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「スポーツと声の関係」(1)
コーチャー/藤野良孝さん(朝日大学)
大村正樹&藤野良孝

大村正樹

キッズのみんな、こんばんは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ、野球やサッカーなどのスポーツをやってるキッズもたくさん番組を聴いてくれてると思うけれど、今日のテーマはスポーツと声の関係。スポーツをやる時って、けっこう声が出るよね。その声が意外なパワーを含んでいるという話です。お知らせの後、サイコーの登場で〜す。


大村正樹

今週のサイコーは、岐阜県にあります朝日大学の藤野良孝先生です。こんばんは。

こんばんは。


大村正樹

岐阜からわざわざこのために来てくださったんですか? 新幹線に乗ってですか?

はい。新幹線に乗ってまいりました。


大村正樹

ほんとに? すご〜い! えっ、今日のサイコー、ネクタイ2本してるんですけれど。何ですか先生、これ?

気合を入れて、おしゃれをして来ようと。


大村正樹

すごいおしゃれ(拍手)。テレビだったらみんな釘付けですけれど、ラジオで表現すると…。小沢健二さん、“オザケン”っぽい感じ。

どちらかというと、南海キャンディーズの“山ちゃん”のほうでしょうか。


大村正樹

“山ちゃん”よりもステキですよ(笑)。

ありがとうございます。


大村正樹

色白で、何か体調が悪いのかと思ったら全然元気そうで。

元気です(笑)。


大村正樹

水玉のネクタイで、今からパーティでも行きそうな感じのおしゃれなサイコーが来てくださいました。藤野先生は、『スポーツオノマトペ』という本を出されている。

はい。


大村正樹

「スポーツ選手はなぜ声を出すのか」。小学館から出てる本ですが、オノマトペって何ですか?

オノマトペとは、フランス語で擬態語、擬音語をあらわす言葉です。


大村正樹

擬態語というのは、もじゃもじゃとか?

そうですね。例えば、ソースをドバッとかけるとか。


大村正樹

ドバッと。

ネコがニャーニャー鳴くとか。


大村正樹

ニャーニャーは鳴き声を表現してるから、オノマトペではないのでは?

擬声語になります。


大村正樹

そういうのもオノマトペ?

はい。


大村正樹

じゃあ、赤ちゃんの使い始めの言葉は、みんなオノマトペみたいなものですか?

そうですね。赤ちゃんの言葉は難語というんですが、その中にオノマトペ的な表現がたくさん含まれていると思います。


大村正樹

へぇ〜。ブーブーとか?

はい。


大村正樹

ポッポとか。

そうです。


大村正樹

あれもオノマトペ?

オノマトペです。


大村正樹

フランス語ですか、オノマトペは?

はい。フランス語が語源になっています。


大村正樹

「オノマトペ〜」(フランス語っぽく)とかいうんですか?

そうです(笑)。


大村正樹

ほんとに!? 初めて聞きましたよ。

「オノマトピ〜ア」ともいいます。


大村正樹

オノマトピ〜ア。

はい(笑)。


大村正樹

知らなかったぁ。スポーツ選手はオノマトペ、いわゆる擬態語を発することで効果があるということですか?

そうです。運動パフォーマンスを高める効果があると考えられてます。


大村正樹

はぁ〜。例えば僕は「よし!」とか「やるぞ!」というんだけれど、あれはオノマトペとは違う?

あれは気合の一部分になって、ちょっとかけ声的ですが、それが身体に働きかけて、かつリズム性を持っていれば、“スポーツオノマトペ”の概念のひとつとして扱っております。


大村正樹

じゃあ、例えばジョギングの時に頭の中で「タッタッタッタッタッ」とイメージするのもオノマトペ?

ズバリ、まさにそれが“スポーツオノマトペ”です。


大村正樹

ほぉ〜。トイレに入っていきんでドボーンとか。

そうです。お父さんを見つけて、「お腹タプタプだねぇ」とか。


大村正樹

でも、「お腹タプタプだねぇ」といわれても、これがスポーツにどう活かされるんですか?

そうですね。スポーツの場合はちょっと一般的なオノマトペとは違うので、“スポーツオノマトペ”は必ず身体があって音がつくられる感覚です。


大村正樹

例えば?

例えば、斧を握る時にギューッと手を動かすと同時に音が出るような、そういったのが“スポーツオノマトペ”です。


大村正樹

握力検査の時に、黙ってやって握力25キロというよりも、「ンヤァ!」とやったほうがパワーが出るということですか?

パワーも絶対に出ます。


大村正樹

そうかも。それもオノマトペですか?

はい、それがオノマトペです。


大村正樹

へぇ〜。じゃあ、走り幅跳びの時に黙って跳ぶよりも、「ウリャ〜!」と跳んだほうがパワーが出る?

走り幅跳びの選手は、まだちょっと声を発見してないんですけれど。


大村正樹

だって、舌をかんじゃうかもしれませんものね。

そうですねぇ。


大村正樹

危ない。じゃあ、声を発していいスポーツと、発するのがよろしくないスポーツがあるんですか?

