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「キッズの質問に答えます」(2)
コーチャー/寺門和夫さん(科学ジャーナリスト)
大村正樹&寺門和夫

大村正樹

キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ、今週もみんなからの質問にこたえていきますよ〜。ラボにはたくさん科学の疑問が届いてます。お知らせの後、サイコーの登場で〜す!


大村正樹

今週のサイコーも前回に続きまして、科学ジャーナリストの寺門和夫さんです。こんにちは。

こんにちは。


大村正樹

さっそく、キッズからの質問にいきましょう! 中野区のラジオネーム“リズムのアフリカ”さん、中学校1年生。男の子かな、女の子かな? 「映画の『宇宙戦艦ヤマト』を観て興味を持ち、お父さんに昔のヤマトのことを聞きました。また月や火星に基地をつくったり、ガンダムのようなスペースコロニーをつくって人間が移住するのはいつぐらいのことですか? それとも本当は無理なんでしょうか? 興味があるので教えてください。私はまだ中学生ですが、自分が大人になって死ぬまでにずっと地球にしかいないと思うと、寂しい気がします」だって、興味深いですねぇ。これ、どうですか?

これも未来の話ですが、たぶん若い人は興味を持っているテーマだと思いますねぇ。
大村正樹

だって、オバマ大統領が2030年、もう20年後ですよ。「火星に!」という計画を明らかにしましたもんね。

そうですね。まず長期的にいうと、必ず人間は宇宙に出て行くと思うんですね。ですから、月面や火星に基地をつくったり都市をつくったり、それからスペースコロニーみたいなものとか、あるいは小惑星に住むということは、たぶん必ず起こることだろうと。


大村正樹

必ず? へぇ〜!

それはどうしてかというと、地球は限られた場所しかないですけど、これからどんどん人間が増えてったりするとやっぱり住む場所も必要になるし、地球は資源も有限なんですよね。ですから人類がもっと発展していくためには、宇宙という広いスペースに出て行くことが必要ではないかと僕は思ってます。


大村正樹

そのためには宇宙戦艦ヤマトのような、あるいはガンダムのようなアニメの世界は、現実的にはどうなんですか?

たぶん最終的には実現すると思うんですね。ただし、ああいったところで描かれている技術は、まだなかなか難しい。宇宙空間を自由に移動したり巨大な構造物をつくったり、そういったことはこれからどんどん研究して、それから太陽系の天体はどんなものかということでもっと調べないといけないですね。


       

ですから今の時代は、そういった将来の月面とか火星の基地やスペースコロニーをつくっていくための準備でいろいろなことをしている時代だと考えることができるんじゃないかと思うんですね。


大村正樹

なるほど。たぶん宇宙に行く形態で戦艦は使わないと思うけれど、実現することは十分可能ということですね。

そうですね。今お話になったアメリカのオバマ大統領は、2030年代には火星に人間を着陸させるといってますね。おそらく人間は、その前にもう1回月面に行くと思います。

大村正樹

そうですか。

そういったことで他の天体に、今度はなるべく長期間滞在することによって、そこでずーっと生活するいろんな技術を開発したりテストをしたりしながら、宇宙空間にどんどんどんどん広がっていくんじゃないかと思いますね。


大村正樹

先月の山崎さんの帰還も含めて、アメリカは火星といっている。一応、ロシアのソユーズに日本は乗っかってISSに行くわけですよね。で、中国は月といっている。今、日本の宇宙開発はどこへ向かおうとしてると思いますか?

難しいところですね。いろいろ々議論があるところで、山崎さんも行きました宇宙ステーション、地球の周りを回っているわけですが、宇宙ステーションの次の目的地はどこかということはまだ議論があって…。アメリカは今まで月だといってたんですが、それがオバマ大統領が今までの計画をちょっと中止にして新しい計画を立てて、どちらかというと火星に行こうと考えている。


大村正樹

ええ。

ただ月に行くことによっても非常に大きな意味があるので、当然そういった大きな計画は国際協力でやらなければいけない。そうなると、やっぱりいろいろな国の人が集まって、これからどういうふうにして行こうかを考えていくんだと思います。


大村正樹

はい。

おそらく日本も大きな世界的な流れの中で、どこに行くかを考えていかなければならないでしょうね。

大村正樹

なるほどね。今、日本の宇宙開発も重大な時期を迎えているわけですね。

はい。

大村正樹

続いては、千葉市のラジオネーム“シャベル”くん、小学校1年生の男の子。「ヒトの祖先はサルだといいますが、今のサルは長い時間をかければヒトのように発達するんですか? そしたら、ヒトとサルは戦争になりませんか? ヒトはもっと進化するんですか。今のヒトのお母さんから急に新しいヒトが生まれたりするんですか?」。いわゆる今のヒトのお母さんから進化系の人間が生まれるかどうかという。――そうだよね。サルだって、動物園にいるサルもいきなり進化して、われわれと戦争になったりして…。どうですか、実際?

