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「ミツバチの話」(2)
コーチャー/越中矢住子(コシナカ ヤスコ)さん
大村正樹&森田由子

大村正樹

キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。夏休みもいよいよ、おしまいだねぇ。みんな、いい思い出できたかなぁ?さぁ、気持ちを切り替えて新学期に向けてパワーをチャージしていきましょうね。ということで、“パワー、チャージ、元気が出る”といえばハチミツ。そう、ローヤルゼリーの話を先週聞いたのだけれど、今回もミツバチの話を取りあげますよ。実はミツバチは家畜ともいわれてるそうで、家畜ということは人間の暮らしに役に立ってるということでしょ。どんなふうに役に立っているのか。お知らせの後、サイコーの登場で〜す。


大村正樹

今週のサイコーも、ミツバチが大好きというフリーライターの越中矢住子さんです。こんにちは。

こんにちは。


大村正樹

1週間いろいろミツバチのことを勉強したら、僕もかわいく見えてきました。

ありがとうございます。うれしいです(笑)。


大村正樹

先週、「ミツバチは家畜」とおっしゃってました。家畜というと牛とか豚とかニワトリのイメージですが、ミツバチは家畜のはんちゅうですか?

はい。セイヨウミツバチは家畜で、ジャージ牛とかホルスタイン牛のように乳を取るための専門の乳牛がいますよね。あれと同じように蜜を取ったり、輸入された時にその目的だとはいえないんですけれど、花粉交配の目的で人に飼われている家畜種です。


大村正樹

花粉交配というのは?

農業現場で使われるもので、オシベの花粉をメシベにくっつける受粉をして植物がなりますね。


大村正樹

はい。

その作業をお手伝いするということで、自然一般ではミツバチのほかにもいろいろな種類がやっているんですが、ハウス栽培を行なう時にどうしても人間でやるよりも何かほかの昆虫でやったほうが自然にできる、人手もかからないということでミツバチが使われてます。


大村正樹

えっ! 例えばイメージはビニールハウスの中に植物があって、そこにミツバチを入れることによって人間が交配をする必要なく、いわゆる受粉をミツバチがやってくれるということですか?

そうです。


大村正樹

それは、ただ放てばやってくれるんですか? 野性の本能で?

それが、セイヨウミツバチの場合は賢いというか状況判断で動いて行きます。本来ならば蜜があって花粉があってという、花に対して受粉をしたり蜜を集めたりということで行くんですが、花粉だけのものでもハウスという限られた場所で行動します。


大村正樹

ふ〜ん。

それは、やはり飼いならされた家畜種であるから、いうことをききやすいということかもしれませんね。


大村正樹

衝撃!

ありがとうございます(笑)。


大村正樹

ハチミツをとるために飼われてるミツバチは見たことがあるけど、ビニールハウスの中にミツバチが放たれて一定の役割をこなしてくれるということですよね。

はい。


大村正樹

頭いいんですねぇ。

そうですね。すごく優秀な昆虫ですね。


大村正樹

例えば、どんな? それは花ですか、受粉してくれるのは。

一番多く使われているのは、イチゴです。


大村正樹

えぇ〜! 「とちおとめ」?

そうですねぇ!


大村正樹

「あまおう」とか。

はい。


大村正樹

知らなかった〜。何でイチゴの受粉でミツバチが必要なんですか?

12月のクリスマスケーキに赤いイチゴがのってますよね。


大村正樹

ええ。

ふつう露地栽培だと5月とか春先ぐらいにイチゴはできますが、クリスマスシーズンに間に合わせるために10月ぐらいからハウス栽培の中でミツバチが必要で借り出されるんです。


大村正樹

すご〜い! だから、冬に日本人はイチゴのショートケーキが食べられるんですね。

はい。


大村正樹

もしミツバチがいなかったら、あんなふうにクリスマスシーズンにイチゴはならないということですか?

そうですね。ミツバチ以外でその役目をしてくれる昆虫がまったくないとはいえないんですが、ミツバチほど賢く着実に働いてくれるものがいないので。


大村正樹

ふ〜ん。もしイチゴの栽培を温室栽培でビニールハウスでやれば、ある程度の大きさにイチゴは育つんじゃないですか? ミツバチがいないとダメなんですか?

