
キッズのみんな、明けましておめでとうございま〜す。サイエンステラーの大村正樹です。お正月の2日、夕方5時半を回りました。今年も毎週土曜日の5時半からは、東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボから、みんなの好奇心をコチョコチョコチョッとくすぐる放送をお送りします。今年もどうぞよろしくお願いいたします。お正月だからみんなもおいしいものをいっぱい食べてると思うけれど、今年最初のテーマは、やはりお正月にちなんで“食べる”をテーマにしたいと思います。お知らせの後、サイコーの登場で〜す。

今年最初のサイコーは、日本科学未来館の五十嵐海央さんです。明けましておめでとうございます。
- はい、明けましておめでとうございます。

すみません、1月2日からお呼び立てしまして。
- いえいえ、こちらこそありがとうございます。

ラボは毎週土曜日、勝手に開いちゃうんですよ。
- ハハハ。

未来館はいつからですか?
- 未来館も1月2日から。

じゃあ、今日はもう仕事始めされて、ラボの方に?
- そうですね。

今、日本科学未来館では3月22日まで『‘おいしく、食べる’の科学展』の真っ最中ということで、どうですか、新年最初のお客様の入り方は?
- たくさんのお客様に来ていただいて、にぎわっております。

実は五十嵐さんは、未来館の『‘おいしく、食べる’の科学展』の中でキッズたちに説明しているお姉さんだと聞きました。
- はい、そうです。実際に科学展の中に立っていまして、みなさんにいろいろ説明したりしています。

今までやってきて、どんな質問が多いですか?
-
いろんな質問がありますねぇ。面白かった質問だと…、宇宙食の展示があるんですが、「どうやって食べるんですか?」とよく聞かれます。

ラーメンやフリーズドライしたものとか、「あれ、どうやって食べるのか?」って。
- はい。

これから未来館へ行ったら、五十嵐さんに聞けば教えてくれるということですね。
- 科学コミュニケーターがいますので、ぜひ質問してください。

はい、分かりました。で、今日は“植物工場”というテーマですが、植物を工場で作っているということですか?
- そうなんです。お野菜というと、どうしても畑で育てているイメージがあるんですが、“植物工場”といいまして、建物の中で野菜が作れるようになっているんです。

ビニールハウスとかじゃないんですか?
- ちょっと違うんですねぇ。

金属の建物の中で、植物とか野菜を作っているということですか?
- 建物、工場の中で野菜を作っているんです。普通は畑だと太陽の光を浴びて育っていますが、建物の中で土ではなく水耕栽培で。

水耕栽培?
- はい。肥料が入ったお水を使って野菜を育てる、というのがあります。

土がつかないで、水だけで野菜が育つということですか?
- そうですね。作られる野菜が限られてはくるんですが、土を使わずに野菜を作れるということですね。

太陽の光は当てないんですよね。
- 太陽の光を使う時もあるんですけれど、通常は電灯とかLEDの照明などを使います。

でも、植物が成長するには光合成という、太陽の光は絶対必要じゃないんですか?
- 光は必要なんですね。LEDを使うと植物の成長に必要な光を選んで当てることもできるので、効率よくさらに大きく野菜を作ることもできるんです。

LEDって自転車のピカピカ光るライトとか。
- イルミネーションとかにも使われてます。

ですよね。先週あたり、まだイルミネーションがきれいだったから、ああいう光でも植物が育つということですか?
- そうなんです。

へぇ〜。その植物工場で作っている野菜は、主にどんなものがあるんですか?
- 主に葉っぱの野菜が多いですね。レタスとかサラダ菜とか。

じゃあ、春菊とかホウレン草もですか?
- 種類はまだ限られてはいますが、春菊はどうでしょうねぇ。ちょっとまだ私は聞いたことがないんですが…。

レタスとサラダ菜。
- あとはハーブ、焼肉のサンチュとか、あの包む葉っぱですね。

イメージできました。いわゆるビローンとなっているような葉野菜ということですね。締まりのあるものではなくて、レロレロの葉っぱの野菜が土なしで育てやすいということですか?
- ハハハハ。今、多く作られている種類のようです。

それは日本でも流通しているんですか?
- はい。意外と多く流通しているようですが、計算で出したところ、国内で売られているレタスの0.6パーセントぐらいがすでに植物工場生まれの野菜ではないかと。

1000あったら6が植物工場で作られた野菜ということですか。スーパーとかで売っているんですか?
-
はい。スーパーで売っているのもありますし、あとはコンビニエンスストアで売られているサンドイッチに使われているそうです。

