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「食育を始めよう」(1)
コーチャー/海老久美子さん(管理栄養士)
大村正樹&海老久美子
大村正樹

キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。
いよいよ8月に入りました。みんな、夏休みをエンジョイしてますか? 夏と言えば高校野球。自分たちが所属しているスポーツチームの合宿があるというキッズも多いんじゃないかな? 今日のテーマは「スポーツと食事の関係」。“野球食”というお話を聞いていきますので、お母さんもぜひ聴いてね!


大村正樹

今週のサイコーは、管理栄養士の海老久美子さんです。こんにちは。

こんにちは。よろしくお願いします。

大村正樹

まず、管理栄養士って何ですか?

よく栄養管理士と間違えられるんですが、管理栄養士は国家資格です。栄養士さんたちを管理する業務だと思ってください。

大村正樹

栄養士さんよりも偉い人?

偉いと言っていいかどうか分かりませんが、栄養士全体を管理できる人という意味だと思います。栄養をうるさく管理する人といったイメージがあるかも知れませんが、そうではなくて栄養士さんたちを管理できる人です。

大村正樹

なるほど。プロフェッショナルの方々を管理する立場にある方ですか。

そういうことだと思います。

大村正樹

海老さんは、オリンピックに出場した選手や野球、バスケットボール、ゴルフ、テニスなどスポーツ選手の栄養をサポートされているんですね。

そうです。

大村正樹

ということは、スポーツ栄養士という肩書きもお持ちですか?

スポーツ栄養士という資格は、日本ではまだ誕生していません。実はこの10月から、その一期生が出てきます。

大村正樹

スポーツ栄養士はこの秋から解禁になる肩書きで、海老さんはその第一号! じゃあ、気象予報士の第一号みたいに、15〜6年後には森田さんのようになっているかも知れないですねぇ。

そう目指そうと思っています。

大村正樹

スポーツ栄養士――今ちゃんと覚えておくと、10年後にはきっと…。

そうですねぇ、今のサイエンスキッズたちが大人になる頃には、世の中に認められている資格でありたいなと思っています。

大村正樹

その時、「エビちゃんだ〜」と思い出すわけですね。

はい、ぜひ思い出してください。

大村正樹

海老さんは、栄養管理に詳しいんですよね?

改めて「詳しいですか?」と問われると、ちょっと答えにくいのですが。20年間ぐらいずっと高校野球を中心に栄養管理をして いました。

大村正樹

高校野球? 名門高校の?

そうですね。わりと名門かも。

大村正樹

甲子園に出られるぐらいの?

そういうチームもありますね。

大村正樹

学校から、「この子たちの栄養管理を海老さんに任せます」とお願いされるんですか?

今で言えば食育ですが、20年前にはまだそんな言葉はありませんでした。

大村正樹

そうですね。

例えば、ある県のある漁師町に行った時には、お母さんと球児たちで一緒に栄養のセミナーを受けたり、球児たちに調理実習をしてもらったりしました。

大村正樹

へぇ〜。

そんな活動を、20年ぐらい前にやっていたんですよ。すると漁師のお父さんたちが帰ってきて、「うちの息子はバットやグローブを持たせるために野球をやらせているんであって、包丁を持たせるために野球をやらせた覚えはない!」って言われました。

大村正樹

怒られちゃったんですか!?

「うちの嫁にだけはしたくない」って言われましたね(笑)。

大村正樹

その頃は、まだまだ食育に理解がなかった時代ですよね。

そうでしょうね。

大村正樹

練習が結果を生み出すのは当たり前ですが、食育によってその子たちの試合の結果が良くなったりはしましたか?

効果を計るのは非常に難しいことですが、長く野球を続けてくれている選手が多いのは事実です。指導者になってから、「エビちゃんの言っていたことが、今になってやっと分かった」と言ってくれる選手もいます。

大村正樹

そうなんですか。やっぱり“エビちゃん”って言われるんですね(笑)。

昔だけです。きれいなエビちゃんが出てきてから、エビちゃんの座が危うくなって…(笑)。

大村正樹

元祖エビちゃんは、海老久美子さんのことなんですね。エビとカニがあったらどっちを食べますか?

