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PART1 くにまる東京歴史探訪
ONAIR REPORT
9月10日(月)〜9月14日(金)
今週のテーマは「職人の技 東京の伝統工芸」。
今週は、江戸時代から名高い地名でございます麹町を1週間にわたって取り上げてまいります。

9月10日(月)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
今日は、「ちょうちん作り」をご紹介します。

台東区駒形、駒形橋の近くに、ちょうちん専門店 大嶋屋恩田、があります。創業は、江戸時代、安政年間、およそ150年も前のことでした。ちょうちんづくりの六代目、恩田修さんは、29才、江戸の伝統を伝えるちょうちんづくりに励んでいます。
ところで、おなじみ「男はつらいよ」フーテンの寅さんに、こんなセリフがありました。
「はったはった、はって悪いは親父の頭、貼らなきゃ食えない提灯屋」
実は、江戸、そして東京の提灯づくりは、完全な分業になっておりまして、貼らないんです。では、何をするのか・・・。文字と家紋を書くんです。印刷とは違いまして、手書きだけに一つ一つ微妙に仕上がりが違い、まさに手作りの味があるのが、江戸提灯なんです。江戸時代には実用品として盛んに利用された「ちょうちん」なんですが、現在は、どうなんでしょうか? 恩田さんに伺いました。恩田さんのお店から、都内一の観光スポット浅草の雷門まで、歩いて5分ほど、時折り、外国人のお客様や東京観光のお客様も立ち寄るそうです。
さて、「ちょうちん作り」一年のうちで、どの時期が一番忙しいのか、伺ってみました。それは、7月から8月まで・・・大変な忙しさ。都内のあちらこちらでお祭りがあり、盆踊りや花火大会、まさに猫の手も借りたいほどの忙しさだそうです。いまは9月です。忙しい時期が終わって、遅めの夏休みを取っている頃かも知れませんね。
提灯専門店・大嶋屋恩田さんの最寄り駅。東京メトロと都営地下鉄の浅草駅、都営地下鉄の蔵前駅、いずれも歩いて2分から5分程度。江戸通りに面しておりまして、外観からわかる提灯の飾りが目印です。

9月11日(火)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
今日は、「銅器作り」をご紹介します。
台東区の千束通り商店街を歩くと、規則正しい物音が聞こえてきます。
1924年(大正13)に創業した銅銀銅器店です。二代目の星野保さん、三代目の昇さんが仕事に励んでいる音です。仕事を始めた、おじいさんの銀次郎さん、始めた早々に大当たりした品物があります。それは「落とし」というもの。長火鉢や火鉢の内側に入れて使う灰の受け皿でございますが、これが売れに売れた。吉原や花柳界から売れ始め口コミで広がったようで、しばらくの間は「落とし」づくりに追われていたそうなんです。
さて、銅は加工がしやすく、熱が早く伝わることから、さまざまな品が作られております。星野さんの店でも、卵焼き器、やかん、なべ、急須など、いろいろなものが作られているんですが、銅製品の魅力・・・どんなところにあるのでしょう。銅製品づくり27年、今年50歳、三代目の星野昇さんにお話しを伺いました。
今日は、スタジオに完成品をお借りしてまいりました。卵焼き器です。銅製の卵焼き器は、熱が均等に伝わるので、ふんわりとした仕上がりの卵焼きが作れるそうなんですよ。お値段6300円と、少々高めではございますが、まさしく一生ものの道具になりそうですね。また、昔から銅には殺菌作用があることが知られておりましたが、近年、この特長が見直されています。
浅草寺の裏手にあたります千束通り一帯、昔ながらの味わいのある地域でございます。たまには、少し足を伸ばして、千束界隈を歩いてみてはいかがでしょう。さきほどの音が聞えてきたら、ぜひ、のぞいてみてください。銅銀銅器店です。

