2018/3/14

トランプ氏、国務長官を解任 北朝鮮対応で確執か

【ワシントン共同】米ホワイトハウスは13日、トランプ大統領がティラーソン国務長官を解任したと明らかにした。トランプ氏はツイッターで、後任にポンペオ中央情報局(CIA)長官を起用する考えを示した。国際協調を重視するティラーソン氏の解任により、北朝鮮対応などで日本の外交方針に影響を及ぼす可能性もある。
 トランプ氏はティラーソン氏との間で確執があったとされてきた。5月末までに米朝首脳会談が予定される中、外交の司令塔が交代することで、米国の指導力低下につながる懸念がある。
 トランプ氏は記者団に対し「イラン核合意など幾つかのことで意見が合わなかった」と述べた。

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国際ジャーナリスト
高橋浩祐
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アメリカのトランプ大統領がまるで独裁者と化してきている。ティラーソン国務長官を解任した。いくら大統領と言っても、やりすぎではないか。自らの側近も身内で固めすぎだ。


トランプ政権では昨年来、主要ポストで辞任・解任が続いている。フリン大統領補佐官やコミーFBI長官、バノン首席戦略官、ホワイトハウスの広報部長や報道官など数えきれない。これほどのアメリカ高官の辞任・解任ドミノは前代未聞だ。


特に、国防強化を掲げるトランプ大統領は、外交をつかさどる国務省を軽視して外交予算を大幅に削減。国務省ナンバー3のシャノン国務次官(政治担当)やジョセフ・ユン北朝鮮担当特別代表が相次ぎ辞任した。起用を内定していたビクター・チャ氏の駐韓大使人事も白紙になった。昨年12月には北朝鮮との対話路線を打ち出したティラーソン国務長官をトランプ大統領は公然と叱責していた。


アメリカ外交をつかさどる国務省は機能不全に陥り、ボトムアップ式の対外交渉がままならなくなっている。その一方、米朝首脳会談の即決に見られるように、劇場型の政治ショーで支持率を得てきたトランプ大統領がトップダウンで外交を取り仕切っている。国務省は蚊帳の外に置かれている。


しかし、交渉ごとでは細部に悪魔が潜むと言われる。米朝首脳会談をめぐっても、交渉スケジュールや査察体制の確立、核兵器や核施設、核物質など査察の対象を何にするのか、会談の開催場所など細部が全然つまっていない。これまでの交渉破綻の歴史をみれば、ガラス細工とも言える米朝首脳会談への道筋や成果はいまだ見えていない。アメリカ外交が足元から揺らいでいる。

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