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「食育を始めよう」(2)
コーチャー/海老久美子さん(管理栄養士)
大村正樹&海老久美子
大村正樹

キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。
いよいよ夏の高校野球が始まりました。テレビで観ていたキッズも多いんじゃないかな。先週の、野球と食の話は楽しかったねぇ。今週も食に関して色々な話をしてくれるので、楽しみにしていてね!


大村正樹

今週のサイコーも前回に続きまして、管理栄養士の海老久美子さんです。こんにちは。

こんにちは。よろしくお願いします。

大村正樹

ところで、コマーシャルの影響か、僕は昔から“夏はカレー”なんですよ。

ふ〜ん。

大村正樹

何で“夏はカレー”って言われるのか。香辛料が入っているからかなと思うんですが、実際には根拠があるんですか?

そうですね。食べて汗をかき、パタパタッとあおぐと熱が気化して体温調節になります。気持ちよく汗がかけるんです。

大村正樹

食べて汗をかく、と。

スパイスの多いものはしっかり汗をかけます。また、夏場なのにラーメンが食べたい時ってありますよね。意外にも、ラーメンは夏に売れているらしい。だから、あったかいものを食べたり、スパイスの多いものを摂りたくなるのは、汗がかけるということがあると思います。それから、食中毒の防止にもなります。

大村正樹

へぇ〜。

インドの方がスパイスをたくさん使うのは、薬としての役目も大きいんです。

大村正樹

そうなんですか。香辛料は体に良いんですね。

はい。

大村正樹

「あまり辛いものばっかり食べているとバカになる」と言われたことがあるんですが、それはどうなんですか?

どうでしょうね。辛いものは、胃への刺激が強いことは確かです。でも最近は、脂肪の燃焼を助けるなどの健康効果のほうが話題になっています。

大村正樹

そうですか。

唐辛子の辛さだけではなく、スパイスは色々な香りや味の効用が認められてきているようです。

大村正樹

「辛いものを食べるとハゲる」というのはどうですか?

あ〜、どうなんですかねぇ。汗をいっぱいかくので、毛穴の中に油が溜まってしまうとよくないかも知れませんけど。

大村正樹

なるほど。

新陳代謝が活発になるので、清潔にしていれば大丈夫だと思いますよ。

大村正樹

メジャーリーグのイチロー選手がすごくカレー好きで、朝からカレーをガツガツ食べるという話を聞いたことがあるんですが、ご存じですか?

はい。とても有名な話で、よく聞かれます。イチロー選手は元々あまり野菜が得意ではなかったらしく、昔はお母様が、今は奥様が、嫌いな野菜でも食べやすいようにみじん切りにしたりミキサーにかけたりして、それをベースに作ったカレーを朝に食べているという話は聞きました。

大村正樹

では、朝からカレーを食べるのはOKなんですね。

好きな人は食べても大丈夫だと思いますが、胃に刺激を感じたり、苦手な人は無理して辛いものじゃなくてもいいと思います。ただ、カレーは色々なものを煮炊きして作る、いわゆる具だくさんなスープがベースになりますね。

大村正樹

はい。

そうなると、具材から出てきた栄養素を汁ごと全部摂ることができます。

大村正樹

なるほど。スープごといただけるということですね。

水分補給にもなります。それに夏は冷たいものばかり飲みがちですが、温かいものを食べることで内臓を冷やさないで済みます。湯気が立てば、乾燥も防げます。

大村正樹

あぁ。

子どもたちにとって何よりいいのは、お米の量がしっかり摂れるということだと思います。

大村正樹

なるほど。そりゃそうですね。カレーのルーが付いていたら、ご飯もいっぱい食べますよね。

そうです。

大村正樹

話は変わりますが、中学校2年生のうちの子は、あまり身長が高くなくて困っているんですよ。この夏休みに身長を伸ばしたいという子も多いと思うんですが、食べることと身長は関係ありますか? うちの子は結構食べるんですけど、なかなか伸びてくれません。

それは、一番多く受ける質問かも知れません。

大村正樹

やっぱりそうですか(笑)。

特に中学生が多いです。というのは、男の子の場合は中学生の時期にすごく個人差が出やすい。ですから、早く身長が伸びるお子さんと、高校に入ってから伸びるお子さんとの差が激しいんですね。

大村正樹

高校生になってからでも伸びるんですか?

はい。自分の成長期のピークがいつ来るかは、分かりにくいものです。大事なことは、ピークを迎えるまでに準備をしておくということです。

大村正樹

具体的には何を?