やっぱりエビかなぁ。

大村正樹

そうなんですか。ということで野球にちなみ、今日は海老さんに“野球食”の話をしていただきます。

はい。

大村正樹

ベースボール・マガジン社から『野球食』、続編として『野球食Jr.』という本が出版されていて、強い野球選手になるためにどんなものを食べればいいかが、紹介されているそうですね。

はい。

大村正樹

ポジション毎にふさわしい食べ物を聞かせてください。今日聴いているキッズは得だと思いますよ〜。野球をやってるキッズ、あるいはこれから野球をやろうというキッズ、あるいは今から合宿を行うというキッズ、「このポジションにはこの食べ物がぴったりだ!」ということを海老久美子さんがバシッと教えてくださいます。

まずお断りしておかなければいけないのは、その一つの食べ物を食べているだけでよい選手になれるわけではありません。あくまでも半分は遊びですから。

大村正樹

はい。

でも、キーワードとそれを含む食べ物を覚えてもらうには、語呂合わせとして非常にいいかなと思います。

大村正樹

「体のどういうところにプラスになるか」も含めて覚えられるんですね。

そうです。「不足しないように」がポイントだと思います。

大村正樹

ぜひ聴いてね。本当は全部バランスよく摂るのが一番いいんだろうけど。

それは、もちろんです。

大村正樹

まずは、野球選手と言えばピッチャー。ピッチャーは、先発や抑えで異なるわけですか?

そうですね。まず先発ピッチャーの場合には長く集中力を持続して投球しなければいけないので、スタミナが必要になります。エネルギー源になるのは炭水化物や糖質などで、食事で言えばご飯やパン、麺など。それらを切らさないようにし、それを支えるビタミンも必要です。老化防止のビタミンとも言われているビタミンEや、ビタミンC、ビタミンAなど抗酸化ビタミンも必要になります。 今言ったものをある程度バランスよく含んでいる食べ物は、カボチャです。

大村正樹

ふ〜ん。

ということで、「まずはカボチャを食べて!」と勧めます。

大村正樹

先発ピッチャーはカボチャ。

そう言い切ってしまうには抵抗がありますが、ひとつのいい食材であることは確かです。

大村正樹

スタミナにいいし、集中力も長く維持できると。

そうですね。野菜の中では、糖質が多く入っているほうです。また、ベータカロテンという形で、ビタミンAになるものやビタミンC、ビタミンEも一緒に含まれています。

大村正樹

抑えのピッチャーは、また別のものがいいのですか?

例えば一発勝負で強気に出る時に“貧血へロヘロ”だと困りますね。やっぱり強気で行くには、まず血を元気にしたいので、鉄分が足りているかどうかを気にします。

大村正樹

なるほど。

鉄分が多く含まれるのは、レバーや緑黄色野菜、貝などですね。

大村正樹

へぇ〜。

本ではレバーを紹介していますが、レバーが苦手なお子さんは多いと思います。レバーでなくても、動物性の鉄は赤黒いものと覚えていただければ結構です。

大村正樹

はい。

例えば、カツオの赤身とかマグロの赤身。肉でも鳥肉や豚肉よりは、羊とか牛肉のほうが赤いですよね。そういうところに鉄が含まれていると覚えておくといい。

大村正樹

なるほど。鉄分の多いものを摂るとよいということですね。

そうです。

大村正樹

先発も抑えも、カボチャを食べて鉄分の多いものも食べたら、よりバランスがとれてくるわけですね。

それはそうですね。ですから、食べられるものをどんどん増やしていってもらうと、すごくいいなと思いますね。

大村正樹

これぞ食育ですね。夏合宿の食事担当のお母さん方は、ぜひ参考にしていただきたいと思います。ベースボール・マガジン社から出版されている『野球食Jr.』にその辺りのことが書いてあるんですか?

これは『野球食』の中です。『野球食Jr.』は「炭酸は体にいいの、悪いの?」など、Q&A式で構成されています。

大村正樹

海老さん、あっという間に時間が来てしまいました。よろしければ来週も、キッズの夏休みのために来ていただけませんか?

はい。

大村正樹

よろしくお願いします。今週のサイコーは、管理栄養士の海老久美子さんでした。ありがとうございました。

ありがとうございました。

大村正樹

サイコーの海老さんは、「必ずこうしなさい、というわけではなくあくまで参考です!」と強調していました。でも「先発はカボチャ、リリーフはレバー」とか、どんな理由で体にいい影響を与えるかを教えながら食事を食べさせるのが、食育ですね。とても勉強になりました。