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「空港のお話」(2)
コーチャー/秋本俊二さん(航空ジャーナリスト)
大村正樹&秋本俊二

大村正樹

キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。学校2学期制のキッズたちは、この週末でひと区切り?たぶん通知表をもらった人も多いんじゃないかなぁ。うちの子はこの間持って帰ってきました。ちょっと怒っときました(笑)。さあ、来週からはまた新しい下半期。あと1週間ずれる学校もあるかもしれないけれど。ということで、今回も空港を取り上げます。空港の話は本当におもしろい話だから、お知らせの後、サイコーの話をみなさん、じっくり聴いてね。


大村正樹

今週のサイコーも、航空ジャーナリストの秋本俊二さんです。こんにちは。

こんにちは。


大村正樹

ソフトバンククリエイティブから『みんなが知りたい空港の疑問50』という本を出版されている秋本さんですが、本当にこの本は小学校高学年ぐらいのキッズから、ぜひ読んでもらいたい。何気に見ている空港の中に、いくつも秘密とか科学が仕組まれている。 僕、先週うかがった話ですごく感動したのが、向かい風であればあるほど飛行機は離陸時間が短くてすむという。

はい。


大村正樹

ということは、向かい風の強い空港は、滑走路が短くてもいいんですかねぇ。

ただ、向かい風は年中強いわけでもないので。


大村正樹

あぁ、そうか。“風は水物”か。

そうなんですよ。だから、ある程度想定して距離を取っておかないと、「今日は風が吹いてないから飛べません」となっちゃう。それでは空港が機能しないので。


大村正樹

そうか。よくジェット機が飛べる飛行場の滑走路と、プロペラ機用の滑走路の距離は制限がありますよね。

ありますね。


大村正樹

ジェット機は何メートル以上となっているんですか?

ジェット機も機種によって違うんですね。


大きくて重い飛行機は、やっぱり浮力をつけるためにそれなりに長い距離を走らなくちゃいけない。例えば大きなジャンボ機、通常は2,500メートルなくちゃいけない。


大村正樹

2.5キロ、滑走路が。

ええ。それでひと回り小さい、例えばボーイング737だと2,000メートルでいいとか規定があるんですね。


大村正樹

ええ。

ただ、それも必ずそれがあればいいかというと、同じジャンボ機でもアメリカ、ヨーロッパに向かう場合は3,000メートルが必要と変わってくるんですね。


大村正樹

日本からアメリカ、ヨーロッパに向かうジャンボ機は、日本の空港が3,000メートルなくちゃいけないということですか?

はい。そうすると当然、国内便をジャンボ機で飛ばすのだったら秋田空港とか地方の空港でも飛べるんですが、日本からアメリカとかに飛ぼうとすると、当然長い滑走路がある成田とか羽田とか関空になっちゃうんですね。


大村正樹

何でそうやって条件が違うんですか?

ジャンボ機で長い距離を飛ぶ場合に、燃料をたくさん積むんですよ。


大村正樹

燃料は人間より重いんですか?

重い、重い。ジャンボ機だけで、ドラム缶を何千本と積む。


大村正樹

えぇ〜、そんなに!

そうなんですよ。


大村正樹

じゃあ、多少燃油サーチャージ値下がりしたとはいえ、払ってもいいかなという気になってきたな。

ハハハ。そうすると、国内線を飛ばすには、お客さんを積んで燃料を積んでトータルで250トンぐらいですね、ジャンボ機で。それが国際線だと400トンぐらいになっちゃうんで、全然違う。


大村正樹

1.7倍ぐらい。

ええ。その分、滑走距離をみておかなくちゃいけない。


大村正樹

あと、秋本さんの本で表紙に「滑走路に隠された驚きの仕組み」、これをぜひ! これは興味深い。キッズたちに教えてください。

はい。「滑走路って普通の長い道路でしょ」と思ってる人がいっぱいいる。


大村正樹

イエス! 僕も思ってました。

そうですか(笑)。全然違うんですよ。滑走路っていろいろ秘密が隠れてまして、例えば関空とか中部国際空港は、空港見学ツアーをやってて500円ぐらいで参加できる。


大村正樹

へぇ〜。

滑走路に連れてってくれたりするんですね。そうするとみんなが驚くのは、真っ平らな道路と思っていたのが全然違うんですよ。


大村正樹

真っ平らと思いますよ。

例えば空港のど真ん中に行って、僕はよくビー玉を持っていくんですね。


大村正樹

はい。

見学に来た人に「ちょっと置いてごらん」と真ん中に置かせる。指でちょんと押すと、左右どちらかにクルクルクルッところがっていく。


大村正樹

滑走路の真ん中が盛り上がっているということですか?

そうなんです。


大村正樹

両サイドに切れ込んでいる。

ええ。


大村正樹

じゃあ、ハンドル操作をあやまったらスルスルスルッと落ちちゃったり?

落ちません、落ちません(笑)。


大村正樹

大丈夫ですか?

なぜそんなことをしてるかというと、やっぱり水はけをよくしないと飛行機のタイヤと−車の運転をしてて高速道路でよくあるでしょ?


