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「キッズの質問に答えます」(1)
コーチャー/寺門和夫(科学ジャーナリスト)
大村正樹&寺門和夫
大村正樹

キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。
今週からノーマルラボに戻ってきました。先週と先々週2回にわたって、公開収録の様子を聴いてもらいました。年に1回のイベントだったけど、ほんとに楽しかったなぁ! 今週からは数週間にわたって、キッズからの質問にお応えしようと思います。
1回目は、今気になるでしょうインフルエンザ。お母さん方もぜひ聴いてください。


大村正樹

夏のビッグイベントも終わって、今週から番組も立て直していかなくちゃいけないので、おなじみのサイコーをお招きしました。科学ジャーナリストの寺門和夫さんです。こんにちは。よろしくお願いします。

こんにちは。よろしくお願いします。

大村正樹

では、さっそくいきましょう!
さいたま市のサトル君、小学校6年生からいただきました。「今、ニュースなどで毎日のように新型インフルエンザが取り上げられています。新型インフルエンザがとっても心配です。僕は何とかかかっていませんが、そもそも風邪とインフルエンザはどう違うんですか?」。
そうなんです。僕は大人だからもう分かりますけれど、子どもからしてみると、頭が痛くて咳が出て熱が出たら風邪、と思っちゃいますよねぇ。

そうですね。

大村正樹

どう違うんですか?

普通よく風邪をひくといいますよね。鼻水が出たり、のどが痛くなったり咳が出たり。最初に出る症状は、いわゆる風邪といわれているものとインフルエンザといわれるものは全く同じです。
ただ実際には原因が違うんですね。インフルエンザはインフルエンザウイルスという、ある特定のウイルスが原因で病気が始まるわけです。一方、普通の風邪はインフルエンザ以外のウイルスや細菌に感染した時にかかる。極端にいってしまうと、風邪の症状は比較的に軽いけれど、インフルエンザにかかると非常に重い症状が出る。熱がたくさん出たり、頭痛や全身が衰弱したり…そんな症状が出るという違いがありますね。

大村正樹

今でこそ、熱が出て、頭が痛くて、鼻水が出て病院へ行ったら、コヨリみたいなものを鼻に突っ込むインフルエンザチェックの検査キットがあるじゃないですか。でも、こうしてインフルエンザが話題になるまでは、基本的にお医者さんへ行って熱をはかって、熱さましや抗生物質をもらっておしまい、というケースが大半でしたよね。
だから、これまではお医者さんも風邪かインフルエンザか、はっきりと分からない診断をしていた人も多かったんじゃないでしょうかねぇ。

そうですね、そういったことがあったかもしれません。ただ、今年が去年までの状況と違うのは、いわゆる新型インフルエンザという新しいインフルエンザのウイルスが出現して世界中に広まっているんですね。つまり、人類は初めてそのウイルスに出会ったわけで、免疫を持ってないということ。
普通は、以前かかったり、自分の中に免疫力があれば、体の中の免疫機構がよそから入ってきたウイルスや細菌をやっつけることができる。しかし、今回は初めて遭遇したウイルスなので、やっつけるための免疫力を持っていなかったということなんですね。

大村正樹

ええ。

つまり、今年の新型インフルエンザウイルスは、初めてかかるのでかかりやすいということ。それと、症状がどれぐらい重くなるのかがまだはっきりしてないところがある。そのため、世界的にも非常に心配しているわけです。だから、きちんとした予防が必要で、かかった場合にはちゃんと調べて対策をとるということをやっています。

大村正樹

今年は夏なのにインフルエンザが蔓延して、とてもびっくり!
新型か?何型か? 実はA型だったという人も多かったと思うんですね。
でも、A型というと、冬の代名詞みたいなものじゃないですか。それなのに、A型のインフルエンザのウイルスがウヨウヨ飛散してた…。
インフルエンザは冬のものじゃないんですか?

基本的にウイルスは1年中います。ただ、冬になると感染して広がりやすいんです。
これから、いわゆる季節性のインフルエンザという、今まで存在したインフルエンザに、プラス新しいインフルエンザのウイルスにかかる人がどんどん増えてきます。でも、新しくかかる人が出ないようにしなくてはならない。そのためにも、今から予防や対策をとっておけば、冬場の患者を減らせる可能性があるんです。

大村正樹

僕など正直言って覚悟してます、今年は。だって、まだワクチンないじゃないですか。しかも最初におっしゃった通り、人類が初めてかかるウイルスですよね。これだけ世界的に流行しちゃったら、防ぎようがないじゃないですか。絶対にかかることは覚悟してる…。ところで、今できる防ぎ方はあるんですか?

