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過去の放送分 過去の放送分 2007 6月2日 放送分
「サラブレッド(競走馬)について」(1)
コーチャー/楠瀬良さん(JRA競走馬総合研究所)
大村正樹&楠瀬良
大村正樹
今週のサイコーはJRA競走馬総合研究所の楠瀬良さんです。こんにちは。ラジオを聞いてるキッズは馬券はまだ買えないですよね。
  そうですよね。
大村正樹
ええ。多分競馬っていうものには馴染みはないんですが、お馬さんは好きなわけですよね。
  それはきれいですもんね。
大村正樹
ええ。今日はこの競走馬についてお話を伺おうと思ってるんですが、この楠瀬さんの、競走馬総合研究所って何ですか?
  競走馬の研究をしてるんですけど、競馬っていうのは世界中でやってるわけです。日本のサラブレッドを少しでも強くして世界一にしたいというのが、まず第一の大きな目的です。それと同時に、馬はいろいろ病気になったりします。そういうものをいかに治療するかとか、治すにはどうしたらいいかとか。あるいは、時々走ってて骨折したりとか聞きますよね。なるべくそういうことがないように予防をする。予防のためにはどうしたらいいか。
大村正樹
怪我をしないための予防とか?
  それは馬だけじゃなくて、走るコースをどのくらいの柔らかさにしておけばいいかとか。動物としての馬だけじゃなくて、競走馬が走る場所もいろいろ研究したりしてます。
大村正樹
トータル的に競馬の研究というか、よりよくするためにということですね。
  そうですね。
大村正樹
今、「サラブレッド」っておっしゃいましたけど、サラブレッドって訳すとなんですか?
  サラブレッドというのは日本語に訳すと「純粋な」という意味です。純粋に作り上げられたという意味です。どこにも馬っていう意味はないんですけど。今から300年ぐらい前から、イギリス人が走るために純粋性を求めてですね、なるべく速く走るような馬同士を掛け合わせて子供を作ると。その子供達はまた走るんですね。より速いやつをまた結婚させて子供を作るっていうことをずっと繰り返してきてるんですね。
大村正樹
なるほど。それだからサラブレッドっていうんですか。サラブレッドは馬っていう意味じゃなかったんですね。知ってました?わかりやすくいうと、競走馬は速いですが、速度は何キロぐらい出てるんですか?
大体、時速でいうと60キロぐらい。普通に走ってる車と同じくらいですよね。
馬
 
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大村正樹
牛と馬はどっちが速いですか?
  もちろん馬の方が速いです。
大村正樹
だけど、一番速い動物はチーターですよね。
  そうですね。チーターは大体時速120キロぐらい。ただ、チーターの場合はダッシュしてせいぜい200メートルぐらいです。すぐ疲れちゃう。
大村正樹
200メートルのチーター。短距離選手なんですね。
  そうですね。サラブレッドの場合は時速60キロで3000メートルとか、それぐらい走っちゃうんですね。
大村正樹
人間のイメージでは全力疾走で、200メートル。多分人間はそれぐらいが限界ですよね。全力で3000メートルっていうのは、馬にとってみると、これは限界でやってるんですか?全力ですか?
全力というよりは、どこまで走ればいいのかっていうのは騎手がわかってますから、そこでセーブするんですけど、かなり馬の能力の限界で走ってるのは確かです。普通、チーターもそうですし、人間も100メートルぐらいっていうのは、無酸素運動なんです。無酸素というのは酸素を取り入れない。
大村正樹
息しない?
  息はするんですけど、筋肉にもともとある物質が分解することで、エネルギーが出るんです。そういう形で走るんです。 そうするとすぐエネルギーが枯渇してしてしまって、100メートルぐらいしかもたないんです。サラブレッドの場合はそういうエネルギーはだいたい2割くらいしか使わずに、残りは空気を取り入れて、グリコゲンという物質を燃やして走ってるんですね。
大村正樹
それは、限界に近い形なんだけど、空気とか栄養みたいなものを取り込みながら馬は走れるっていうことなんですか?
  はい。
大村正樹
それは馬の特性なんですか?
  その走り方なんですが、人間でもサラブレッドと同じような走り方をしてる距離は、だいたい400メートルから800メートルです。いわゆる中距離の選手はサラブレッドと同じようなエネルギーの使い方で走ってますよね。
大村正樹
無酸素運動と有酸素運動とでは、どっちが大変なんですか?
  両方とも大変なんです。実は僕は高校の時に陸上競技やってたんですけど、中距離やってたんですよ。これ苦しいんですよね。最後は脚があがらなくなるんです。どの距離も大変なことは大変ですけど、きついって言ったら中距離ですよね。
大村正樹
そうですよね。50メートルのダッシュと校庭1周。大体200〜300メートルぐらいあるかな。ダッシュきついですもんね。
  そうですね。
馬
 
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大村正樹
酸素を取り入れながらやってるけど、終わってもう一回やれって言ったら無理ですもんね。50メートルは2、3本いけますもんね。5、6本いけるかな?キッズだったら。
(笑)。
大村正樹
なるほど。じゃあ競走馬はそういう過酷な状況の中で競馬場を走ってると。馬と人間の決定的な違いはなんですか?
  体のあらゆる部分が走るのに向いてるんですね。例えば心臓。人間はだいたい250グラムとかそれぐらいなんですね。サラブレットは大体4キロから5キロぐらいあるんです。
大村正樹
でかいですね!
  体重が人間より大きいので。体重で換算すると大体人間の2.5倍ぐらいの大きさなんです。
大村正樹
サラブレットの体重は何キロなんですか?
  大体400〜500キロです。心臓の重さは、1%ですね。
大村正樹
人間は体重60キロだったら250グラム。体の重さの500分の1ですね。サラブレットの場合は100分の1が心臓。馬の心臓は割合からすると大きい。
そうですね。血液を送り出す、その血液には酸素が含まれている。それだけ大きな心臓で全身に酸素を送りこんで、あれだけのスピードで距離を走れる。その心臓ひとつとっても、馬っていうのは走るのに向いてるんですね。
大村正樹
それはサラブレッドだから心臓が大きいわけで、普通の牧場にいるような、お肉になる馬は違うんですか?
  サラブレットは特殊で、子供の頃から競馬に行くために調教、訓練されてるんです。そうすると、よく人間でも、スポーツ心臓といって肥大してきます。サラブレットも実際はもともと持ってる心臓よりは、調教によって大きくなってるんです。
大村正樹
そうなんですか〜!
  例えば、怪我して牧場に行ってブラブラ遊んでると、また心臓は小さくなるんです。
大村正樹
やっぱりしばらくインターバルをおくとまた元に戻るんですか。
  はい。再び元気になって調教を始めるとまた心臓が大きくなります。それだけ柔軟性もあるともいえますね。
大村正樹
勉強と同じですね。1週間、2週間、1ヶ月勉強しないと元に戻っちゃうかもしれませんから、このサラブレットの話でみんなもいろいろ考えるといいんじゃないかと思いますね。
(笑)。
馬
 
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