2018/9/14

緩和で総資産1600兆円に膨張 日米欧の3中銀、4倍に

【ワシントン共同】日米欧の3中央銀行の総資産合計が、リーマン・ショック時の10年前の400兆円から4倍に膨張、1600兆円規模に達していることが13日、各中銀の統計で分かった。金融危機時に、各中銀は世界経済を下支えするために市場に資金供給する大規模な金融緩和を実施、国債などの資産を大量に購入した結果だ。
 各中銀は積み上がった保有資産を圧縮するなど「出口戦略」に時間がかかるため、新たな危機対応の政策余地に乏しい状況となっている。
 米証券大手リーマン・ブラザーズが08年9月に経営破綻し危機の発端となった。日銀の総資産は今年8月末時点で550兆円に拡大した。

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みずほ証券チーフクレジットストラテジスト
大橋英敏
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この記事はややミスリーディングですし、内容と現実の対比という意味でタイミングが悪いです。昨日、欧州中央銀行のドラキ総裁は、今年10月以降、資産買入プログラムによる資産購入額を更に半減させることを決めました(テーパリングの強化)。米FRBは今年以降バランスシートを圧縮しています。日銀は、緩和的な金融政策を続けているとの「強弁」を続けていますが、現実は、16年10月より実施しているイールド・カーブ・コントロール政策下で、資産購入額を減少させています。つまり、中銀のバランスシート規模の拡大は、既に転機を迎えています。

もちろん、日欧中央銀行が実施している資産買入額の縮小(テーパリング)は、中銀のバランスシートを縮小させるものではなく、むしろ現在でもバランスシートは拡大しています。しかし、米FRBが既にバランスシート規模を縮小させており、欧州も今年12月には資産買入プログラムを終了させることを計画するなか(終了後はバランスシート規模が維持される見通し)、金融市場は、中央銀行のバランスシート縮小を織り込みつつあります。

すなわち、これほどまでに積みあがった中銀のバランスシートが縮小される可能性が高まるなか、中銀が購入した資産を中心に価格調整(需給バランスの悪化)が生じる可能性があることに対する警戒感が台頭しつつあります。

中銀が市場や経済を支えた時代は終了を迎え、世界経済は次のステップに進もうとしています。

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