宅配便最大手のヤマト運輸は13日、個人が送る荷物を含む基本運賃を全面的に引き上げることを正式に決めたと発表した。インターネット通信販売アマゾンなど大口顧客との契約を見直すため9月末までに交渉し、繁忙期の荷物の抑制につなげることも表明した。
全面値上げは、消費税増税時を除くと27年ぶり。具体的な内容は現在検討中で決まり次第公表するという。値上げを通じて、ドライバーの処遇改善や新規採用の強化、宅配ロッカーの設置拡大に向けた投資を進め、人手不足に対処する。
2017/4/14
宅配ヤマト、値上げ正式決定 荷物抑制へ大口契約見直し
博士(経済学)・帝京大学経済学部教授・慶大経済学部非勤
宿輪純一
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この問題には、経済学的に見て、大きな2つの課題が垣間見れる。
まずは、先日の「日銀短観」でも指摘されていたが「人手不足」が日本経済の問題になっている。もともとは人口減少がベースとなっている。
これは、今後、日本経済の成長に関して大きな制約要件となる。米国の経済成長の一因は人口増加で、年間300万人増加しており、そのうち100万人が移民である。
もう一つは、値上げは「物価上昇」であるということである。
経済学では、通常の国の政策目標は景気(経済成長)と物価安定(インフレ・デフレ)」のコントロールがある。
日本のアベノミクスの問題はこの景気目標を実質的に捨て、物価安定(現在だと上昇)、すなわちインフレだけを目標としていることである。
そのため、今回の値上げもアベノミクスにおいては評価されるべきものであろう。しかし、物価だけが上がっても良いことであろうか。
景気が良くなる≒賃金の上昇が必要である。
物価だけ上がっても国民の暮らしは悪くなるばかりである。国民もだんだんそれが分かってきたのではないか。
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