政府が米国の離脱した環太平洋連携協定(TPP)に関し、米国以外の11カ国による協定発効を模索する方向に軸足を移すことが15日、分かった。このままでは枠組みが空中分解する恐れがあり、政府内でも米国抜きTPPの推進に慎重な姿勢を転換する必要があるとの意見が強まった。5月に首席交渉官会合と閣僚会合を開き、実現可能性を探る。合意した有志国だけにTPPを適用する案も浮上している。
菅義偉官房長官は15日、共同通信のインタビューに応じ「11カ国の枠組みを大事にしたいという思いを持っている」と述べ、米国の理解を得た上で本格的な検討を進める考えを示した。
2017/4/17
米抜きTPPの推進に軸足 政府、慎重姿勢を転換
博士(経済学)・帝京大学経済学部教授・慶大経済学部非勤
宿輪純一
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TPP(環太平洋経済連携協定)には2つの目的がある。
1つ目はFTA(自由貿易協定)としての貿易の活性化、もう1つは米国(オバマ政権)が進めた対中国囲い込みの強化である。
そのため中国は参加できなかった。
それに対し、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)は中国主導である。
米国はトランプ政権になり、中国と独自に交渉することを望んでいるため3か月前に離脱した。
TPP参加国の経済規模は、米国が6割、日本が2割強である。規模の縮小は否めない。
政府は景気押上げ効果は1.37%から1.11%に減少したのみと発表しているが、そんなに米国の影響が少ないのか検証の必要がある。
米国以外の11カ国は5月下旬にベトナムで閣僚会議が開催される。
経済産業省においても重要案件である。
ベトナム・マレーシアとの交渉の難航も予想されており、中国の影響もあり一筋縄ではいかないであろう。
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