なかなか難しいですね。周りの人から感染してしまうというケースが非常に多いですから。だから、やっぱり気をつけなければいけないのは、よくいわれてますが手を洗ったり、うがいをしたりすること。大体ウイルスは飛沫感染といって、くしゃみや咳などで唾液の中にあるウイルスがくっついてくるわけですから。

大村正樹

はい。

それから、もしも「自分でかかったのかな?」と思ったら病院へ行くことも大事ですが、まず最初に人にうつさないように心がけること。例えばマスクをしたり、あまり人ごみの中へは出て行かない。みんなが気をつけて、社会全体の中で感染者の数を減らすことがとても大事なんです。

大村正樹

自分でかかっちゃった人が蔓延させないこともエチケットというか、マナーというか…。

そうです。新型のインフルエンザは、実は流行するのは仕方がない。初めて人類が出会うわけで、まだワクチンもちゃんとできてない。それから、薬がどれぐらい効くかも完全に分かってない。そういった状況の中で、人間の社会に新しいウイルスが入ってきたわけですから、ある程度広まっていくのはやむを得ないんですね。しかし、なるべく感染者の数を少なくする。それから特に重症になる人が出ないようにしなくてはなりません。

大村正樹

いわゆるウイルスを受け入れやすい体の条件とは?

基本的には、体の免疫力が弱っているとどうしてもかかりやすくなります。
例えば糖尿病や喘息の方、腎臓や心臓に病気がある、いわゆる慢性の病気をお持ちの方、それから高齢者や小さい子どももそうです。こういった方は、免疫力が何らかの形で低下してたり、小さい子どもさんの場合には、まだ完全な免疫体制ができてない。そんな中で感染すると、症状が重くなったりすることが考えられます。

大村正樹

ラジオを聴いてくれてる元気なキッズ世代は、比較的大丈夫ということですか?

でも、やっぱりみなさんも気をつけないといけないと思います。というのは、学校でみんな一緒に勉強しています。一人がかかるとすぐに教室の中でそのウイルスが広がってしまう可能性がある。ですから、学校の先生方は当然のことながら、そういったことを注意していると思います。
学校という場所は非常に楽しいところですが、逆にそういったものが広がる場所でもあります。先生方、ご両親方は当然心配してチェックされてるから大丈夫だと思いますが、やっぱり自分でも心がけるようにしたほうがいいですね。

大村正樹

そうですよね。つまり、免疫力が弱まっている人がかかってしまったら重くなる。でも、誰もがかかる可能性があるということですね。

そうです。誰もがかかる可能性があります。しかし、ほとんどの場合には、普通のインフルエンザのウイルスであれば軽い症状で治ってしまいます。ですから、そんなに心配することはないですけれど、場合によって体の調子が悪かったり、何らかの慢性の病気を持っている人だと非常に重症になることもあるので、気をつけなくてはいけないということです。

大村正樹

先月の終わりに、北海道の学校が夏休み終わったら学級閉鎖になったり、東京都内でも学級閉鎖になる学校がありましたものね。

これからは、人がたくさん集まる場所で何かがある時は、気をつけなくちゃいけない。いろいろな集会やイベントも場合によっては中止になったり、延期になったりすることがあるかもしれませんね。

大村正樹

ラボ内も今日はみんなマスクをしていて、「この人たち、大丈夫かな?」と思ったら「予防です」というから、ちょっとホッとしたんですけれど。 はい、ありがとうございました。さいたま市のサトル君、いい質問ありがとうね。非常に盛り上がってしまいました。サトル君もインフルエンザには気をつけてね。今週のサイコーは、科学ジャーナリストの寺門和夫さんでした。また来週お願いしていいですか?

はい、わかりました。

大村正樹

ありがとうございました。

大村正樹

みんな、どうだったかな? 僕はラボ内で、みんなには見えないと思うけれど、あるものをしています。
――音声的にはどうですか、影響がありますか?
ちょっと影響があるらしいです。実は、マスクをしてみました。ということで、マスクは大事なんだね。かからないためにもマスクは必要だけれど、人に移さないためにもマスクをするという配慮が必要。「かかったかな?」と思ったらマスクをしてね。
――はい、マスクをとりました。
それでは、来週もまた夕方5時半に会いましょう。バイバ〜イ!