大村正樹

ハイドロプレーニング現象。

そうそう。あれ、怖いんですよ。タイヤと路面の間に水がはさまっちゃうとブレーキがきかないし、滑走路は長さに限りがあるので、止まりきれないでターミナルに突っ込んじゃうケースは最悪じゃないですか。


大村正樹

ええ。

降った雨をすぐ逃がすために勾配をつけてある。もうひとついうと、平らな道ではないのは、よーく目の前を見ると細かい溝が横縞みたいにずっと切り込んでいれてある。


大村正樹

シマウマの縞みたいな感じですか?

そうです、そうです。もっと細かい。


大村正樹

もっと細かく。

そこに水が逃げるように、水の通り道をつけている。


大村正樹

ほぉ〜。

だから大変なんですよ、1本の滑走路をつくるって。


大村正樹

そんなの、なかなか見るチャンスがないですよね。じゃあいうなれば、滑走路は馬の背中みたいな感じの丸まっているところに飛行機が着陸してということ?

はい、極端にいうと。


大村正樹

イメージでは何かU字型の溝のほうが、飛行機が脱線しないんじゃないかと思ったんだけど。

アハハハ。そうすると水がたまっちゃって、大雨が降るとすぐに閉鎖ですね。


大村正樹

水対策のために馬の背型。

なかなか、相当な豪雨じゃないと空港は閉鎖にならないでしょ?


大村正樹

確かに。風では欠航がありますけれど、あと雪とか。

そうですね。


大村正樹

あと、この本で興味深かったのが、滑走路のアスファルトの厚さ。これもバシッとキッズたちに教えてください。

それも、よく映画を作る人がアクション映画で、「高速道路の車を止めちゃって旅客機をおろしちゃおうよ」みたいなことを書いてくるんですね。ハイジャックのシーンで空港には警官が張っているので、高速道路に飛行機をおろして逃げようみたいな。


大村正樹

ええ。

「ちょっと見てくれ」と。「バカいってんじゃない」という話になるんですね。


大村正樹

たいがいハリウッドのアクションスターはやってますけどね。

強度的に持つわけないですよ。ジャンボ機は400トンぐらいになるんですね。


大村正樹

重さが。

空港に降りる時にドスンとわざとダウンフォースをかけて降りたりするケースもあるので、そうすると普通の道路じゃ持たない。普通の道路は、せいぜい砂利とか砂の上に厚さ数センチのアスファルトが敷いてあるだけですけど、滑走路は違います。もう何メートルという厚みでアスファルトをひいているので。


大村正樹

何メートルも。

それを引いちゃローラーで固めて、また引いて固めてと繰り返し作っているので。


大村正樹

今の話を聞いてると滑走路は整備が大変で、相当繊細なものですよね。

毎日ちゃんとエンジニアが足で見て歩いて、亀裂が入ってないか、窪みはないか。


大村正樹

さっきおっしゃってた滑走路がちょっとこんもり馬の背型に盛り上がっているというのは、機内からはまず見えないですよね。

でも、降りてみると肉眼でも分かります。歩いてみると。


大村正樹

分かりますか。今度、見ます。

歩いてみる機会がないですからね。


大村正樹

最近ボージングブリッジができ上がっているから。たまにバスにてご案内という時に滑走路をチェックしても、遠いんですよ。

滑走路まで行かないですものね。


大村正樹

そう。地方空港で見なくちゃいけない。

ぜひ空港見学会にみなさんも参加してもらうと。


大村正樹

羽田でも見学会があるんですか?

羽田は今ないかもしれない。


大村正樹

関空かセントレアに行かなくちゃならない。

あとは、ちょうど今ごろ「空の日」があって。


大村正樹

えっ、何月何日?

9月20日にあるんですね。


大村正樹

終わっちゃった。

それの前後1週間ぐらい各地の空港でイベントをやってます。そうすると“滑走路探検ツアー”とか無料でやっているところがけっこうあり、ホームページなどで見てもらうとまだ間に合うところがありますので、ぜひ行ってみてください。


大村正樹

今週、「空の日」だったんですね。

そうです。


大村正樹

で、まだ間に合う。

間に合います。


大村正樹

分かりました。

10月の頭ぐらいまでやっている地方の空港もありますので。


大村正樹

来週まで何とか。

そうですね。


大村正樹

楽しかった。もうおしまい? 秋本さん、また来てくださいね。

はい、ぜひ!


大村正樹

来週とはいわないけれど。また僕が秋本さんを求める時期が来ますので、よろしくお願いします。

よろしくお願いします。


大村正樹

今度は冬の空を語り合いましょう!

いいですねぇ。


大村正樹

今回のサイコーは、航空ジャーナリストの秋本俊二さんでした。ありがとうございました。

ありがとうございました。


大村正樹

そうか、20日は「空の日」だったんだね。まだ間に合うそうだから、インターネットなどで調べて空港の見学ができるところがあったら、みんなも滑走路の秘密に肉迫してみてください。大村さんも非常に興味があったので、今度関空とか行ったら見学ツアーに参加してこようかなぁ。それでは、来週もまた夕方5時半に会いましょう。次に会う時は、みんな後期が始まっているんだね。バイバイ!