そうですね。『猿の惑星』という映画がありましたよね。ああいったことが起こるかどうかということですね。

大村正樹

ええ。

これも実はすごく大事な意味を含んでいる質問ですね。これは、進化論という言葉がありますが、生物は少しずつ進化している。


大村正樹

ダーウィンの進化論ですね。

はい。こういった学問の最先端の議論に関係してくるところですが、サルと人間の関係はもともと同じ仲間だったんだけど、ある時その祖先が分かれて、ある祖先は人間の道を歩み、ある祖先は今のサルの道を歩んでいるわけです。今、人間に一番近いのはチンパンジーですが、チンパンジーと人間が共通の祖先から分かれたのは500万年前といわれてます。
大村正樹

ほぉ〜、実際につながっていたんですね。

そうです。その前は共通の祖先だったんですね。


 
大村正樹

はい。

ところが、進化論は自然淘汰という考え方があって、環境が変化する中で自分が一番最適な性質とか遺伝子を持っているものだけが生き残って、少しずつ進化をとげていくという考え方がある。

大村正樹

はい。

その少しずつ変わっていく進化と、チンパンジーと人間が分かれた時のようなものすごい大きな進化――種が新しくできるような進化は、ちょっとプロセスが違うんじゃないかという考え方もあるんです。

大村正樹

ほぉ〜。

つまり500万年前チンパンジーと人間が分かれた時に、人間の祖先は、われわれみたいに直立して二足で歩いて走ったりすることもできる。それから脳もすごい巨大化して、高度な知能を持つことができるという遺伝子をそこで獲得したはずなんですね。ところがもう一方のチンパンジーは、そこまでの遺伝子を獲得できなかったところで、大きな分かれ道にあったわけです。
大村正樹

はい。

その後、人間は今みたいに知能が発達して進歩したわけですが、おそらくチンパンジーはそれ以来500万年の間、そんなに大きく変化しないで今に至っているわけです。


大村正樹

じゃあ、サルは人間とチンパンジーの500万年前よりも、もっと前でつながっているかも知れないですよね?

それは、もちろんつながってます。


大村正樹

となると、サルはまだまだ今のレベルですから、僕らが生きてるうちには、そうそうすごい知能を身につけることはないということですか?

ですから、そういった突然ある出来事が起こって次の人類が生まれることがないかと言うと、それは100パーセントないとは言えないと思います。

大村正樹

ええ。

ただ、それは長い生物の進化の中でそんなにひんぱんに起こるわけではないので、もし起こるとしても、やっぱり何百万年に1回起こるとか、そういったことではないかと思います。


大村正樹

なるほどねぇ。

ですから、たぶん今のサルが進化していって、やがて人間と同じような存在になるような進化は起こらないんじゃないかと思います。
大村正樹

すごくいい質問だった!

そうですね。進化の問題はなかなか難しいけれど、考えることは大事ですね。


大村正樹

とりあえず、長い時間かけてもヒトのようには、まだ今のところ発達はしないということですね。

今のところはないんじゃないかということでしょうね。


大村正樹

わかりました。こうやってキッズの質問を聞いていると、「子どもの時ってこういう疑問を持ったのに、今もう何か忘れちゃってるな」と思うんですけれど(笑)。

すごい本質的な質問ですね、やっぱり子どもの考えることは。これは、われわれ大人も考えなければいけないですね。

大村正樹

そうですよねぇ。ヒトからの進化系で次の生き物はいないわけですよね。何百万年かすると、ヒトから派生してまたすごい知能を持った…。

いわゆる新人類というのが、また出てくる可能性もあるかもしれませんね。


大村正樹

そしたら僕らは、500万年後にはチンパンジー的な扱いを受ける可能性もあるわけですよね?

それは分からないですね。あるかもしれませんねぇ。


大村正樹

すごい下等動物みたいに思われたらイヤだなぁ、それ(笑)。

生物の進化は、常にそういった可能性を秘めているんですよ。

大村正樹

そうですよねぇ。

起こるかもしれない。それが、30億年以上生命が進化してきたひとつの原動力ですよね。


大村正樹

なるほど。ありがとうございました。勉強になったなぁ。キッズの質問もすごくふくらんできました。今週のサイコーは、科学ジャーナリストの寺門和夫さんでした。

どうも。

大村正樹

今週の答え。ラジオネーム“リズムのアフリカ”さん。人間が月や火星に基地をつくったりスペースコロニーをつくって生活することは、いつかはできるということでした。夢がありますねぇ。それから、ラジオネーム“シャベル”くん。人の祖先はサルだけれど、チンパンジーが500万年前の祖先で、急にサルは進化しないということで、長い時間をかけたらヒトっぽくなるかも知れないということです。どうだったでしょうか? それでは、来週も夕方5時半に会いましょう。キッズのみんなも楽しい週末を。じゃあね!