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でもきっと微々たるものですよね。血流が流れて肺に行って、中に入ってすぐ出ちゃうわけで、そこにガンの匂いが付着するのはほんのちょっとですよね? |
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もっと極端なことを言えば、例えばニンニクとかギョウザを食べた後「ハーッ」とやると臭い。あれと同じ原理で匂うんじゃないかと。 |
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人間だったらギョウザやニンニクは分かりますけれど、ガンの匂いはやっぱり分からないわけですね。 |
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それで調べてみようということで、マリーンという特殊なイヌが…。 |
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マリーン? ガンを見つけるイヌはマリーンちゃんという名前なんですか? |
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今一番活躍しているのはマリーンちゃん。 |
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えっ! 日本のイヌでガンを見つける? 外国の話じゃなかったんですか。 |
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最初は僕たちも半信半疑でした。例えばガン患者さんの呼気を4つ準備した袋のうちの1つに入れます。 |
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4人が吐いた息を袋に入れて、その内の1つがガンの人の息ということですね。 |
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はい。残り3つは健康な人です。それでガンの匂いをマリーンに嗅がせて、4つの内どれでもいいから今と同じ匂いのする箱の前に座れという指示をしてやると、マリーンは同じ匂いを探して座るんです。 |
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はい。 |
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何回やってみても、いつも正しい箱の前に座る。それで、「これはガンを見つけられるぞ!」と。 |
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ガン患者の方はその場にいない。息だけですか? |
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息だけです。 |
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4つの箱の中にガンと同じ匂いがあるということですね。 |
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はい。ところが、イヌは非常に敏感ですから、どの箱に入れたか答えを知っている人が室内にいるとダメなんです。分かっちゃうんです。 |
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へぇ〜。 |
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例えば計算するイヌや、足し算するイヌっていますよね? あれも、イヌがやっているわけではなくて、そばにいる人のサインなんです。 |
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えっ! インチキ? |
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インチキって言うと語弊がありますけれど(笑)。 |
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ショック! |
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答えが3だとすると、3回吠えたときにそばにいる飼い主がここで止めて欲しいと願ったり、足に力が入ったりします。その感情が、我々に分からない合図でイヌに伝わるんです。 |
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飼い主や近しい人の合図は分かっちゃうわけですね。 |
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イヌは「何か変わったぞ!」と感じて止める。そうすると飼い主は、「4つ吠えなかった。良かった〜」とホッとする。イヌもそれを理解して、そこで止めちゃう。イヌって人の心をすごく読むんです。 |
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なるほど。 |
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ですから、どの箱に入れたか誰も分からないようにして探させます。4つとも健康な人の息にしても、マリーンはどこにも座らないで戻ってきます。 |
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ちなみに、マリーンちゃんの種類は何ですか? |
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黒のラブラドールです。 |
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やっぱりシェパードやラブラドール種は嗅覚が鋭いわけですね。先生はイヌがちょっと苦手なのに、イヌの嗅覚を利用する研究をこれからも続けていかれるわけですよね。 |
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はい。 |
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今後はどんなことをされたいのですか? |
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イヌの嗅覚の特長を利用して、色々な病気を見つけるセンサーを開発したいと思っています。例えば、今のようにある程度大雑把に呼気で探せれば、患者さんの負担も少なくなる。それから心理的な不安もそれほどない。痛いとか疲れるとかもないですし、僻地での医療診断でも、大雑把にスクリーニングで探すことができます。そんな装置を作りたいと考えています。 |
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装置ですか。そんなワンちゃんを育てるというのではなくて、イヌの嗅覚を利用した機械を作って、色々な医療に活かせたらということですね。 |
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はい。 |
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飲酒運転の検査だって機械で測ることができますから、匂いの元が分かれば、やがてはそんな機械もできそうですねぇ。 |
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ただし、イヌが探したガンや大麻、麻薬の匂いも、我々が最先端の装置を使って分析しても分からない。 |
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だからワンちゃんに頼っているのですか? |
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そうですね。機械で匂いを分析しても、イヌほどには分からない。今の技術では10の7乗とか8乗倍ぐらいに薄めた匂いを判断するのが限度なのです。でも、ガン探知犬の場合、10の12乗倍ぐらいまでわかります。プールの中に1滴落としたぐらいの薄い匂いです。 |
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はぁ〜。イヌの嗅覚のすごさがよく分かりました。先生、目標に向けてますますイヌを研究していただいて、イヌも大好きになってくださいね。応援してます。 |
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はい。しっかり頑張ってみようと思っています。 |
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すごく参考になりました。今週のサイコーは、明海大学教授の外崎肇一先生でした。ありがとうございました。 |
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どうもありがとうございました。 |
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結局イヌの嗅覚のメカニズムは、人間でもまだ解明できてないということなんだね。だから、いわゆる科学捜査と言われるもっと上のレベルに麻薬犬がいたりするわけだねぇ。勉強になりました。 |
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