
キッズのみんな、こんばんは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ、野球やサッカーなどのスポーツをやってるキッズもたくさん番組を聴いてくれてると思うけれど、今日のテーマはスポーツと声の関係。スポーツをやる時って、けっこう声が出るよね。その声が意外なパワーを含んでいるという話です。お知らせの後、サイコーの登場で〜す。

今週のサイコーは、岐阜県にあります朝日大学の藤野良孝先生です。こんばんは。
こんばんは。

岐阜からわざわざこのために来てくださったんですか? 新幹線に乗ってですか?
はい。新幹線に乗ってまいりました。

ほんとに? すご〜い! えっ、今日のサイコー、ネクタイ2本してるんですけれど。何ですか先生、これ?
気合を入れて、おしゃれをして来ようと。

すごいおしゃれ(拍手)。テレビだったらみんな釘付けですけれど、ラジオで表現すると…。小沢健二さん、“オザケン”っぽい感じ。
どちらかというと、南海キャンディーズの“山ちゃん”のほうでしょうか。

“山ちゃん”よりもステキですよ(笑)。
ありがとうございます。

色白で、何か体調が悪いのかと思ったら全然元気そうで。
元気です(笑)。

水玉のネクタイで、今からパーティでも行きそうな感じのおしゃれなサイコーが来てくださいました。藤野先生は、『スポーツオノマトペ』という本を出されている。
はい。

「スポーツ選手はなぜ声を出すのか」。小学館から出てる本ですが、オノマトペって何ですか?
オノマトペとは、フランス語で擬態語、擬音語をあらわす言葉です。

擬態語というのは、もじゃもじゃとか?
そうですね。例えば、ソースをドバッとかけるとか。

ドバッと。
ネコがニャーニャー鳴くとか。

ニャーニャーは鳴き声を表現してるから、オノマトペではないのでは?
擬声語になります。

そういうのもオノマトペ?
はい。

じゃあ、赤ちゃんの使い始めの言葉は、みんなオノマトペみたいなものですか?
そうですね。赤ちゃんの言葉は難語というんですが、その中にオノマトペ的な表現がたくさん含まれていると思います。

へぇ〜。ブーブーとか?
はい。

ポッポとか。
そうです。

あれもオノマトペ?
オノマトペです。

フランス語ですか、オノマトペは?
はい。フランス語が語源になっています。

「オノマトペ〜」(フランス語っぽく)とかいうんですか?
そうです(笑)。

ほんとに!? 初めて聞きましたよ。
「オノマトピ〜ア」ともいいます。

オノマトピ〜ア。
はい(笑)。

知らなかったぁ。スポーツ選手はオノマトペ、いわゆる擬態語を発することで効果があるということですか?
そうです。運動パフォーマンスを高める効果があると考えられてます。

はぁ〜。例えば僕は「よし!」とか「やるぞ!」というんだけれど、あれはオノマトペとは違う?
あれは気合の一部分になって、ちょっとかけ声的ですが、それが身体に働きかけて、かつリズム性を持っていれば、“スポーツオノマトペ”の概念のひとつとして扱っております。

じゃあ、例えばジョギングの時に頭の中で「タッタッタッタッタッ」とイメージするのもオノマトペ?
ズバリ、まさにそれが“スポーツオノマトペ”です。

ほぉ〜。トイレに入っていきんでドボーンとか。
そうです。お父さんを見つけて、「お腹タプタプだねぇ」とか。

でも、「お腹タプタプだねぇ」といわれても、これがスポーツにどう活かされるんですか?
そうですね。スポーツの場合はちょっと一般的なオノマトペとは違うので、“スポーツオノマトペ”は必ず身体があって音がつくられる感覚です。

例えば?
例えば、斧を握る時にギューッと手を動かすと同時に音が出るような、そういったのが“スポーツオノマトペ”です。

握力検査の時に、黙ってやって握力25キロというよりも、「ンヤァ!」とやったほうがパワーが出るということですか?
パワーも絶対に出ます。

そうかも。それもオノマトペですか?
はい、それがオノマトペです。

へぇ〜。じゃあ、走り幅跳びの時に黙って跳ぶよりも、「ウリャ〜!」と跳んだほうがパワーが出る?
走り幅跳びの選手は、まだちょっと声を発見してないんですけれど。

だって、舌をかんじゃうかもしれませんものね。
そうですねぇ。

危ない。じゃあ、声を発していいスポーツと、発するのがよろしくないスポーツがあるんですか?
そうですね。発しなくても心の中でつぶやけば効果があるスポーツはたくさんあります。
サッカー、野球ですと、擬音語、擬態語を使われることがけっこうわかってきました。

