キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。 今週も南極に行かれた共同通信社の澤野記者に来ていただきますけれど、今日は澤野さんが南極で“びっくり”したお話の連発です!お知らせの後。
今週のサイコーも、南極へ行ったという貴重な経験を持っている共同通信社の澤野林太郎さんです。こんにちは。

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こんにちは。
今回も南極についてうかがっていきますが、澤野さんの南極体験の中で驚いたことって、やっぱりいくつもありますよね?

- はい。
例えば何ですか?

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たくさんあるんですが、普通寒いところへ行くと、はいた息が白くなりますよね。でも南極って、いくら寒くても息が白くならない。
えっ!ハーッとやってもならないんですか?

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ならないんです。
何でですか?

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「何でかなぁ?」と思って研究者の人に聞いたんです。そうしたら、息が白くなるのは、空気中に目に見えない小さなゴミやチリがあって、そこに水蒸気がつき、白い核になってたくさん集まっているのが白く見える原因なんだそうです。しかし、南極はすごくきれいなところなので、チリやゴミがほとんどない。
ちょっと待ってください。じゃあ、僕ら日本人は寒い時に息が白くなるのをよく見てますが、あれはチリやゴミだらけのところで息をはいているということですか?

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そうですねぇ。
え〜、そんなに!(笑)

- ものすごいピュアなんです、南極は。
ほんとにチリがなく、ピュアな世界ということですか?
ちょっとでもあると白くなるわけですよね。

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そうです。
いや〜、すごい!マイナスの世界で、はいた息が白くならないところは、南極か北極ぐらいしかない。

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そうですね。 でも、白くなる場所もあるんです。
それは、汚いところということですか?

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その通りです。あちらにも車があるんですが、排気ガスが出ている車の後ろのほうに行くと、いきなり息が白くなる。
雪上車とか?

- そうです。車が出しているチリやゴミが明確にそこにあることを証明している、ひとつの現象ですね。
なるほど。冬になるのが待ち遠しくなってきました。

- フフフフ。
日本国内で、はく息が白くならないところがあるのか、ちょっと探しに行きたいですね。

- 探してみてください。あればいいですね。
あと、驚いたことは何かありますか?

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今年は、観測隊の人が隕石を南極で集めるというミッションがあって。
宇宙の石?

- そうです。南極では、実は隕石がいっぱい取れる。
へぇ〜。

- なぜか分かりますか?
分からない…。極点だから磁場で隕石が来やすい?

- 隕石は地球上で同じぐらいの割合で降ってるんですが…。実は簡単で、雪が積もると白いですよね。
はい。

- そうすると、白いところに隕石が落ちてくると分かりやすいんですよ。
はぁ〜。

- で、それがひとつ条件で、氷は上から下に流れていきますから、宇宙から来た隕石が氷にズドンと落ちて、その氷がずーっと流れていって、ダムみたいに岩でせき止められてるところがあったりするんですね。
ええ。

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そこにたくさんの隕石が、ダーッと集まっているような場所がある。
いわゆる滑り台状になっているところに隕石がツルツル落ちてきて、一点に集中する場所があるということですか?

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そうです。それを見つけて、今年も隕石を500〜600個単位でひろってきましたね。
ちょっと待って。日本の隊員だけで500〜600個の隕石をひろっているということは、南極全体でいろんな国の基地があるから、相当数の隕石が地球上には降っているということですか?

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そうですね。だから、よくニュースで屋根を突き破って落ちてきたとか…。
大ニュースになりますよね。

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あのような形で、目に見えないところ、知らないところに隕石がバンバンバンバン落ちてきてる可能性がある。
へぇ〜。

- 長いスパンで見れば、ですよ。雨のように降ってくるわけではないですから。
こぶし大のものもあるんですか?

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今年は、こぶし大のものがありました。
その石は何でできているんですか?

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詳しくは分からないんですが、鉄分やいろいろなところから飛んでくるものなので地球上にない物質が入ってたりとか…。僕が見ただけでは全然違いが分からないんですけれど、専門の研究者は見ただけで分かるといってました。
それ専門で南極に来られる方もいらっしゃるわけですよね。

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はい、いました。
それはもうヨダレをたらして、「うわっ!」と喜んでいるわけですね。

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そうですね(笑)。
それもいいなぁ。あと、驚いたことは?