奇形化になったりとか、うまく育たなかったり。


大村正樹

変な形に。

はい。ミツバチ以前にもホルモン受粉ということで人間がポンポンポンと綿をつけて花粉の交配をさせている部分もあったんですが、イチゴってウネが下のほうになってますよね。


大村正樹

ええ。

ですから腰をかがめてする作業になるので、農家にかなりの負担がかかる。人手もかかるという。うまく実がなるのはやはり自然の交配のほうなので、そういった意味からもミツバチが大活躍している現場なんです。


大村正樹

すばらしい(拍手)!

ありがとうございます。


大村正樹

クリスマスケーキにのっている、きれいに形が揃っているイチゴは、ミツバチのおかげであれだけの量の同じような形のものができるというわけですね。

そうですね。


大村正樹

なるほど。越中さんは、『ミツバチは本当に消えたか?』という本をソフトバンククリエイティブから出版されてます。本題ですが、ミツバチはやっぱり少なくなってるんですか?

減少しているかどうかという問題はあるんですけれど、それ以前に今回の騒動、ハチが足りないという2009年の問題に関しては、需要と供給がうまく行ってなかったということと、先ほど出ました女王蜂を輸入していたんですが、その輸入が途絶えたということになります。


大村正樹

じゃあ、ミツバチは消えてはいないということですね。

消えてはいないんですが、この現実を受けて調査した結果、養蜂農家の多くに「ハチが増えない」、「繁殖がなかなかうまくいかない」という状況があることはいえるようです。


大村正樹

何ですか、それは?

まずひとつに花蜜源が足りないという状況があると思います。


大村正樹

何ミツゲンですか?

花蜜源。


大村正樹

日本から花が消えちゃっているということ?

いえ、都市化の現象がありまして街角から花が減っていることはいえるんですが、もともと本州は、7月8月9月の時季に蜜源になる花が少ない状況もあって、増えにくいということも問題のひとつとして考えられます。


大村正樹

ふ〜ん。この本に「日本にも蜂群崩壊性症候群はあてはまるのか?」ということが書いてありますけれど。

これは、世界的にハチの減少は花蜜源問題で減少している報告はあるんですが、アメリカについてだけなんですね。蜂群崩壊性症候群(CCD)というのはアメリカで起きた話であって、日本には当てはまらないということはいえます。


大村正樹

去年の春ぐらいにミツバチが大量にいなくなっているという報道を受けて、お調べになった本ということですね。

はい、そうです。


大村正樹

今聞いた通りミツバチは意外にハチミツだけじゃなくて果物のイチゴに、あとほかにどんな果物が?

ナシとかメロン、スイカ。


大村正樹

ちなみに越中さんはこれだけハチに詳しくて大好きだったら、刺されてもどうということないですか?

私は何とか大丈夫でした。


大村正樹

えぇ〜、本当に?

フフフ。


大村正樹

ヤダ〜、絶対イヤだ。

腫れはするんですが、生きております(笑)。


大村正樹

刺されたことあるんですね。

はい。


大村正樹

でも、蚊に食われたような感じですか?

いや、それよりももっと痛い感じで(笑)。


大村正樹

痛い。でも、それも快感という感じですか?

まぁ、仕方がないかなぁと。その代わり、ハチは死んでしまいますから。


大村正樹

あぁ。「私を刺したけど、死んじゃってかわいそう」と思うんですか。いい人だぁ。

ありがとうございます(笑)。


大村正樹

僕、絶対イヤだけど(笑)。でも2週にわたってお話を聞いたら、ちょっと僕もハチがかわいく見えてきました。

ありがとうございます。


大村正樹

今週のサイコーも、ハチに詳しいフリーライターの越中矢住子さんでした。ありがとうございました。

どうもありがとうございました。


大村正樹

ということで、確かにイチゴのビニールハウスの中で、おじさんやおばさんが腰を曲げながら受粉作業をしているのも気の毒で大変だなと思ったけれど。ミツバチがやってくれるとなると、イチゴの冬の時季の大量出荷も可能ということなんだねぇ。初めて知ったなぁ。みんな、どうだったでしょうか?来週も夕方5時半に会いましょう。みんな、バイバイ!