えっ、使われてます?
はい。

例えば?
最近発見したんですが、サッカーの元日本代表の岡野雅行さん。

はい。“野人”ね。
彼は、シュートは「パーン」、得意のドリブルは「グワーー」、フェイントは「ヒョイヒョイ」のイメージをするそうです。

シュートは「パーン」、じゃあシュートをガーンと蹴るんではなくて、岡野選手の中ではシュートを打つときはパーンと。
はい、はじける感じで。

へぇ〜。
そうすると体がその通り動けると、“野人”岡野選手は述べていたことが最近明らかになりました。

じゃあ、フェイントして突破する時は、自分の中でヒョイヒョイヒョイヒョイ、パーンという感じで。
そうです。

では、もう1個、ドリブルは?
「グワーー」。

じゃあ、ボールをもらったらグワーー、相手が来たらヒョイヒョイヒョイ。またグワーーと行って、パーン。
全部音にリズム性があるので、体が音によって誘発されていく感じが“スポーツオノマトペ”の醍醐味になります。「ヒョイヒョイヒョイ」というのが音のリズムで体も持っていってしまうような。「パーン」というと、体もパーンという音に合わせて、動きがそれについてくるのでダイナミックな動きが自然にできてしまう不思議な効果があります。

へぇ〜。岡野さんもベテランになっちゃったから、なかなか「パーン」を見る瞬間もなくなっちゃいましたけれど。
そうなんですよ。

ぜひ全盛期の選手で、例えば本田選手のオノマトペを知りたいですねぇ。
そうですね。本田選手とか石川遼くんあたりをちょっと今観察してるんですけれど。

ゴルフも、オノマトペ。
はい。

あっ、ゴルフといえば、「チャー・シュー・メン」とか習うじゃないですか、今どきいないけれど(笑)。僕、二十何年前に上司に「スイングはチャー・シュー・メン」だっていわれたの。それもオノマトペですか?
「チャー・シュー・メン」はオノマトペに非常に近いんですが、ちょっと違って…。

違う。
実はゴルフも“スポーツオノマトペ”が使われていまして、最近ですと諸味里しのぶさんが使っています。

どんなふうに?
ちょっと音を持ってくるのを忘れてしまったんですが、プロゴルファーは何人かスイングを打つイメージやパターの時に“スポーツオノマトペ”を使っていることがあります。

へぇ〜。
すみません、今日持ってくればよかったんですが…。

5メートルぐらいのパターを見た時に、芝をよんで10センチの穴に入れますよね。その時に「スルスルスルスル、カラン」とか?
そうです。

そういうイメージをオノマトペで持つのが大事だということですか?
ズバリそうです。

明日、そうしま〜す!
それでやっていただきたいのが、5メートルの距離を観察して声もその5メートル分発声すると、体も5メートル分の動きを。「スーッ、コロコロコロ」とイメージすると、その音に合わせて動きを持っていくような効果があります。

へぇ〜! ちょっと子どもたちに関係ないかもしれないけど、ゴルフの話に特化しちゃいますが、ティーショットを打つ時もいわゆる「チャー・シュー・メン」ではなく、「ウ〜ン、パチーン」というイメージを持つとまた今までと違ったスイングになるということ?
違ってきます。

じゃあ、ドライバーは「ウ〜ン、パチーン」で、中盤のアイアンは「ヨッコラショのポーン」とか、そんな感じ?
そんな感じですね。

パターは、「スルスルスルスルトロトロトロトロ、カラーン」という感じ?
いいと思います。

明日は重大なコンペです(笑)。
そうしましょう。

ありがとう、先生! これから僕、オノマトペで行く。もうこんな時間になっちゃったんですけれど、有名な岡野選手以外にも例えばこの選手はこんなオノマトペがあるよという話はまだあります?
たくさんあります!

例えば、誰?
卓球の愛ちゃん。

愛ちゃんもオノマトペ? ちょっとこの話、来週またうかがってよろしいですか?
はい、喜んで。

楽しみにしてます。今週のサイコーは、岐阜県の朝日大学の藤野良孝先生でした。 ありがとうございました。
どうもありがとうございました。

いわれてみると、確かに声を出さなければパワーが出ない時あるものね。今日はじゃあ「シュッ」と終わって「バタッ」と閉めて、「ブン」とやって「グビッ」と飲んで…という感じのオノマトペ。いや、よかった〜。ということで、どうだったかな?それじゃまた来週も夕方5時半に会いましょう。キッズのみんなも楽しい週末を。バイバイ!