2017/8/15

米韓、対北朝鮮「強力な対応」 中国は制裁表明

【ソウル、ワシントン共同=長尾一史、清水敬善】韓国の文在寅大統領は14日、訪韓した米軍制服組トップのダンフォード統合参謀本部議長と会談、米領グアム沖へのミサイル発射を警告した北朝鮮に対し、実行に移せば「強力な対応」を取ることで一致した。中国政府は14日、国連安全保障理事会の新たな制裁決議に基づき北朝鮮からの石炭や海産物の輸入を全面禁止すると発表した。
 ダンフォード氏は会談で、外交や経済制裁による圧力強化で問題解決を目指す米政府の立場を強調した上で「こうした努力が失敗した場合に備えて軍事オプションを準備している」と明言、北朝鮮を強くけん制した。

内容を読む
国際ジャーナリスト
高橋浩祐
4

 グアムをめぐる北朝鮮の国営メディア、KCNA(朝鮮中央通信)の8月10日付の声明をよく読むと、実際の「攻撃」というよりも、グアム沖に中距離弾道ミサイルを着弾させることを見せつける「脅し」や「威嚇」が示されている。


 声明が具体的な計画の詳細を述べていることは特筆されるが、記述のトーンも割と抑制されている。特に最後の文章は「我々は米国の言動を注視し続けている」と述べ、米国の今後の行動次第で北朝鮮が強硬策に出ることを示している。

トランプ大統領の北朝鮮に対する強い脅し文句を踏まえ、ボールがなおも米国にあることを示したかったようだ。
つまり、米国が北朝鮮への軍事攻撃の素振りを見せない限り、北朝鮮がグアム沖にミサイルを発射することはないと私はみている。


 北朝鮮に関する新たな制裁決議については、加盟国がきちんと実効力のある制裁に移せるかどうか。

結論から言えば、北朝鮮制裁は今後もザル状態が続くとみられる。小生が寄稿する北朝鮮関連ニュースの専門サイト、NK Newsの調査報道によると、北朝鮮はシンガポールにある貿易会社を通じて、ヤマハの楽器など幅広い物品を北朝鮮に密輸している。
また、現在は民生品が制裁の対象になっていない。そして、民生品の名目で北朝鮮が密輸しても、デュアルユースで軍事用品としても利用されている実態が明らかになっている。

  • URLを
    コピー

このコラムを書いた人

他の人のコラム

関連ニュース