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小西克哉さんと考察!「どうする?どうなる?東京オリンピック」

今回の講義は、「どうする?どうなる?東京オリンピック」。
ジャーナリストの小西克哉さんと一緒に、オリンピックが決まった2013年に時計の針を戻して、
激動の8年を振り返りながら、東京オリンピック開催の是非を考えます。
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【小西さんから見た橋本聖子新会長の印象】
面識はない。アスリートとしては超一流だが、政治家になって何をやったのか疑問がある。本人にとっては火中の栗を拾うのはかなりリスクがあって嫌だと思う。そのかわり、オリンピックが終わったら、何らかの見返りがあるのでは。
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【小西さんから見た、日本における女性の社会進出について】
日本は教育や健康に関しては、男女格差はほとんどなく世界トップレベル。ただ、政治や経済に関してはかなりの格差がある。メディアも人のことを言ってはいられない。在阪テレビ局の役員は女性0。在京テレビ局も女性役員の比率はTBS4%、テレ朝0%、テレ東6.3%、フジ0%、日テレ0%。東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の男女比率などについてどうのこうの言える資格はないと思う。
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【東京五輪を開催すべきか】
紀尾井町戦略研究所株式会社が1月末にネットで行った2021年東京オリンピック・パラリンピックに関した1000人アンケートによると、開催の賛否に関しては、反対が7割強、賛成が3割弱で、開催に反対する人は多数を占める結果となった。開催に反対と回答した727人にその理由を聞いたところ、「新型コロナの収束していない現状では時期尚早」が48.8%、感染拡大への懸念が31.5%を占めた。この結果から、多くの人はコロナを優先してほしいと考えていることがわかる。感染が広がっている海外の選手をどうするか、政府や組織委員会から何のメッセージも出ていないから不安になる。ワクチン接種が始まっても、若い人に行き渡る時期は今のところわからない。まだ不安は解消できないのではないか。
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【法人目線で考えると...】
NHKが主な企業100社を対象に行ったアンケートによると、東京オリンピック・パラリンピックの開催について「規模を縮小して開催すべき」という回答が半数近くあり、「通常に近い形で開催すべき」も含めるとおよそ6割が開催すべきという回答があった。法人はお金を出しているから、やってもらわないと困る。しかし、今のところ従来通りの形での実施はかなり厳しい。落としどころとして、「無観客」や「日本人のみの有観客」という形で組織や菅政権は見ているのではないかと小西さんは推測している。IOCは、やらなければ収入がほとんどなくなってしまう。だから中止という選択肢は考えていないと思う。
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【ここまで色々あった東京五輪①東京に決定した時の中心人物が...】
安倍前総理、東京都の猪瀬直樹元知事、そして組織委員会の森前会長と、多くの中心人物が表舞台から姿を消しているので、まさに呪われているのではないか。
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【ここまで色々あった東京五輪②国立競技場のデザイン案見直し】
開催が決まる2年前の2011年。新しい国立競技場のデザイン案に、イラク人の女性建築家、ザハ・ハディドさんのデザインが選ばれた。しかし、2015年に当時の安倍総理が、建設費が膨らんだことに対する批判が強まっていることを踏まえ「計画を白紙に戻す」と述べ、計画をゼロベースで見直す方針を表明。そして建築家の隈研吾さんで施工を行うことが決まった。
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【ここまで色々あった東京五輪③大会エンブレムの白紙撤回】
2015年7月、アートディテクターの佐野研二郎氏がデザインした大会エンブレムを発表。しかし、ベルギーのグラフィックデザイナーが、以前作った自分のロゴマークに極めて似ていると主張。佐野氏はエンブレムについては「模倣していない」と盗用を否定したが、審査の応募資料として提出した空港や街中での使用例の画像について、インターネット上の画像を無断で転用していたことを認めた。こうしたことから組織委員会は、「一般国民の理解は得られない」としてエンブレムを白紙撤回した。これは選考委員会の調査がいい加減だったと小西さんは考えている。
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【ここまで色々あった東京五輪④マラソンと競歩の会場を札幌に変更】
2019年10月16日、IOCがマラソンと競歩の会場を札幌に変更することを検討していることを明らかにした。結果として変更されたが、チケットの抽選や購入も終わった後で、混乱が生じた。
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【小西さんは東京オリンピック・パラリンピックどうなると思う?】
小西さんの願望としては、「やってほしい」。しかし、何が何でもやるというのは怖い。今後、オリンピックそのものについて協議していく必要があるのではないか。
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改めて、延期になるまでも色々なことがあったなと実感しました...。
私自身も、男子マラソンのチケットが抽選で当たって喜んでいたあの頃、まさかこんな未来が待っていようとは思いもしませんでした...。小西さんがおっしゃっていたように、まだまだこれから二転三転ありそうですよね。どうなっていくのか、これからも「東京の今」をしっかりと見ていきたいと思います。
坂口愛美
小西克哉さん写真+.jpg

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2021年02月25日(木)
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