都心にある有利さを活かして、学生だけでなく、社会人を対象にした各種講座や講習会を積極的に開いていますが、明治大学博物館も、持っている資料とスタッフを活用して、成果をあげているそうです。これからの社会の大きなテーマ、「生涯学習」の場としても、積極的に取り組んでいて、都心部の大学の試みとして注目されています。

学芸員の島田さんにお話を伺いました。
年間の入館者は、およそ4万5千人。展示を見るだけでなく、学芸員やボランティアの説明も受けられます。ぜひ、足を運んでください。明治大学博物館の最寄り駅は、JR・御茶ノ水駅、東京メトロ丸の内線・御茶ノ水駅、千代田線・新御茶ノ水駅です。この博物館は、夏休みと冬休みの時期以外は、土日、祝日も開館しています。開館時間は、午前10時から午後4時半までです。



3月30日(木)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
今日は、「東京農工大学工学部附属繊維博物館」をご紹介します。

東京都小金井市のJR中央線の線路沿いに広がる東京農工大学工学部附属繊維博物館のキャンパスに、日本にひとつだけの繊維博物館があります。明治維新後、日本が近代国家に成長できたのは、繊維産業のおかげでした。当時最大の輸出品は生糸で、品質の高い生糸を作り、輸出を増やすために作られた、蚕病(さんびょう・かいこの病気)試験場が大学の前身で、博物館の前身「参考品陳列場」が作られたのは、1886年(明治19年)で、1940年(昭和15年)に現在の場所に移ってきました。

ここには、日本の成長を支えた繊維産業の資料が保存されていて、昔懐かしい機織機(はたおりき)から、戦後まで使われていた紡績機まで、よく残っていたと思えるほどに保存展示されています。展示されている紡績機械の3割程は、ボランティア組織「繊維技術研究会」の会員によって、動かせる状態で保存されています。ガラ紡は、明治初期に日本人発明家・臥雲辰致(がうん・たっち)が考案した日本初の紡績機械で、動かすとガラガラと音を立てることからガラ紡績機、ガラ紡と呼ばれました。

糸の品質が劣るガラ紡ですが、最近では省エネの考え方や、味わいのある仕上がりで人気が回復してきています。豊田佐吉が23年間の研究の末に発明した豊田自動織機(とよだじどうしょっき)は、作業の効率を大幅に向上させた発明で、現在、動く状態で展示されているのは、世界に3台しかありません。この機械の特許をイギリスのメーカーにライセンス契約した契約金が、車の研究に投入され、今日のトヨタ自動車を築いたのは有名です。ところで、繊維のもとになっている「糸」ですが、私たちが何気なく使っている言葉にもなってます。たとえば、縒(よ)りを戻す…と言います。他にも、海外でも有名な、江戸から明治にかけて錦絵コレクションや、500台を越すミシンのコレクションなど貴重な所蔵品があります。

繊維博物館の最寄り駅は、JR中央線の東小金井駅です。休館日は、日曜・月曜と祝日で、開館時間は午前10時から午後5時までです。なお、入館料は大人240円です。この博物館は、夏休みと冬休みの時期以外は、土日、祝日も開館していて、開館時間は午前10時から午後4時半までです。


3月31日(金)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
最終日の今日は、「早稲田大学演劇博物館」をご紹介します。

早稲大学のキャンパスの一角に、白壁に瓦屋根の、一風変わったヨーロッパ風の建物があります。これが、わが国に一つしかない演劇博物館で、建てられたのは1928年(昭和3年)、正式には、早稲田大学坪内博士記念演劇博物館といいます。文学、演劇、教育など、さまざまな方面で活躍した坪内逍遥が、収集した演劇資料を保存・公開するための博物館設立を思い立ったのは、あの関東大震災の直後でした。

早稲田大学文学部の設立者でもある逍遥の働きかけで完成したのが、この演劇博物館です。建物の外観は、シェイクスピアが活動した時代の16世紀に建設されたロンドンの劇場、フォーチュン座を模しています。建物自体が演劇資料になっていて、実際、この建物の正面部分にある舞台を使って、たびたび芝居が上演されています。

さて、創設者の情熱は、現在に受け継がれていて、「演劇」に関する物は、すべて集める…という方針は一貫しています。現在のコレクションの総数はおよそ数十万点!で、シェイクスピアに関する資料から、民族芸能、舞楽、能・狂言、歌舞伎、喜劇からミュージカルまで、集められています。役者の錦絵やブロマイドのコレクションでも、大学の博物館としては一番多いそうです。常設展示は半年に1回、展示替えが行われますが、それでも膨大な収蔵品の一部にしかなりません。そこで、資料のデジタル化も進め、画面上で閲覧できる工夫もされています。常設展の他に、年に数回、特別展が行われます。現在、1階で4月28日まで「六世中村歌右衛門展」が、また3階では、8月4日まで演劇集団「コンドルズ展」が開かれています。

博物館の建物は、完成からおよそ80年で、板張りの廊下や階段を歩くと、年輪を感じさせる音がします。でも博物館の常連さんは、「この音が、たまらなく良いんだよ」と嬉しそうにおっしゃるそうです。
学芸員の永井さんにお話を伺いました。

早稲田大学OBで、活躍されている小沢昭一さんや、松本幸四郎さんも学生時代は、演劇博物館の常連さんだったそうです。休館日は、祝日および連休となる日曜日で、開館時間は午前10時から午後5時までですが、火曜日と金曜日には午後7時まで延長されます。早稲田大学演劇博物館の最寄り駅は、東京メトロ東西線の早稲田駅です。



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