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「キッズの質問に答えます」(2)
コーチャー/寺門和夫(科学ジャーナリスト)
大村正樹&寺門和夫
大村正樹

キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。
今日から5連休! うらやましいねぇ。ラボのメンバーは、あまり休みは関係ないんだよね。
では、今日もみんなからの質問に応えていきます。ラボにはたくさんの科学の疑問が届いてますよ。お知らせの後、お伝えしま〜す。


大村正樹

今週のサイコーも、科学ジャーナリストの寺門和夫さんです。こんにちは。

こんにちは。

大村正樹

また、キッズの質問に応えていただこうと思います。練馬区のエイタ君、小学校5年生からいただきました。「この前の新聞に、ヒマラヤで新しい種類の動物や植物が見つかったという記事が載っていました。まだ見つかっていない生き物がいたことが驚きです。まだ知られていない生き物って、他にもたくさんいるんでしょうか?」
 その記事は8月半ばの新聞に載ってました。 〜「『飛ぶカエル』など新種続々、ヒマラヤで350種以上」。ワシントンの特派員の方が「WWF(世界自然保護基金)という機関が、ヒマラヤ山脈の東部でこの10年で350種類以上の新しい動物たち、植物たちを見つけた。よく発達した後ろ脚の膜を使ってムササビのように滑空できる『飛ぶカエル』なども含まれている」〜と。  新聞記事に飛ぶカエルの写真もありますね。でも、ちょっとこの写真だけじゃよく分からない。 他にどんなものが見つかっているんですか?

WWFはずいぶん長い時間をかけてヒマラヤでの調査をしました。ちゃんと調べると、われわれがまだ知らない生物がたくさんいることがよく分かったわけです。

大村正樹

ヒマラヤって、めちゃくちゃ寒いところですよね?

はい。高地ですけれど、当然それなりに自然はあります。もちろん森林もあるし川もあるので、実は非常に生物は豊富なんです。

大村正樹

へぇ〜。

ただ、われわれはそこにどんな生物がいるかをほとんど知らなかった。たとえば、この空を飛ぶカエルとか、そういったものもいたということですね。

大村正樹

今日、寺門さんがその記事を元にして調べてくださった。

はい。

大村正樹

あっ、何これ? これが新生物!?

はい。それはWWFが今回の調査についてまとめたレポートで、それをプリントしてきたものです。

大村正樹

茶色くて、異様に目がでかいカエルがいる。うわっ、気持ち悪い! 緑色をしてインコみたいだけど、胸からお腹に向けて妊娠してるみたいにボッコリしてる鳥がいるし、やたら口ばしが長い鳥もいるし…。 えっ、何これ! エビ? 尾っぽの小っちゃいエビがいて…。
うわっ〜! ヘビ!! 緑のヘビがいるよ〜、嫌だこんなの!――すみません。緑色をして、目の横に茶色い線が入っている。何このヘビ!? これはヒマラヤのヘビですか?

ええ。ですから、いろんな種類の生物がいるわけです。もうちょっと見てください。実はすごいきれいな花も発見されてるんです。

大村正樹

すみません。動揺してしまいました。

これを見てください。すごいきれいな花も見つかってますね。

大村正樹

ハイビスカスの花の紫色バージョン。

そうですね。蘭の花みたいな感じもしますしね。

大村正樹

こんなのがヒマラヤに?

そうですね。本当にヒマラヤは生物がたくさんいるところ。われわれが全然知らなかったということですね。今まで知らなかったようなすごく奇妙な生物がいて、ちょっと気持ち悪かったりしますけれど…。でも、きれいな花も咲いてるし、本当に自然が豊かだってことですね。

大村正樹

これはWWFという機関が実地調査をした結果ということですか?

世界中の科学者がいろいろなところで調査してますね。そのサポートを、WWF以外にも多くの団体がやってます。このレポート以外にもたくさんのレポートが出ていて、インドネシアとかさまざまなところで新しい生物がどんどん見つかっているんですね。

大村正樹

じゃあ、今回はヒマラヤチームの研究結果の発表でしたが、インドネシアチームとか、例えばマダガスカルチームやイースター島チームとか…あっちこっちでチームがあって報告してるんですか?

そうですね。そこでは必ず新種が見つかるというぐらい、実はわれわれの知らない生物がたくさんいるんですよね。

大村正樹

去年、寺門さんがこのラボにお見えになった時に、地球上の生物の種類は、植物もあわせておよそ200万。と教えていただきました。

そうです。200万種類です。

大村正樹

ということは、年々その種類が増えてるってことですか?

ええ。見つかってる種は増えてます。ただし、絶滅している種もいますから、プラスマイナスでいうと、われわれの知っている生物種は、きっと減ってるほうが多いでしょうね。

大村正樹

あぁ、そうかぁ。それはやっぱり温暖化の影響とか?

