
キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。 今日のテーマは、だんだん蒸し暑くなってきたから南極のお話です。めちゃめちゃ寒いところだけど、ちょっと前まで南極へ行っていたという人に、珍しいとても貴重なお話を聞くことにしま〜す。お知らせの後、サイコーの登場だよ〜ん。

今週のサイコーは、2ヵ月前まで南極を経験してきたという共同通信社の澤野林太郎さんです。こんにちは。
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こんにちは。よろしくお願いします。

通信社であって南極へ行けるというのは、どういうお立場で行けたんですか?
- 南極の観測隊は毎年行っているのですが、そこに新聞社やテレビ局などの同行の記者を募っているんです。去年は「しらせ」の船が新しくなったので、ニュースであり放送する意味があるだろうということで共同通信が立候補して行くことができました。

じゃあ、手を挙げて「行きたいです」といったら、「共同通信さん、どうぞ」というふうな感じで?
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倍率があって抽選になったんです。2つしか行ける席がなかったんですが、抽選で受かってというのが最終的なところです。

澤野さんは、ふだん取材は何の係ですか?
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今は、農水省と消費者庁というところの省庁の記者クラブにいます。

そうなんですか。
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ええ、そうなんです(笑)

じゃあ、農水大臣が出てきたら、あるいは福島みずほさんとか出てきた場合は、あの脇に澤野さんはいらっしゃる立場?
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今日もさっきまで会見があって、それに出てきたところです。

ちゃんとスーツを着て省庁の取材をしてるんだけれど、南極も行ってしまうと。
- そうですね。

そんなことやってていいんですか?
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新聞記者は何でもやんなきゃダメなんですよ(笑)。

へぇ〜。
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何でもできるんです。

南極は、いつからいつまで行ったんですか?
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去年の11月10日に晴海から船で出まして、今年の3月19日に帰ってきました。

じゃあ、4ヵ月間ずっと日本を離れていた。
- そうですね。

「行きたいです」といって。へぇ〜、すご〜い! 日焼けしているのは南極のせいですか?
- それもありますが、帰ってきてちょっと家族サービスで沖縄に行って、子どもの面倒をみてたとかもありまして。

短い間に南極と沖縄を体験するというのも、またすごいですねぇ。
- 同じ南の島ですけどね。

そうですよね。
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あったかいところへ行きたかったので、帰ってきてすぐに休みをとって沖縄に1週間ぐらいいました。

なかなか行けるもんじゃないですから、貴重なお話をうかがいたいと思います。南極で実際に生活をするというのは、有名な昭和基地に行ったわけですよね。
- はい。

そこでの暮らしは、例えば何人ぐらいの人が滞在していて、男性が何人で女の人が何人いたんですか?
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日本から、だいたい70人の同行者と観測隊員が行ったんですが、1昨年から1年越冬していた隊員が30人ぐらいいらっしゃるので、合計で昭和基地に100人ぐらい滞在していたことになります。

となると、小学生なら1学年ぐらいの100人のコミュニティが昭和基地にいる。
- そうですね。

女の人はいるんですか?
- 女性の人もいますね。今年は6人から7人ぐらいいました。

けっこうな女の人の数ですね。
- そうですね。

男の人が主で、よく男の人はけっこう“好き放題”だという話を聞くんですよね、見た目に関しては。
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あぁ、なるほど(笑)。

ヒゲのばし放題とか。
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僕も4ヵ月ずっと髪を切らずにヒゲものばしていたんですが、日本へ帰ってきて「やっぱりまずいな」と思って、しばらく経って切りましたけれど。昭和基地には床屋さんがもちろんないので、髪の手入れが面倒だと坊主にしちゃったりする人とか、頭に何か文字を書いたりとか、そういうふうにする人もいたりしましたね。

よく阪神のファンの人が虎刈りにする、あんな感じに?
- そうですね。

それは向こうで楽しみながらやるわけですか?
-
そうです。

へぇ〜。ヒゲものばしている人が多いんですか?
- ヒゲものばしている人いますねぇ。隊長もヒゲをのばして、大学というか極地研究所の教授ですが丸坊主にして…。公務員とかいろいろな研究者、有名な人もいますが、みんな同じ立場というか見た目は同じで、共同体のようなところでしたね。

そうですか。お風呂とかは?
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「しらせ」の中のお風呂は、南極では水がすごく貴重なので湯船は海水。

えぇ〜! 塩水に入るんですか?
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そうそう(笑)。

頭を洗う時も?
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シャワーだけは真水ですが、湯船の中に入ってるのは海水ですね。

じゃあ“海水浴”ということですね(笑)。
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そういうふうにもいえますけれど(笑)。しみるんですね、傷があると。

あぁ〜。その海水の風呂を温めて入って、シャワーは真水で。だけど「しらせ」の船の中だから、真水の量も限られてるわけですよね。
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そうですね。「しらせ」の水は海水から“脱塩”といって塩を抜いて真水にして、飲料水にしたりお風呂のシャワーにして使っているんです。

