2017/4/27

米財務長官「国境税」見送り表明 法人税15%に引き下げ

【ワシントン共同】ムニューシン米財務長官は26日、首都ワシントンで講演し、共和党が提案した「国境税」について「良い面もあるが、懸念もある。提案通りでは機能しない」と述べ、導入を見送ることを明らかにした。主要国で最高水準にある連邦法人税率は現状の35%から15%に引き下げると表明した。
 トランプ政権は26日午後(日本時間27日未明)、法人税率引き下げなどを盛り込んだ税制改革案を発表する。ムニューシン氏は「法人税減税は経済成長を加速させる上で極めて重要だ」と述べた。
 ただ、同氏は国境税の仕組みを変えられるかどうか、引き続き共和党幹部と協議する意向を示した。

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みずほ証券チーフクレジットストラテジスト
大橋英敏
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下院共和党の税制改革案「Better Way」に含まれていた「国境調整税」(厳密には国境税ではない)は、荒唐無稽な内容で、当初から金融市場では導入は難しいと思われていたためサプライズではないです。
その他の内容は、概ね選挙公約通りの内容となっています(法人減税、個人所得税率の簡素化など)。


さて、金融市場が待ち望んだ税制改正案が、政権発足から100日が経過する4月29日を間近に控えたこの時期に出されたわけですが、実現可能性は高くないと思います。


まず、当該税制改正案は、箇条書きの1枚モノで公表され、詳細に内容が議論されているか不明です。現実的には「政権の努力目標」との位置づけと考えた方が良いでしょう。
内容が生煮えなのは、(国境調整税の導入が困難なことにも起因していますが)減税に対する財源が確保できていないからと思われます。実際、財政赤字に対する影響について、ムニューシン財務長官は明言を避けました。


当然、トランプ大統領は財政赤字拡大を容認する姿勢と思われますが、肝心の共和党内の不協和音が残る可能性があります(ライアン下院議長によると、下院共和党の約80%はホワイトハウス案を支持とされていますが果たしてどうでしょうか)。
私が予てから主張していることですが、税制改正に過度な期待は禁物です。

むしろ、規制緩和(特に金融規制緩和)をどの程度実行できるかが重要と思います。

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