そうですね。発しなくても心の中でつぶやけば効果があるスポーツはたくさんあります。


大村正樹

例えば、何ですか? 身近なところでサッカー、野球だったらどうですか?

サッカー

サッカー、野球ですと、擬音語、擬態語を使われることがけっこうわかってきました。


大村正樹

えっ、使われてます?

はい。


大村正樹

例えば?

最近発見したんですが、サッカーの元日本代表の岡野雅行さん。


大村正樹

はい。“野人”ね。

彼は、シュートは「パーン」、得意のドリブルは「グワーー」、フェイントは「ヒョイヒョイ」のイメージをするそうです。


大村正樹

シュートは「パーン」、じゃあシュートをガーンと蹴るんではなくて、岡野選手の中ではシュートを打つときはパーンと。

はい、はじける感じで。


大村正樹

へぇ〜。

そうすると体がその通り動けると、“野人”岡野選手は述べていたことが最近明らかになりました。


大村正樹

じゃあ、フェイントして突破する時は、自分の中でヒョイヒョイヒョイヒョイ、パーンという感じで。

そうです。


大村正樹

では、もう1個、ドリブルは?

「グワーー」。


大村正樹

じゃあ、ボールをもらったらグワーー、相手が来たらヒョイヒョイヒョイ。またグワーーと行って、パーン。

全部音にリズム性があるので、体が音によって誘発されていく感じが“スポーツオノマトペ”の醍醐味になります。「ヒョイヒョイヒョイ」というのが音のリズムで体も持っていってしまうような。「パーン」というと、体もパーンという音に合わせて、動きがそれについてくるのでダイナミックな動きが自然にできてしまう不思議な効果があります。


大村正樹

へぇ〜。岡野さんもベテランになっちゃったから、なかなか「パーン」を見る瞬間もなくなっちゃいましたけれど。

そうなんですよ。


大村正樹

ぜひ全盛期の選手で、例えば本田選手のオノマトペを知りたいですねぇ。

そうですね。本田選手とか石川遼くんあたりをちょっと今観察してるんですけれど。


大村正樹

ゴルフも、オノマトペ。

はい。


大村正樹

あっ、ゴルフといえば、「チャー・シュー・メン」とか習うじゃないですか、今どきいないけれど(笑)。僕、二十何年前に上司に「スイングはチャー・シュー・メン」だっていわれたの。それもオノマトペですか?

「チャー・シュー・メン」はオノマトペに非常に近いんですが、ちょっと違って…。


大村正樹

違う。

実はゴルフも“スポーツオノマトペ”が使われていまして、最近ですと諸味里しのぶさんが使っています。


大村正樹

どんなふうに?

ちょっと音を持ってくるのを忘れてしまったんですが、プロゴルファーは何人かスイングを打つイメージやパターの時に“スポーツオノマトペ”を使っていることがあります。


大村正樹

へぇ〜。

すみません、今日持ってくればよかったんですが…。


大村正樹

5メートルぐらいのパターを見た時に、芝をよんで10センチの穴に入れますよね。その時に「スルスルスルスル、カラン」とか?

そうです。


大村正樹

そういうイメージをオノマトペで持つのが大事だということですか?

ズバリそうです。


大村正樹

明日、そうしま〜す!

それでやっていただきたいのが、5メートルの距離を観察して声もその5メートル分発声すると、体も5メートル分の動きを。「スーッ、コロコロコロ」とイメージすると、その音に合わせて動きを持っていくような効果があります。


大村正樹

へぇ〜! ちょっと子どもたちに関係ないかもしれないけど、ゴルフの話に特化しちゃいますが、ティーショットを打つ時もいわゆる「チャー・シュー・メン」ではなく、「ウ〜ン、パチーン」というイメージを持つとまた今までと違ったスイングになるということ?

違ってきます。


大村正樹

じゃあ、ドライバーは「ウ〜ン、パチーン」で、中盤のアイアンは「ヨッコラショのポーン」とか、そんな感じ?

そんな感じですね。


大村正樹

パターは、「スルスルスルスルトロトロトロトロ、カラーン」という感じ?

いいと思います。


大村正樹

明日は重大なコンペです(笑)。

そうしましょう。


大村正樹

ありがとう、先生! これから僕、オノマトペで行く。もうこんな時間になっちゃったんですけれど、有名な岡野選手以外にも例えばこの選手はこんなオノマトペがあるよという話はまだあります?

たくさんあります!


大村正樹

例えば、誰?

卓球の愛ちゃん。


大村正樹

愛ちゃんもオノマトペ? ちょっとこの話、来週またうかがってよろしいですか?

はい、喜んで。


大村正樹

楽しみにしてます。今週のサイコーは、岐阜県の朝日大学の藤野良孝先生でした。 ありがとうございました。

どうもありがとうございました。


大村正樹

いわれてみると、確かに声を出さなければパワーが出ない時あるものね。今日はじゃあ「シュッ」と終わって「バタッ」と閉めて、「ブン」とやって「グビッ」と飲んで…という感じのオノマトペ。いや、よかった〜。ということで、どうだったかな?それじゃまた来週も夕方5時半に会いましょう。キッズのみんなも楽しい週末を。バイバイ!