2017/8/15

4~6月期のGDP年率4%増 11年ぶり6期連続プラス

 内閣府が14日発表した2017年4~6月期の国内総生産(GDP、季節調整値)速報値は、物価変動を除く実質で前期比1・0%増、このペースが1年間続くと仮定した年率換算は4・0%増だった。プラス成長は6四半期連続で11年ぶりの長さ。輸出は4四半期ぶりに減少したが、設備投資と個人消費が堅調に推移して補い、内需主導で成長率は前期(年率1・5%増)から加速した。
 年率4・0%の成長率は15年1~3月期(4・8%増)以来の高い伸び。茂木経済再生担当相は会見で「率直に良い数字だと思う」とした上で「消費には力強さに欠けている面も残っている。政策的に補強したい」と語った。

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みずほ証券チーフクレジットストラテジスト
大橋英敏
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この記事に対してネット等では早速「アベノミクス」を再評価する向きがありますが、統計をよく見ると、GDPデフレーターは前期比+0.2%・前年同期比▲0.4%となっており、リフレ派の政策への疑問が残る面もあります。つまり、良いGDP統計の要因はアベノミクスとは別のものである可能性が高いということです。


皮肉にも、日本経済は、日本国内の財政・金融政策への依存よりも、米国や中国を中心とした世界経済のコンディションに大きく依存する構造となっています。
しかも、為替(特に米ドル-円)市場を通じて、その影響は増幅する傾向があります(つまり、世界経済が好調(不調)な時は円安(円高)になりがちということ)。今は、4-6月期は日本経済にとって「良い方向に増幅する」傾向が強かったと言えます。


もっとも、安倍政権の政策は間違っているわけでもないと思います。
円安になりやすい環境を整えたことや、何よりも資産デフレを脱却した(株高・不動産高)という面で、日本の民間部門のバランスシートは大きく改善しました。
インバウンド効果も大きく、地方都市を含めて需要増を享受しています。これに、本格的な人口増に向けた本気度(例えば移民政策など)が加われば完璧に近くなるのですが。


さて、今後の注目材料ですが、他のコメントでも再三申し上げているとおり、中国が唯一・最大のものと言えます。今年10月の共産党大会までは、政府主導の景気浮揚策が続くとの見方が根強いですが、変化の有無を細心の注意を持って見守りたいです。

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