
キッズのみんな、メリークリスマス! サイエンステラーの大村正樹です。今日が今年最後の放送だねっ。浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。ほんと今年1年あっという間だったけれど、僕にとって最高だった科学の話題は、やっぱり小惑星イトカワから「はやぶさ」が物質を持ち帰ったということ。これは日本にとっては最高なことなのよ。日本の宇宙開発や研究機関もほんと「やったぁ!!」と喜んだと思うんです。実は、この番組の日立ハイテクというスポンサーさんの電子顕微鏡が、イトカワの物質を見つけたって知ってた? ということで、今日はこのシステムをつくった方がサイコーとして来てくれますよ。

今年最後のサイコーは、日立ハイテクノロジーズのコーポレート技師長で工学博士の大木博さんです。こんばんは。
こんばんは。

日立ハイテクさんにはお世話になっております。御社にとっても本当にいい1年でしたね。
そうですね。

日立ハイテクさんにはお世話になっております。御社にとっても本当にいい1年でしたね。
そうですね。

おめでとうございます!(拍手)
ありがとうございます。

「はやぶさ」のカプセルが戻ってきて、最初は「何もないんじゃないか」といわれましたけれど、日立ハイテクの電子顕微鏡で、あの微粒子が確認された! 新聞の一面にも載りましたよね、会社名も。
はい。

嬉しかったですか?
はい。もう8年間担当のみなさんが頑張って準備をしてくれて、本当に「はやぶさ」が帰ってきて、なおかつ微粒子が入っていた。これはもう大変嬉しかったできごとでした。

もし微粒子がなかった場合、みなさんの努力は水の泡ですよね?
はい、そうなんですが、次の計画があって10年後ぐらいになっちゃいますけれど、またこの設備は使えるというのはわかっておりましたから。

でも10年待たなくちゃいけないわけですよねぇ。
そうですね(笑)。

逆にあきらめかけていたら、10年早く春が来たという感じですか?
そういうことですかね。

そういう時って、技術者のみなさんたちは、どんな感じで喜びを表現されたんですか?
苦労のほうが多かったですから。ほんとにほんとに苦労をしたんです、初めてのことですから。こういう設備はNASAもつくってますけれど、日本の設備は最高にしようというので、いろいろなJAXAのご要求もありまして難しい技術にチャレンジしました。

ほぉ〜。
ですから、それはほんとに「やったぁ!!」という感じですね。

とにかく今年話題になったイトカワの微粒子を見つけた顕微鏡は、日立ハイテクの電子顕微鏡だったということですよね。
そうです、そうです。

じゃあ、まず宇宙から「はやぶさ」がカプセルに入れて持ち帰った微粒子、これはどういう過程で電子顕微鏡の器械の中に入れられたんですか?
どこから話したらいいかわかりませんけれど、「はやぶさ」が本体からカプセルを切り離して、わが身は燃え尽きたけれどもカプセルがオーストラリアのウーメラの砂漠に着陸しました。

オーストラリアに着陸した?
そうです。それも相当な精度で落ちましたので、場所が意外と簡単に見つかっちゃいました。

はい。
それを飛行機で、神奈川県の相模原にあるJAXA・宇宙科学研究所に持ってきました。

はい。
厳重に梱包されてまして、そこからキュレーション設備というんですが、宇宙からの物質を受け入れる設備が研究所の中にありまして、どのくらいでしょうか−200uぐらいの広さの設備で、まるごと一式私たちがおおさめしました。

「はやぶさ」のカプセルは、秋に東京都内でも展示されましたが、ちっちゃいものですよね。
ええ。

あのちっちゃいものを200m2の設備ということは、みんなの家の2倍ぐらいの広さのところで「みんなで分析しよう」となったんですか?
そうです。それがこういう設備でして…。