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あとは、昭和基地はすごく生活が便利になったとはいえども、不便なところが多い。今、地球で普通にご飯を食べて普通に仕事して、普通にトイレへ行って電車に乗ったりしますね。でも、こういう普通のことがなかなかできない。
はい。

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そのひとつとしてトイレの問題がある。今、トイレは普通に水をジャーッと流せば誰かが汚水処理をしてくれて水に替わって…となるけれど、この一連の作業を自分でやらなくちゃいけない。経験しなくちゃいけないんですね。
処理を、ですね。

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そうです。何個か建物があって、トイレがない建物もあるんですよ。
へぇ〜。

- で、どうするかといったら、ポリタンクがあってそこにオシッコをためて、それをまとめてリヤカーに積んで処理施設があるところまで運んで、ジョボジョボジョボと自分で流す。これをしないといっぱいになっちゃいますからね。だから、自分でやるんです。
それは持ち回りですか?

- 当直が何日かに1回まわってくるので、僕もしましたねぇ。
記者とはいえ、持ち回りの当直があって生活の当番があるんですか?

- ええ、そうです。
へぇ〜。「取材活動があるからダメだ」というのは許されないんですね。

- それも取材なので。やっぱりああいう共同体ですと、自分の仕事ももちろん大切ですが、みんなで一緒に生きていくのが一番大事なので、誰かの仕事を手伝うとか当番制でやらなきゃいけない。学校でも掃除や給食当番があると思いますが、そういうことをきちんとやらないと狭い共同体では生きていけないんですね。
それは“小”のほうだけでなく、“大”のほうも?

- “大”はためて持っていくんじゃなくて、トイレがある施設まで移動しなきゃダメなんです。だから出る時間を計算して(笑)、例えばギリギリまで我慢してたらもう間に合わない。
じゃあ、“大”はそこではできないんですね。

- そうそう。5分位前に、出そうだなというのを感じて早めに行く。
はぁ〜。“不便だけどベンはある”ということですね。

- ハハハ。ウマイこといいますね!
いや、おもしろい。あと、動物にはよく会うんですか?

- 動物はペンギン、アザラシ、あとはイルカ、クジラ。魚もたくさんいましたけれど、ペンギンは近づいたらダメなんです。
へぇ〜。

- 南極条約があって、ペンギンは5メートルより近づいたらいけない。アザラシは15メートル近づいちゃいけないという動植物を保護しようという目的で決まっているんですね。
ええ。

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今回もいろいろな動物がいましたけれど、ペンギンには5メートル以内に近寄らないようにはしていますが、あっちから寄ってきたりする。ペンギンはあまり頭がいいと思わなかったんですけれど…人を見ると仲間だと思って寄ってくるんですね。
へぇ〜。

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目の前ぐらいまで来て、何かあっち向いたりこっち向いたり、石につまずいて転んだりとか(笑)。動物園でペンギンとかアザラシを観ますけれど全然違いますよ。
ふ〜ん。

- 腹ばいですべったりとか、ペンギンが全速力で走ったりするんですね。海の中を飛ぶように泳いだり、アザラシがほえたり、やっぱり自然にいる状態での動物を観るのは飽きない。楽しいものですね。
いいなぁ〜。ちょっと科学のこともうかがったんですが、記者でありながら科学を感じる時ってあるんですよね。

- そうですね。
記者になるのは大変でしたか?

- そうですね。何をしたいかということを自分の中でしっかり持つ。新聞社の記者は森羅万象すべてのものを扱うので、これがやりたいというものを強くいって、きちんと手続きを踏みさえすれば、夢というかやりたいことができる仕事です。もし興味があるのなら、新聞記者はいろいろな所へ行けますからね。いろんな人にも会えますし。
極地にも行けるし。

- そうそうそう。
うちの子どもが「新聞記者になりたい!」と何年も前からいってるんです。

- そうですか。
「今の勉強の出来具合じゃダメだ」といってますけれど。いや、ほんとに興味深いお話でした。今日のサイコーは、共同通信社の澤野林太郎さんでした。ありがとうございました。

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ありがとうございました。
ちょっと気になった話。ペンギンは南極では5メートル以内に近づいちゃいけない。アザラシは15メートル、国際条約で禁止されているという話で。でも南極の基地はその国その国ごとに区切られているわけで、じゃあ日本で「おまえら、5メートルに近づいた」とどうやってチクルとかになるのかなぁ?。そのへんは「まぁまぁまぁ…」という話になるのかなぁ?ちなみにこの条約に違反して罰せられた人はいるんだろうか? いろいろ考えちゃいましたけれど、そういう条約もあるんだね。いろんな発見があるもんですねぇ。 それではまた来週、夕方5時半に会いましょう。キッズのみんなも楽しい週末を。あっ、もうすぐワールドカップだ!


