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江副浩正氏の人物像に迫る!「企業の天才!」著者・大西康之さん

今話題の本「起業の天才!江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男」の著者である大西康之さんをお迎えして、企業の天才といわれたリクルート創業者・江副浩正氏の人物像に迫りました。
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【「起業の天才!江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男」はどんな本?】
かつて日本にいた「起業の天才」リクルート創業者、江副浩正氏。
彼はインターネット時代を予見し、「グーグルのような会社」を作ろうとしますが、彼の名は戦後最大の企業犯罪「リクルート事件の主犯」として人々に記憶される。
「ベンチャー不毛の地」となった今の日本に必要な「起業家の資質」とは何か。
苦境に立ち逆風に向かうすべての日本人に贈る、歴史から葬られた「起業の天才」の真の姿に迫る。
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【江副浩正氏とはどのような人物だったのか?】
1936年生まれ。東京大学が生んだ最大のベンチャー起業家といわれ、1960年の在学中に「東京大学新聞」の広告代理店として現リクルートを創業。
大学新卒向けの「企業への招待(後のリクルートブック)」というメディアを創刊。
求人広告という業界で時代の寵児となります。
リクルートは、他にも「住宅情報」(現在の「SUUMO」)や、「カーセンサー」「エイビーロード」「とらばーゆ」など、人と情報をつなげるメディアを誕生させた。
江副さんが作ったリクルートの株式時価総額は、およそ8兆円。電通のほぼ10倍といわれている。
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【リクルート事件とはどういうものか?】
1988年に発覚した日本最大の企業犯罪といわれた賄賂事件。
江副さんがリクルートの関係者と共に、有力政治家や官僚、マスコミ界の有力者に子会社未公開株を譲渡。
譲渡されたリストの中には、当時の竹下登総理や小沢一郎官房副長官などがいた。
そして江副さんは、翌年1989年に賄賂容疑で逮捕。裁判はおよそ14年に渡り行われ、東京地裁での公判回数は322回と東京地裁での公判としては歴代1位となっている。
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【当時、未公開株の譲渡は違法ではなかった】
自分の会社の信用を高めるために、ベンチャー起業家が有力者に自分の会社の株を持ってもらうのはよくあること。ただ当時、株価は上場すると必ず上がっていた。未公開株を買ってもらえば公開された後株価が上がって利益が出るため、それが賄賂とみなされた。しかし、下がるリスクも少なからずあったため、これが賄賂にあたるのかどうかはずっと議論されている。
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【江副浩正氏の偉業①60年以上も前に情報の民主化をすすめた】
現在、グーグルの検索エンジンができたことによって、インターネットを介して本当に自分に必要な情報を簡単に得ることができるようになっている。それと同じことを江副氏は1960年代にしようとした。「企業の招待」は、新聞に出ている求人広告を集めたような本。それを出そうとした時ほとんどの人が笑ったが、それこそが「マッチング」だった。この本を手に取るのは就職したい学生。情報を必要としている人のところにピンポイントに届く。不特定多数にばらまくとノイズになってしまう広告を、ターゲティングして職を求めている学生に打てば、お金を払ってでも手に入れたい情報に変わるということに気づいた。
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【江副浩正氏の偉業②30年以上も前にアマゾンやグーグルと同じことをやろうとした】
逮捕される直前に、神奈川県川崎市にコンピューター用のビルを建てた。同じものをニューヨークとロンドンにも作った。これを高速回線で結んで24時間365日使えるようにし、東京が寝ている時には海外で使ってもらえるようにした。今でいうクラウドコンピューティング。自分たちが紙の情報誌で作ってきた情報ビジネスをコンピューターネットワークに乗せ換えるというビジョンを持っていた。それをやり始めた時にアマゾンの創業者、ジェフ・ベゾスと出会っていた。
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【今後、江副氏のような起業家は現れるか?】
今の20代30代の起業家たちは、悲壮感がない。自分のやりたいことをとことん突き詰めている。
今まではそういう才能を持っている人たちが大企業に吸い込まれていたが、今は1つの企業で定年まで勤めあげるというパターンが少なくなっている。今後、どういう起業家が出てくるのか楽しみ。
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江副浩正氏。私は教科書で「リクルート事件の犯罪者」として名前を覚えただけで、知っている気分になっていましたが...この本を読んで、全くわかっていなかったと実感させられました。色々な見方があるとは思いますが、常に未来を見ている姿勢、先を読む力、行動力など、江副さんの生き方からは学ぶべきことがたくさんあります。本を読み終えた時、1人の天才の人生を追体験したような気分になり、自分の人生のあり方、仕事への向き合い方など、色々なことを考えさせられました。勉強になりました。
坂口愛美
大西康之さん写真+.jpg

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2021年03月12日(金)
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