9月12日(水)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
今日は、「江戸指物」をご紹介します。

江戸時代。江戸には、大名や武士、そして商人などの、技の限りを尽くした立派な建物が立ち並んでいました。立派だったのは建物だけではなく、内側も工夫をこらしておりまして、次第に、いろいろな職種が大工さんから分かれていきました。その中のひとつが、現在に続いている江戸指物。釘やネジを使わないんです。素材の木の良さを生かして、木と木を組み合わせて鏡台や家具・文箱などを作る技なんです。見た目は華奢でも驚くほど丈夫な仕上がりです。
江戸指物師・渡辺彰さんの仕事場は、台東区竜泉にあります。樋口一葉記念館の近くにある工房の一階は、ギャラリーに改装されていて、作品の一部が展示されています。この道20年の渡辺さん、修業をはじめた頃は、どんなものを作っていたのかと申しますと、室内用の木のチリ箱。以前は、どのご家庭にもあったものですが、あればかり作っていた、と伺いました。
若い職人には、とても良い勉強になったそうですが、今は、仕事が少なくて、若い人は勉強する機会が減ってしまった・・・と話してくれました。江戸指物の家に生まれ、三代目の渡辺さん、仕事をしていて。とても嬉しい時があるそうです。果たして、どんな時でしょう。伺ってみました。二階の仕事場、作業に使う道具がズラリと並んでいます。道具の木の台の部分は使い易いようにご自分で作ってしまうそうです。
今日は、2種類のノミをお借りしてまいりました。5年ほど使っているものと、20年ほど使ってきたもの。違いは歴然。使っては研ぎ、使っては研ぎ、手入れを欠かさず使ってきた道具です。

9月13日(木)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
今日は、「砂子画(すなごえ)」をご紹介します。
台東区松が谷。砂子画師、田部井深匠さんの工房があります。
砂子、どこかで聞いたことがありますね。砂子は、日本独特の工芸品です。空一面に広がる星の輝きのように、絵巻物や屏風に使われている平安時代から続いている技法なんです。砂子で有名なのは、国宝に指定されている「平家納経」。現在、砂子の技法を伝えているのは、都内で5人だけです。
でも、田部井さんは独特の工夫を加えて、砂子を画にすることに取り組み、完成させたんです。田部井さんだけの技法なんです。これは、砂子を「蒔く」作業です。金箔を金網を張った竹の筒に入れ、叩くと、金箔が砕かれて粉になるんです。これを「蒔く」と呼んでいるんです。下絵を描き、「うるし」や「にかわ」を使って仕上げるのですが、季節によって仕上げの段取りが違うようでございます。春と秋は仕事がやりやすいそうです。なぜか? 田部井さんに聞いてみました。金箔や金箔を砕いて使った粉を使いますから、空調を入れるわけにいかず、汗が落ちてもいけない・・・大変な作業なんですね。
田部井さんのオリジナルの技法、砂子画は、習い事として静かな広がりを見せています。カルチャーセンターで、田部井さんのお弟子さんが増えているんです。平安時代の雅な工芸が、新しい工夫によって親しまれているのも面白いことではありませんか。

9月14日(金)放送分 + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + +
最終日の今日は、「手拭づくり」をご紹介します。
台東区浅草。浅草寺の近くに、染め手拭の店「ふじ屋」があります。終戦の翌年、昭和21年に開業しました。二代目の川上千尋さんは、58歳。今年89歳で現役の、父親・桂司さんに弟子入りして40年経ちました。
手を拭いたり、ホコリよけに被ったり・・・という実用性に加えて、洒落や遊びを盛り込んだ手拭も生まれました。手ぬぐいといいますと、以前は、商店の開店や挨拶周りには欠かせないものでした。ところが、昭和40年頃から、タオルに押されるようになってきたんです。そこで・・・。オリジナルの図柄の手拭を、習い事の発表会や引き出物に使っていただく工夫をしました。図柄の良さや染めの味わいが認められ、売り上げは伸び、歌舞伎の世界や落語家さんにもたくさんのご贔屓が出来ました。都内に手拭を扱う店は多いんですが、図柄まで手掛けているのは、「ふじ屋」だけ。現在、店に置いている300種類ほどの手拭のうち、およそ半分はご主人が描いた図柄なんです。ちなみにお値段、850円から、高いもので5000円ほどでございます。
浅草という場所柄、外国人観光客も多いんですが、感覚は同じで、実用にも飾りにもなる日本土産をお求めいただいているそうです。手拭の魅力、どんなところにあるのでしょう。

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