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「映画とお金の経済学」映画プロデューサー 木村元子さん

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6月から映画の一般鑑賞料金が1800円から1900円になったこと、みなさんご存知でしたか?
料金の改定は1993年以来だそうです。
映画に関するお金のお話と言えば、
「友情出演ってギャラは貰っていないの?」「俳優さんたちのギャラって?」など知らないことばかり。
そこで映画プロデューサーの木村元子さんをお迎えして詳しくお話を伺いました。
木村さんは元々テレビ局員で、韓国映画「私の頭の中の消しゴム」の原作にもなったドラマのプロデュースや
原作の執筆も行い、独立後はドラマ「闇金ウシジマくん」をはじめ、映画、演劇を含め、80を超える作品を
プロデュースしていらした方です。
今回は、映画に関するお金のお話を質問形式で聞いていきました!
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【日本の映画(邦画)は年間どれくらい公開されている?】
⇒約600本。1日平均1.5本の映画が公開されている。
2018年の公開本数は、邦画と洋画を合わせると1192本でした。
【日本の興行収入はいくらくらいで、世界で何位くらい?】
⇒およそ250億円で、世界4位。
1位・アメリカ 約1200億円。
2位・中国   約1000億円。
3位・インド  約270億円。
4位・日本   約250億円。
しかし、アメリカの年間映画本数は、日本とあまり変わらない。
ざっくり言うと日本は儲かっていない。日本は見る人口に対して供給過多。
また、日本は作品の企画が通しやすいので、多くの映画作品ができる。
【『制作委員会』は海外にもあるの?】
⇒日本独自の物。制作委員会は日本の文化に則した1つの形。
メリットは、映画が作りやすい。委員会に入っている団体がお金を少しずつ出していく。
デメリットは、将来この映画を海外に売りたいと思った時、
委員会に入っている全ての会社の許諾を取らないといけない。
【アメリカの場合、俳優のギャラはどうなっているか?】
⇒日本は映画がヒットしても俳優さんにお金が入ることが少ない。
アメリカでは、主に、最初の収入の50%が投資家へ、残りの50%は、監督、脚本家、俳優などで分ける。
【映画プロデューサーの仕事内容はアメリカと日本で違う?】
⇒ほぼ同じ。企画からお金を集めて全体を見るのが仕事。一番の違いはお金。
日本だとプロデューサー費のみ。アメリカだと原作を書いたり、企画を探したりすると、プラスされる。
【このような現状を変えようと木村さんが立ち上げた、世界をターゲットとしたプロジェクトとは?】
・アメリカ、中国、日本、それぞれがお金を出してファンドを作った。
脚本開発など、いわゆる企画を開発する大元にお金を使うファンド。
・ターゲットは、北米か中国のマーケット。どちらかのマーケットを狙う。
・企画は、できれば日本のコミック。
・このプロジェクトに対して、アメリカはすぐに乗ってくれたが、日本はなかなか乗ってくれなかった。
エンターテインメントへの考え方の違いがある。
・アメリカや中国と一緒にやっているので、それらの国でヒットしやすい作品を作ることができる。
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続いて、リスナーのみなさんからの質問に答えていただきました。
【映画の一般鑑賞料金が1900円になったが、海外と比べるとどうなの?】
⇒アメリカの大都市と比べると同じくらいだが、市場原理が働いているので、田舎だと600円くらい。
お客さんがいるところでは高く、いないところでは安く。
【将来、単館の映画館を経営したいのだが、儲けるのか?】
⇒単館映画は潰れている傾向にある。
エッジの効いた、他ではなかなか扱わない映画だけをやるなど、カラーがないと難しいのでは。
【鑑賞料金のうち、映画館にはどのくらい入るの?】
⇒ケースバイケースだが、鑑賞料金の大体半分。40~60%くらい。
【「友情出演」の場合、お金はどうなっているの?】
⇒出演者の友達、スタッフの知り合いなど、どんな場合でも満額の出演料を支払っている。
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今回の話を聞いて、「エンターテインメントにかけるお金や時間が多いということは、
経済的に余裕がある国ということなのかしら?」なんてボンヤリ思いましたが、世界経済と言えば!
来週は初めての生放送!G20大阪サミットの会場にある国際放送センターからお届けします。
どんな放送になるのか、不安と楽しみでいっぱいです。来週もよろしくお願いします!

by長麻未

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2019年06月22日(土)
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