温暖化だけではありませんね。たとえば、開発が進んで森林が農地になってしまったということもありますし、温暖化ではない気候変動で環境が変わってしまうことも当然ありますね。いろいろな要因があるので、一概にはいえないと思いますけれど。いずれにしてもさまざまな原因によって、生物が絶滅している。ただし、種の多様性といいますが、いろいろな生物がたくさんいると、生態系が守られて、多少環境が変化しても生物は生き残ることができる。

大村正樹

ええ。

ただ、だんだんそういった種の多様性が失われて、環境がどんどん悪くなって生息地が狭まってくると、生物は絶滅するしかないことになってしまう。

大村正樹

なるほどねぇ。でも、このヒマラヤのものにサルかと思ったら、お尻の赤くないサルがいたんですよ。何か雪男のイメージというか(笑)。

ハハハ。

大村正樹

こんなサルも今までは発見されてなかったということですか?

そうですね。ですから、例の雪男の話も完全に嘘だという人もいますが、まだ見つかってない生物がいて、そういったものの足跡じゃないかという人もいますね。それは分からないですけれど、こういうヒマラヤみたいな普通は生物なんかいないと思っている高いところに、これだけたくさん豊富に生物がいるわけですから、まだまだ知らないことがたくさんあるということでしょうねぇ。

大村正樹

そうですよねぇ。たとえば、東京都内で新種の生物を発見するために、今ラジオを聴いているキッズにチャンスがあるとしたら、どのあたりに…(笑)?

すごく難しいですね。

大村正樹

奥多摩とか?

そうですね。奥多摩ぐらいに行って探すと、哺乳類、は虫類、両生類は無理かも知れませんが、たとえば植物、コケとか微生物の中には、たぶん東京にもまだたくさん新種がいると僕は思ってます。われわれが知らないだけで。

大村正樹

微生物。じゃあ、電子顕微鏡で見れば発表できるものがあるかもしれない。

たとえばカビの種類とか。

大村正樹

あっ、カビの種類もやっぱり生物の一種?

もちろん、そうですね。

大村正樹

へぇ〜。あと、小笠原のほうへ行ったら、東京でも海が深いですよねぇ。海の底もまだまだ知らない生物がいそうですね。

はい。日本の深海潜水艇が深い1万メートルぐらいのところを調べてますが、生物は本当に新種ばかりですよね。

大村正樹

へぇ〜。

ほとんど知らないものばっかりですから。

大村正樹

海って、一番深いところで何メートルあるんですか?

いわゆる海溝といわれているところは、1万メートル以上ありますよね。

大村正樹

マリアナ海溝、1万メートル以上。

そうです。

大村正樹

そこに潜った人はいるんですか?

日本の潜水調査船だとか、いろんなものが潜ってます。

大村正樹

そこで、初めて見る生物とか?

そうです。それから、もう一つはそれほど深くなくても、たとえばいわゆる熱水鉱床(ネッスイコウショウ)といってますが、海底から温泉が湧いているようなところには生物がたくさんいますね。

大村正樹

アイスランドとか、ああいうところに温泉がありますよね?

そうです。それが海に潜っているところです。

大村正樹

でも、日本は火山帯にありますから、海底火山とかあるんですか?

もちろんありますね。どこからか溶岩が湧き出してきて噴火するのが海底火山ですから。そういった場所はわりとあたたかくて、地球の内部からいろいろな栄養分が出てくるので、生物がたくさんいるんですね。

大村正樹

へぇ〜。年間どれぐらい新種が発見されているものですか?

これはちょっと、なかなか統計がないんですね。つまり、調査によってどのぐらい発表されるかによるので。ただ、やっぱり毎年100とか200ぐらいは発表されていると思います。

大村正樹

そうですか。1個ぐらい、死ぬまでに発見したいなぁ(笑)。

そうですねぇ。この放送を聴いていらっしゃる方も、将来そういった夢を持って研究していただけるといいですね。

大村正樹

はい、分かりました。練馬区のエイタ君、小学校5年生、どうもありがとう。今週のサイコーは、科学ジャーナリストの寺門和夫さんでした。ありがとうございました。

どうも失礼しました。

大村正樹

大村:本当にお見せできないのが残念だけど、ヒマラヤの新生物、興味深いのがいっぱいあって・・・。飛ぶカエルとか、結局はカエルの進化系なわけでしょ。やっぱり生き物の世界は非常に不思議だよね。
人間はあまり進化しないね。でも、1000年ぐらい経ったらヒレとか生えたりするのかなぁ? みんな、どうだったでしょうか? 来週もまた夕方5時半に会いましょう。キッズのみんなも楽しい5連休を過ごしてください。うらやましいなぁ〜。バイバイ!