今、ラボに写真をお持ちいただきました。何か工場の化学プラントみたいな、すごいすごい大きい器械が目の前にあります。これがいわゆる電子顕微鏡というか分析装置ですか?
いえいえ。電子顕微鏡はこの外にありますけれど、この部屋全体がクリーンルームといいまして、ゴミが非常に少ない部屋になってるんです。

ええ。
その部屋の中に戦艦ヤマトみたいな設備がありまして、ここの中に「はやぶさ」が持ち帰ったカプセルを入れて真空にする。「はやぶさ」が持ち帰ったカプセルは、宇宙から持ってきましたから、中は真空です。

はい。
ですから、圧力のあるところで開けるとボーンとみんな飛び出しちゃうので真空にして、なおかつ空気と触れないように高純度の窒素ガスを入れます。

確かに地球上の物質が入っちゃいけないわけですよね。そこはすごく注意しなければいけない。だから、そのための部屋と機械を用意して、その中で開けたということですね。
そうです。

これはロボットが操作するんですか?
ロボットで操作する部分と、それから大気圧にしたら手を入れて操作するところもあります。

今、写真を見せていただきましたけれど、外の空気と遮断してゴム手袋みたいなもので外から中に手を突っ込んで操作をする。人間の手先も加わって「はやぶさ」のカプセルは解体されたんですね。
そうです。

その後はどうするんですか?
その後「はやぶさ」が持ち帰った微粒子が入っている部屋から、小さかったので、ヘラで岩石を取り出して、それでもう一度別のところに置いて電子顕微鏡で観察したということです。

「はやぶさ」のカプセルはだいたい30センチぐらいの固まりのものがあって、その中に採取した微粒子が入っているケースみたいなものがあったわけですか?
そうです。

そのケースは、だいたい大きさどれぐらいのものですか?
どれぐらいでしょう。これぐらいの筒のような…。

何センチぐらいですかねぇ?
直径5センチ、高さ10センチぐらいの…。

5センチ×高さ10センチぐらいの筒の中に、「はやぶさ」はイトカワの物質を拾って、そんなちっちゃいものの中を分析したんですね。
はい。

へぇ〜。5センチ×10センチのものを分析するために、日立ハイテクは200m2の施設をJAXAに提供して研究者の方々が集まって解析したんですね。
そうです。

すごく気が遠くなる。じゃあ固唾をのんで、もう息を殺しながら、そのちっちゃいケースの中を開けて「入ってるかなぁ?」と期待したわけですね。
そうです、そうです。

なるほど。そして、いよいよ日立ハイテクの電子顕微鏡の登場ですね。実際、ヘラからかき出したものは肉眼では見えない。肉眼で見えないものを顕微鏡に入れるということは、どういうことですか?
ヘラごと顕微鏡に入れたと聞いております。

ヘラごと入れる。
ヘラの先についていたものをよく観察してみると、岩石と明らかに「はやぶさ」の入れ物の中の材料がくっついていたというふうに、イトカワのものと地球から持っていたものをはっきりわけるようにしました。

なるほど、わかりました。そして、どういうふうに観たのか、何があったのかは来週うかがいます。ちょっとあっという間の時間だったんですが、またお願いします。
はい。

この話は今年はいったんここで、来年またうかがいます。ということで、今週のサイコーは日立ハイテクノロジーズの大木博さんでした。ありがとうございました。
ありがとうございました。

すごく申し訳ないんですけれど、僕は日立ハイテク様に2006年からお世話になってるんですが、今回初めて日立ハイテクの方がじきじきにサイコーとして出てくださいました。「こういうことをやってる会社なんだ。すげぇ〜!」と年末になって思いました。ということで、みんなにとってこの1年はどうでしたか?大村さんはほんとにすてきな1年でした。いろいろな経験をさせてもらって、大きくなって心の財産をいっぱい得ることができました。みんなにとっても、来年がいい年になるといいね。それではまた来週というか、来年だね。みんな、よいお年を! さようなら〜。