
キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。
さぁお盆です。お〜いキッズ、文化放送が聴こえるエリアにいる? みんな、里帰りしてない? 今日はこのラジオを聴いてくれているキッズのために、とっておきの“目からウロコ”の話。タワー、建物…、色々な話を聞きます。お楽しみに。

今週のサイコーは、高橋俊介さんです。こんにちは。
- こんにちは。

高橋さんはアーバンデザイナーで、一級建築士。東京大学の工学部建築学科を出られた後、アメリカのコロンビア大学、それからハーバード大学で修士号を取得している。おいくつまで大学にいたんですか?
- 31歳ぐらいまでですね。

31歳まで大学生だった!
- ええ。なぜかと言うと、アメリカの大学は仕事をした経験を持っている人が大学院に進むことが多くて、その中でも僕が専攻したアーバンデザインは、年齢が26、27歳ぐらいでないと入れてくれない場合もあるんです。

じゃあ、大学生としての適齢期だったわけですね。
- そうですね(笑)。

日本に戻ってから手がけた建物は何ですか? 例えば東京都内では?
- 設計のすべてに携わるわけではありませんが、色々な人と一緒に造ったものの中で、最近のものではペニンシュラ東京があります。

日本橋辺りですか?
- 日比谷の交差点にあります。

新しいホテルですね。
- そのひとつ前がマンダリンオリエンタル東京。これが日本橋です。

じゃあ、東京駅近くにできたあの2つの建物は、高橋さんがチームに入っているんですね。
- そうです。

へぇ〜。
- ホテルの人間として、プロジェクトマネージャーという役割で入っていました。

今ペニンシュラやマンダリンの前を通ると、「俺が手がけたビルは今日もキレイだぜ」なんて思うんですか?
- 「総支配人、しっかりやってるかなぁ」という感じですねぇ(笑)。

そうですか。高橋さんは、日刊工業新聞社から『建物の科学』、ソフトバンククリエイティブから『巨大高層建築の謎』という本を出されていますね。今日は大きな建物の話を聞いていきたいと思います。東京の大きな建物といえば、六本木ヒルズやミッドタウンですね。タワーだったらやっぱり東京タワーが日本一ですよね、333メートル。
- はい。

世界で一番高いタワーは何メートルあるんですか?
- 厳密に言うと、タワーと建築とは少し違います。建築は、人間が中に入って生活をしたり働いたりできる建物。タワーはそれ以外に、テレビのアンテナなどの機能があります。

鉄塔みたいなものですね。
- そうです。余り知られていませんが、高いものでは600メートル以上のものもあります。

一番高い鉄塔は何メートルですか?
- 630メートルぐらいあったと思います。

再来年ぐらいにできる東京スカイツリーは、610メートルですよね。
- そうです。

もうすでに630メートルのタワーが、世界にはあるということですか?
- ええ。

どこの国ですか?
- 4本ぐらいありまして…。

えっ、630メートルが4本!
- 一番高いのはアメリカにあります。

アメリカに! 何というところにあるんですか?
- えーとですね(笑)。

それは分からない?
- あの……。

サイコーがカバン出しちゃいました。サイコー、調べてくれるんですか? すみません。いいですよ、分からなければ(笑)。
- 高い塔を建てるために、特殊な方法を使うんです。周りに何もないところに塔を建てる場合、支線式という方法を使うことがあります。

支える線と書いて、支線式。
- はい。自立しているのではなく、支える線で引っ張ることで建っています。

アメリカの630メートルのものも、そうなんですね。
- スカイツリーよりも高いと言いましたけれど、それらの建物は全て支線式で、線で引っ張っているんです。

テントみたいなものですね。張り糸があって、ピーンと張って建っているようなもの。
- テントの支柱を引っ張っているのをイメージしてください。

じゃあ、東京スカイツリーは610メートルだけど自分の力で建っているタワーということで、誇りに思っていいわけですか?
- はい、そういう意味では世界一です。

あっ、そうなんですか。すごい! 知らなかったぁ(拍手)。世界一のタワーはもっとあるけれど、自分で踏ん張って建っている中では、東京スカイツリーは世界一なんですね
- そうです。

