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「家庭生活を科学する」(2)
コーチャー/内田麻理香さん(サイエンスライター)
大村正樹&内田麻理香

大村正樹

キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ、今回も台所、料理にまつわる科学のお話で〜す。これを聴くと、ますますお母さんのお手伝いがしたくなっちゃうと思います。でもお母さんの手伝いが好きになるのは、とてもいいことだと思いますよ。お知らせの後、サイコーの登場だよん。


大村正樹

今週のサイコーもサイエンスライターの内田麻理香さんです。こんにちは。

こんにちは。


大村正樹

内田さんは家庭生活を科学するエキスパートでいらっしゃいますが、ちっちゃい頃から家事とかお母さんの手伝いが好きだったんですか?

いえ、それがまったくしない子でした。料理本は見るのが好きで、食べることも好きだったんですが、ようやく家事をする場面になってみたら、まったくできなくて失敗の連続だったんですね。


大村正樹

へぇ〜。それは東大を出てからということですか?

はい、そうです。それこそ勉強ばっかりしてて、家事ができないダメな女だったんですよね(笑)。


大村正樹

いってみたいですね、「勉強ばっかりして、家事をすることがダメな女」って。カッコいい!

いやいや(笑)。


大村正樹

家事をしなくちゃいけない時期が来て、家事をやって…。で、今は家事が得意なんですね。

いえ、今も失敗が多いですね(笑)。


大村正樹

失敗が多い。だけど、その家事と科学を結びつけて、いろいろ結論づけるのが好きなんですね。

そうですね。


大村正樹

例えば、何ですか? 台所の科学、ほかに何かあります?

そうですね。一番自分でびっくりしたのが、とろみをつける時に片栗粉と小麦粉を間違えて入れてしまいまして。


大村正樹

すご〜い。サザエさんみたい。

ハハハハハ。


大村正樹

それで?

そしたら、とろみがつかないんですね。いくら熱を加えても全然サラサラのままなので「おかしいな」と思ったら、入れたのが小麦粉だった。


大村正樹

そこで当然、科学者としては、「何で片栗粉はとろみがつくんだろう?」と思いますよね。

はい。くやしくて調べたんですよ。


大村正樹

何でですか?

そしたら、固化というんですがとろみがつく温度が片栗粉は低いんですけれど、小麦粉は高い温度じゃないとつかない。あとはとろみがつく粘度、とろみの具合が片栗粉は強いんですが、小麦粉の場合はサラサラしている。同じ澱粉でも科学的な性質の違いがあったんですね。


大村正樹

そうそう、固化で思い出した。僕はけっこう熱いものが好きなんです。でも、熱いものばかり好んでると食道ガンになりやすいというから気をつけるようにしてるんですが、スープとか頼んでもコーンクリームスープは長く温かい。だけどコンソメスープは比較的早く冷めちゃうんですけれど、科学的な根拠があるんですか?

ありますね。


大村正樹

教えてください。

温度は低いほうから高いほうに、下から上に流れていくんですね。


大村正樹

下から上に。

対流といってクーラーでもわかると思うんですが、空調を使うと上のほうが温度が高くて下のほうが温度が低いですよね。


大村正樹

ええ。

それと一緒で、空気や液体の中での温度はグルグル回っていく。グルグル回ることによって表面が冷めたりするんですが、粘度が高いコーンクリームスープのようにドロドロしてるとグルグル回る度合いがゆっくりなので表面が冷めにくいということになります。


大村正樹

ちょっと待ってください。フラットな状態に置いてあるスープも、中で液体がグルグル回転しているんですか?

はい、そうです。


大村正樹

知らなかったぁ! じゃあ、その中にパセリの葉っぱを入れたらグルグル回ってるのが見えるんですか?

多分見えると思います。


大村正樹

えぇ〜! 生きてるんですね。

はい。空気もグルグル回ってますね。


大村正樹

空気も?

はい。


大村正樹

空気は止まってないんですか?

止まってません。やはりクーラーや暖房が上のほうが温かくなるようにグルグル回ってますね。


大村正樹

そうか。確かにエアコン効いてますものね。その時は空気がクルクル回ってるんですね。

そうです。


大村正樹

へぇ〜。あと、すごいクダラナイことを聞いていいですか?

どうぞ(笑)。


大村正樹

僕は今、北海道で生活してるんです。で、トウモロコシが大好きでして、トウモロコシを炒ってもはじけない。ポップコーンはもともとトウモロコシの形をしてますね。何でポップコーンがはじけて、トウモロコシを炒めてもはじけないんですか?

トウモロコシ

はい(笑)。ポップコーンは種類が違うトウモロコシで…。


大村正樹

そうなんですか! 何という種類ですか?

あれは皮がとても固いんですね。


大村正樹

コーンの?

黄色い粒々の皮が固いので、はじけてしまうのは中の柔らかい部分が熱を加えると水分が膨張して空気になります。その時、水分が気体になると1000倍とか2000倍になる。


大村正樹

パーンとはじける。

普通のトウモロコシですと空気がどんどん逃げてってしまいますが、ポップコーンの場合はギリギリまで我慢してるんですね。


大村正樹

はい。

そうするとパーンとはじけて、裏返ってポップコーンになる。


大村正樹

じゃあ、通常のトウモロコシ、北海道ではトウキビというんですが、トウキビとポップコーンはコーンの種類が違うんですか?