そうなんですか。
- だから、1日に使う水の量もかなり制限されていて、それこそシャワーの出しっぱなしとか洗濯はまとめてやれとか、生活上にはいろいろ制限がありましたね。

なるほどね。11月から3月は日本では冬だけど、南極では南半球だからやっぱり夏ということですか?
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あったかい。

あったかい! あったかくて何度ぐらいですか?
- だいたい平均でマイナス1度ぐらいですね。

マイナス1度!で「あったかいな」と思うわけですか?
- そうですねぇ。

ほんとにあったかいと思うんですか?
- 半袖でいることもできましたし。

へぇ〜。
- 基地の中は日本の生活と変わらないような建物なので、暖房もあり20度ぐらいに気温が保たれていて十分あったかいなぁと。想像してた南極は、ほんとマイナス何十度の世界かなと思ってたんですが、そういう場所もあるんですけれど昭和基地の夏は比較的あったかい。

へぇ〜。あと、食べ物などは? 僕、堺雅人さん主演の『南極料理人』という映画を去年観て、めちゃめちゃ面白かったんですけれど…。けっこう食べ物は料理人がこったものを作るんですか?
- そうですね。料理人は料理のプロでお店をやってたシェフですから、レストランのような食事が出る時もありますけれど、毎日レストランで食べるわけにいかない。料理人の人に聞くと、食事はメリハリが大事だと。すごい豪華なものもあれば、お茶漬けだけの日もある。

そうかぁ。
- 食事はあちらではやっぱり一番の楽しみですから、アクセントやイベント、ユーモアとかいろいろ持たせて1年を乗り切るんだということをいってましたねぇ。

へぇ〜。例えば食べ物として記憶に残っているもので、「南極でこんなものを食べた」というものはありますか?
- 何でしょう、日本で普通に食べられるものが、あっちへ行くとけっこうおいしいなと思ったものがあって。なぜかといろいろ考えたら、やっぱり肉体労働もしなくてはいけないし、すごいお腹がへるんですよね。

ええ。
- つまみ食いというか、自分で好きなものをコンビニへ行ってすぐ食べられるわけではないので、すごいお腹がへった状態で限られたものを指定された時間に食べるという環境によって、食べ物がすごくおいしく感じたりすると思うんです。僕が一番おいしいと感じたのが、コンビーフにマヨネーズをかけたのがあって。

あぁ。
- これは実はブリザードとか、停滞といって動けなくなってテントとか雪上車の中で何日も過ごさなければいけない時の非常用の食糧のためにいろいろ保管してある。あまっているものをもらってきて、日本だとあまりおいしくないと思いますが、南極でお腹がすいた時にブリザードの中でコンビーフにマヨネーズをかけたら、ウマイんですね。

いわゆる極限状態の食事という。感動も含めて。
- そうそうそう。

缶詰とか向こうにいっぱいあるんですか?
- 缶詰ありますね。基本的に缶詰か乾燥しているものか、冷凍食品。

はい。
- 生鮮野菜も少し持っていくんですが、今年はフリーズドライの食事が非常に進歩していて、南極でも1ヵ月2ヵ月野外でずっと生活、観測している隊員がいるので、そういう人たちはフリーズドライの食事を持っていくんですね。

はい。
- そういうのが、山崎さんが宇宙へ持っていった食事のもとになったものだったりする。

お湯で戻してとか。今年、山崎直子さんはカツオのたたきをフリーズドライで持っていったというのが有名ですが。
- あぁ、いってましたね。

ああいうのも南極で実験した上で、これは宇宙へ持っていってもよろしいという話になるわけですか?
- そうですね。

そうなると食品メーカーの方もとにかく南極へ持っていって、そこで成功したら宇宙へという。
- まぁいろんなルートがあるので、南極以外のところでもメーカーさんが自分の会社で開発したりするのもあるので、南極はひとつのルートとして今回持っていってもらったということですね。

なるほどねぇ。もうこんな時間。ちょっと澤野さん、あっという間だったんで、また来週も興味深い話をうかがわせてもらってよろしいですか?
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はい。お願いいたします。

今日のサイコーは、共同通信社の澤野林太郎さんでした。ありがとうございました。
- ありがとうございました。

みんな、もしよかったら世界地図か地球儀を見てみて! 南極大陸あるでしょ。大きい大陸。その一角に昭和基地があります。南極点からはちょっと離れたところにあるけど、こんなところまで船で行ったってすごいよねぇ。まだまだ興味深い話がありますから、来週聞きたいと思いますけれど。「行きたいです!」と手を挙げて行ったって、すごいねぇ! 僕も行けるかなぁ。 それでは来週も夕方5時半に会いましょう。キッズのみんなも楽しい週末を。バイバイ!