あ〜、2年後が楽しみ〜!
- フフフフ。

東京タワーは333メートル。一気に追い抜いていくんですね。
- そうです。

でもタワーは人が住めない。人が入れる、いわゆるビルとか箱みたいなもので一番高いのは何メートルぐらいですか?
- 今年完成の予定で造っているものは、818メートル。

818メートル!? スカイツリーより200メートルも高い!
- はい。

ビルですか?
- ええ、ビルです。

どこにできるんですか?
- これはドバイという街。

UAE、アラブ首長国連邦ですね。
- そうです。

ドバイに、818メートル!
- はい。

だって、400メートルトラックを2周とちょっと、ということですよね。
- そうです。

何階建てですか?
- これが、162階。

162階建て。これまで世界で一番高いビルは、何階建てで地上何メートルだったんですか?
- 今まで一番高いビルは、台北(タイペイ)。

台湾。
- 台北101(イチマルイチ)という建物で、これが509メートル。

じゃあ、一気にドバイのビルは、309メートルも高いものができるわけですか?
- そうです。

台北は何階建てですか?
- 101階。

101階、だから101。
- そうですね。

渋谷の109(イチマルキュウ)は109階建てじゃないけれど、日本の隣の台北に世界一高いビルがあるということですね。そして、今度はUAEにもっと高いビルができちゃう。
- はい。

へぇ〜。そのビルはどういう目的で使われるんですか?
- ブルジュ・ドバイは、下階はアルマーニの高級ホテル。

高級ブランドだよ、アルマーニは。
- それからマンションとオフィスビル。その他に運動施設なども入りますが、基本的にはオフィスビルが主体で、住宅とホテルというイメージでよいかと思います。

建築家の目線から見て、高いビルを建てる時にどこに一番興味を持ちますか?
- 技術的なところですね。

高いビルを造るのは、物理的に何メートル、あるいは何階まで建てられるんですか?
- 構造物として建てようとすると、要は倒れないようにすることが大事ですよね。

ええ。
- そうすると、ピラミッドを想像していただくといいと思うんですが…。

三角形に。
- ええ。下を広くして上を狭くしていけば、構造的に持たせることはできます。ですから、高さは下を広くするに応じてどんどん高くできると思うんです。

そうか、そうか。
- ただ、非常にお金がかかるなどさまざまな要因で、高いものをいきなり建てるのは難しい。ひとつ分かりやすい例で言うと、高いところに行くにはエレベーターが要りますよね。

はい、もちろん。
- 歩いて上がっていくわけにいかないから。でもエレベーターがサービスできる高さには、限度があります。

へぇ〜。
- エレベーターは、ロープで引っ張って動きます。何か物をぶら下げているイメージをしていただくと分かると思うんですが、ロープがどんどん長くなっていくと、最後にロープの重さ自身も重くなってしまって、ぶら下げているものよりもロープが重くなってしまう。そうすると、ロープ自体が自分の重さで支えきれなくなって切れてしまう。

へぇ〜。じゃあ、エレベーター技術が向上したら、無尽蔵に高い建物を造ることが可能ということですか?
- 可能だと思います。

えっ〜!? あっ、もう時間だ。あっという間でしたね。また来週もお越しいただいて、もっと建物の話を伺ってもよろしいですか?
- はい。よろしく。

よろしくお願いします。今週のサイコーは、アーバンデザイナーで一級建築士の高橋俊介さんでした。ありがとうございました。

ラボの助手君が子どもの頃に、日本で一番高かったビルはどこ?
- 助手 :サンシャインです。

あぁ、そうなの。僕は霞が関ビルだったんだよね。霞が関ビルの高さが147メートルだった。昔は147メートル。今度、年末には818メートルのビルができるって。いやぁ、ほんとすごいねぇ! あとはエレベーターの開発を待てば、もっと高いビルができるんだね。サウジアラビアでは1600メートルのビルを造るという話もあるみたいですよ。みんな、楽しかったかな?