えっ、消費者としてはどっちがいいんだろう? 植物工場生まれの野菜はおいしいんですか?
- おいしいですね。味は変わりがないし、植物工場で作ったほうにビタミンCが多く含まれている野菜もあるそうです。

へぇ〜。でも、日本は別に植物工場で野菜を作る必要はあまりないですよね。
-
でも畑で作ることができる面積は、もう日本は限られているんです。

そうか。
- 例えば、たたみ一畳分の畑があったら、外だとその広さでしか作れないですが、工場で作れば何段重ねにもできるんですよ。

はぁ〜、縦に。野菜畑が縦に並んでいるということですか?
-
そうなんです。それぞれにLEDとか照明をつけてあげれば、限られた面積でもたくさん一度に野菜を作ることができるんですね。

じゃあ、イメージは昔、戦後焼け野原の東京は平たかったけれど、そこに家が建ちながら、だんだんビルになっちゃったのと同じようなイメージですかねぇ?
- まぁ、ビルみたいな感じかも知れないですね。何階建てというか。

五十嵐さんは野菜工場を見たことがあるんですか?
- 直接、自分の目で見たことはないんですが、今、未来館で行なっている『‘おいしく、食べる’の科学展』の中でも展示としてご紹介したり写真などもあるので、私の中でそういうイメージはつかんでます。

工場で野菜を作る。――ちょっとキッズのみんなもイメージしてみてよ。で、未来館へ行けば、それが分かるということですね。
- そうですね。その様子を見ることはできます。

その工場はちなみにどこにあるんでしょうか?
- 国内だといろいろなところにあります。

首都圏では?
- 私が最近知ったのだと、ここから近い汐留にもあるそうです。

えっ〜! ほんと!?
- はい(笑)。

汐留に野菜工場! じゃあ、未来館の帰りにゆりかもめで汐留に下りたら、野菜工場の見学も可能ですかねぇ。
- 見られるかもしれないですね。

へぇ〜。そうか、興味深いなぁ。
- 都会でも野菜が作れるということですよね。

これからそうやって野菜工場で作る野菜が増えてくるかも知れないですねぇ。
- そうですね。今はどうしても土を使っていないので、例えばジャガイモとかゴボウみたいな根菜類はまだ作られていません。
- そうですね。ですが、葉っぱものの野菜で作れるものは増えていくと思います。技術が進歩すると、効率よくたくさん作れる野菜の種類はきっと増えていくと思いますね。

ニンジンとか、いわゆる土の下に生える野菜。

なるほど。もっとほかにメリットはどんなものがありますか?
- ほかには、土を使わないというところでクリーンな野菜が作れる。はっきり言ってしまうと、洗わないでも食べられる野菜が作れるそうです。

そりゃ、いいですねぇ。
- 意外と土の中にいろんな微生物たちがたくさんいるんですね。

今の話を聞くと、日本って食糧自給率が大体40パーセントと言われてるじゃないですか。これをもっともっと上げていかなければいけないというのも、未来館では展示してありますよね。
- そうですね。食べる食事のメニューを考えたりとか、そういう工夫で食糧自給率を上げることもできます。

この野菜工場がどんどんどんどん増えていくと、国内の食糧自給率が上がるという効果もありませんか?
-
国内にある野菜工場でも、冬に雪が降ってしまって野菜が作れないような所でも作ることができる。畑ができない時季にも野菜が作れるようになりますよね。そうすると、自給率は全体的に上がるかもしれないですねぇ。

なるほど。この時季の北海道のめちゃめちゃ寒い所でも、青々とした野菜が育つということですね。
- はい。そういうことが望まれます。

逆にものすごく暑い所でも、野菜は全国均等にできるということですよね。
- その工場を建てることができれば、ですね。砂漠とか南極とかでも青々とした野菜が作れるかもしれません。

そうですよねぇ。あっ、もう時間! ちょっと新春一発目だったから、ついついひとりでしゃべっちゃった。
- ハハハハ。

ちゃんとしゃべれましたか、大丈夫ですか?
-
はい、ありがとうございます(笑)。

もしよかったら来週も来ていただけません?
-
はい、ぜひ!

よろしいですか、ありがとうございました。新年一発目のサイコーは、日本科学未来館の五十嵐海央さんでした。
-
ありがとうございました。

今年、2010年ですよ。よく考えたら、この番組が始まったのは2006年でしょ。足掛け5年目じゃないですか! すごいですねぇ。 それではみなさん、今年もよろしくねっ。来週もまた夕方5時半に会いましょう。バイバ〜イ!