違います。


大村正樹

ポップコーンのコーンの種類は、日本ではあるんですか?

一応、栽培されているとは聞いております。


大村正樹

へぇ〜。じゃあ、今の話は『さるかに合戦』の栗が、あったまって鬼退治の時にパチンとはじけるのと同じ原理ですかねぇ。

そうですね。


大村正樹

『さるかに合戦』の栗は、弱い栗だったらあんな風にはじけなかったわけですね。

そうですね。空気の逃げ場があるとはじけないんですけれど、皮がしっかりしてるのでギリギリまで我慢してる。


大村正樹

じゃあ、ポップコーンを炒めて残ってはじけなかったやつは、結局、皮がどこかで空気の逃げ道をつくっちゃったハズレ、ということですね。

まさにおっしゃる通りです。


大村正樹

勉強になったぁ。あと、先生は卵に詳しいと聞いたんですが、何か卵に関してウンチクを語ってくださいよ。

そうですね。やはり普通のゆで卵と温泉卵の違いですが。


大村正樹

僕、温泉卵好き!

はい。なかなか温泉卵は不思議な存在だと思うんですけれど。


大村正樹

あれはゆで時間によって違うんですよね。

いえ、温泉卵の場合は、ゆで時間ではないですね。


大村正樹

違う。何ですか?

白身と黄身の固まる温度が違うんですね。


大村正樹

そうなんですか。えっ、100度で沸騰しているのではないんですか?

100度で沸騰して普通に固まる場合は、まず白身のほうから固まっていきます。外側のあったかいほうから固まっていくんですが、白身の固まる温度はだいたい80度ぐらいです。


大村正樹

へぇ〜、100度じゃないのか。黄身は?

70度ぐらいです。


大村正樹

10度の違いがあるんですか?

そうです。


大村正樹

ということは、黄身が先に固まって、その後に白身が固まるということ?

逆なんです。


大村正樹

えっ!?

沸騰したところに入れると、まず普通に100度なので外側から固まっていくので、半熟卵から完熟卵になっていきます。


大村正樹

そうだ。

ただそれを60度か70度辺りの温泉のようなお湯につけておきますと、先にジワジワッと温まってくのが黄身のほうになるんです。


大村正樹

そうかっ! すみません、半熟卵と温泉卵は違うんですね。

はい、違います。


大村正樹

僕は半熟、好きでした。

はい(笑)。


大村正樹

白身が固くて中の黄身がトロッとしているのがいいんだけれど、温泉卵は黄身が固まっていて白身がまだ固まってない。

ええ。


大村正樹

なるほど。ということは、温泉卵は70度から80度のお湯とか蒸気にあててるから、あんな風になるということですか?

そうですね。もう少し低い温度がいいですね。


大村正樹

へぇ〜。

もしご家庭でつくる場合は、その程度の温度のものを発砲スチロールの容器とかに入れてフタをした状態で温泉卵がつくれます。


大村正樹

例えばお湯を入れた鍋を発砲スチロールに入れて、その横に卵を置いておくと温泉卵ができるということですか?

いえ、発砲スチロールの中にお湯を入れまして、そこに卵を入れる。


大村正樹

すると、あまり温度も下がらなくて温泉卵ができる。

そうです。


大村正樹

何分ぐらいでできるんですか?

30分ぐらいかかるかもしれませんけれど。


大村正樹

だけど、温泉卵は独特な硫黄のにおいが加わるわけじゃないですか。

はい。


大村正樹

発砲スチロールでやったら、硫黄のにおいは入らないですよね。

そうですね。そのにおいは入らないですね。


大村正樹

なるほど。勉強になりました。もう時間。きれいな人としゃべってるとあっという間だ。僕、絶対東大でも高田万由子さんより菊川怜さんより、先生のほうがきれいだと思います。

とんでもないです(笑)。


大村正樹

ネイルもきれいにしてらっしゃるし、春らしい。すみません。

フフフフ。


大村正樹

まだしゃべり足りないですよね。大丈夫ですか?

はい。


大村正樹

すみません、こんな短い時間で。もっともっと聞きたいことがいっぱいあったんですけれど、この番組30分になったらまた来てください。

はい、ありがとうございます。


大村正樹

今週のサイコーは、サイエンスライターの内田麻理香さんでした。ありがとうございました。

ありがとうございました。


大村正樹

サイコーの内田麻理香さんは本をいっぱい出してらっしゃるんですけれど、インターネットでカタカナで『カソウケン』というホームページも出してらして、家庭の科学のことを書いてありとっても興味深かったんです。興味があったら、ぜひ見てください。こんなきれいな人がサイコーで来られているので、今年の夏のイベントは内田さんに来てもらおうかなぁ。絶対面白いよねぇ。いろいろ実験もしてくれそうだし…。勝手に個人的に思ってますけれど。それでは、また来週も夕方5時半に会いましょうね。バイバイ!