まずは好き嫌いなく、しっかり食べること。「たくさん食べる」とおっしゃいましたが、まずはちゃんと食事を三食、朝ごはんも抜かずに食べてもらうことが第一です。それから、身長を伸ばすためには、体のもととなるたん白質やコラーゲンが良いと言いますね。そう言えば昔、マシュマロがすごく流行ったことがありました。

大村正樹

マシュマロを食べたら身長が伸びると言われていたんですか?

そうそう(笑)。あれはなぜかと言うと、コラーゲンが形を変えたゼラチンと卵白、たん白質を一緒に摂ることができるからということだと思うんです。確かに、たん白質やコラーゲンは色々な食材から摂っていただきたい。しかし忘れちゃいけないのは、私たちの体は必要なエネルギー量が摂れていないと、たん白質でも何でも体の中のものを燃やして燃料にしようとしてしまいます。だから、まずはしっかりと成長に必要な量の食事が摂れていることが第一条件なのです。

大村正樹

いわゆる成長期に向けて備えておく、ということですね。

そうですね。

大村正樹

もし成長期が来た時に備えていなかったら、その成長のチャンスを逃がしちゃうかも知れないんですか。

極端な例ですが、あまり食糧事情のよくない国の子どもたちは、やはり身長も今ひとつ伸びません。成長期にも、お子さんたちの身長がなかなか高くならないという統計もあります。やはり色々なものからしっかり栄養を摂っていく癖をつけることが大事ですね。

大村正樹

はい。

味覚もちょうど成長してくるので、色々な味を覚えるチャンスでもあるんですよ。

大村正樹

なるほど。それから、食事にふさわしい時間帯というのはありますか。例えば朝と昼に食べて、7時頃に夜ご飯を食べて、それでも夜中の11時頃にはお腹がすいてくる場合がありますよね。夏休みは夜更かしもしますし。寝る前に食べるのはどうなんですか?

寝る時には意識だけでなく、内臓も休ませてあげてほしいんです。

大村正樹

内臓も休ませるとは、どういうことですか?

しっかりと消化して、消化が終わると大腸の収縮運動が起こって、だんだんと内臓がセルフクリーニングをするようになります。

大村正樹

へぇ〜。

そして、ずーっと体の中に残ったものが便として溜まっていく。次の朝起きて食事を摂ったことが刺激となって、便として出て行くわけです。

大村正樹

そうなんですか。

ですから、寝る前に食べると体にいっぱい食べ物が入ってきて、ずっと体が働かなきゃいけなくなっちゃう。

大村正樹

僕らは寝てるけど、内臓は働いているということ?

そうなんですよ。そうすると、本当の意味では休めなくなってしまうので、疲れが溜まる可能性があります。

大村正樹

ラボ内の研究員が全員、「飲んだ後のラーメンはどうなの?」と聞いていますが。

それは、止めたほうがいいです。

大村正樹

みんな、止めようね!

30歳を過ぎたら“フィニッシュラーメン”は危険です。

大村正樹

本当ですかぁ。

せめて“仕上げ蕎麦”ぐらいで。

大村正樹

蕎麦だといい?

蕎麦かお茶漬けぐらいだったら大丈夫です。なぜかと言うと、体の中で肝臓がアルコールを分解しますよね。その時、肝臓が糖分をちょっと欲しがるんですよ。飲んだ後、麺類やご飯や甘いものが食べたくなるでしょう。

大村正樹

そういう欲求があるんですね。

その欲求は生理現象にかなっているんですが、もし食べずにやり過ごせば、それまでに食べた分からちゃんと必要な糖分を引き出します。だから、なるべくスマートにやり過ごしてください。

大村正樹

へぇ〜。

そこでチャーシュー麺に行くのは、ちょっとリスクが高過ぎる。

大村正樹

チャーシュー麺は止めたほうがいいと。

とんこつラーメンも止めたほうが(笑)。

大村正樹

せめてあっさり系。

せめてね(笑)。

大村正樹

気をつけなくちゃ。だって、いい年なんだからさ。ラボの研究員たちも気をつけよう! もうこんな時間になってしまいました。先週と今週は、キッズだけでなく親御さんも非常に参考になったと思います。

そう言っていただけるとうれしいです。

大村正樹

また来てくださいね。今回のサイコーは、管理栄養士の海老久美子さんでした。ありがとうございました。

ありがとうございました。

大村正樹

サイコーの海老さんは、本当に勉強になったなぁ。結局は、好き嫌いなく、バランスよく食べることが一番大事なんだと思いました。おいしいものや自分の好きなものをバクバク食べちゃうけど、それだけではダメだと。苦手なものもバランスよく食べることで、健康な体ができるということなのね。夏バテしがちなシーズンだから、気をつけてね。