キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。そろそろカエルの鳴き声が田んぼあたりから聞こえてくるシーズンです。みんなの生活の中でカエルの鳴き声ってあるかなぁ? 今日はカエルにとっても詳しいサイコーをお招きしてるんですけど、実は大村さんはカエルはちょっと苦手なんだなぁ。お知らせの後、サイコーの登場だよっ。
今週のサイコーは、動物写真家の松橋利光さんです。こんにちは。
こんにちは。よろしくお願いします。
お願いします。誠文堂新光社から『カエルの知られざる生態』といった数々のカエルの本を出してらっしゃいます。これ、気持ち悪いものからかわいいものまで数々のカエルの写真集アンド生態が詳しく書かれていて、私は基本的にカエルが苦手ですが興味深いです。
はい(笑)。写真から入ってもらえるとわかりやすいかなと思って、とにかくその本は写真をふんだんに入れているので。
きれいですねぇ。
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ありがとうございます。
というか、これは美術本ですよ。
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ありがとうございます。
これは全部、松橋さんが撮った写真ですか?
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そうです。
世界中で撮っているわけですよね。
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多少は海外にも行くんですけど、ほとんどのものは生態は日本産、日本にいるもので、海外のものはペットショップでもかなり今、カエルは、はやっているんですよ。
そうなんですか。『ケロロ軍曹』効果ですか?
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いえ、長年カエルはペットとして実は人気があって、そういうキャラクターなどがからんでまた飼い始める人もいるんでしょうけれど。
へぇ〜。子どもの頃からカエル信奉者の人っていますよね。カエルの置き物だけを集めたりとか。
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はい。
松橋さんは、いつからカエル好きですか?
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ほんとに記憶はあまりないんですけれど、子どもの頃からカエルをつかまえて庭の池に放して怒られるような、カエル中心の小学生でした。
へぇ〜。お生まれはどちらですか?
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生まれは相模原市ですが、今よりも何十年も前なのでちょっと歩くところに小川があって、そこに毎日カエルを採りに行っていました。
カエルはかわいいと思う人と気持ち悪いと思う人にわかれると思うんですけれど、私は半々で“怖いもの見たさ”で見たいのもあるし、気持ち悪いカエルがいたらイヤだし。
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はい。
大方の人がきっとそうだと思うんですけれど、ただイラストにするとカエルはなぜかかわいいんですよね(笑)。
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そうですねぇ。カメラマンになった時に、実はカエル発信でカメラマンになってしまったといってもいいぐらいカエルが好きで。カメラを持つ前からずっとカエルが好きなんですけれど。
へぇ〜。
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でも写真家として動き出した時は、カエルの本を出すことが世の中でどれだけ難しいかを知りました。
えっ、何でですか?
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嫌いなんです、やっぱりみんな。
へぇ〜。いわゆる需要がないということですか?
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特に大人は嫌いです。
いや、この本いいですよ。
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それをわかってもらうまでには、やっぱり長年かかりましたよ。
そうですか。かわいい写真もいっぱいあるし、「あっ、こんな生き方してるの」というのもあるし…。写真がすごくいっぱいあるけれど、これ撮る時はファインダーをのぞきこみながら何かカエルちゃんに声をかけるんですか?
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声はかけないですけど…。
黙々と?
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間合いというか…。例えばポイッとおいて撮る場合と自然の中で撮る場合があるんですが、自然の中でしたらやっぱり息をひそめて、どっちが先に気づくか。例え気づかれても気にしないようにこちらが努める、という感じで撮るんですね。
へぇ〜。
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スタジオ撮影のような時は逆に触れあいというか、ちょっと鼻っ面を持って持ち上げるとピンとするとか、そういうコツがちょこっとあって駆使しながら撮影してます。
僕の目の前にいるのは、茶髪のお兄さんなんで…。
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ハハハ。
カエルから見ても「こんな人に!」とビックリして、「気にするな」というほうができないと思いますよ、カエルも。
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体も大きいし、人間の目から見たら目立っちゃうとこもあるかもしれないですけれど、かなり気配を消すのとか足音を消すのはうまいので。
へぇ〜、そうなんですか(笑)。ちなみにカエルの種類ってどれぐらいいるんですか?
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カエルは、世界ですと4400種類ぐらい。でもね、まだまだけっこう、何年かに一度パプアニューギニアの秘境やちょっと奥地では見つかることもあるんですよ。だからはっきりとした種類数はまだいえないですけれど、徐々に増えつつある。
ふ〜ん。大なり小なりいろいろありますけれど、一番ちっちゃいのはアマガエルですか?
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一番小さいのは、日本でいうとヒメアマガエルという沖縄のカエルですが、海外では南米、確かベネズエラのほうに1センチぐらいのカエルがいます。ちょっと日本の名前がついてないのもいるんですが、だいたい最小レベルが1センチぐらい。
1センチぐらい。大きいものになると?
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大きいものだと体長、頭からお尻の先までで40センチぐらい。
えっ! 置き物みたいですねぇ。
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ゴライアスガエルというアフリカのカエルですが、それは足を伸ばすともう80センチぐらい。
うわっ、気持ち悪い〜(笑)。
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ちょっとそれは「気持ち悪い」という気持ちがわからなくはないですね(笑)。
色は何色ですか?
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ただの濃い茶色です。
岩みたいな感じで?
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岩みたいな。
伸ばしたら80センチ(笑)。それはカエルですか!?
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カエルです。
うわっ、鳥肌立っちゃう。気持ち悪いよ〜(笑)。見たことあるんですか?
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現地では見てないんですが、動物園や水族館で飼育してるところもあるのでペットとしては入ってきていて撮影したことがあります。
へぇ〜。「気持ち悪い」といったら、は虫類が僕は大っ嫌いですけれど、カエルはは虫類ではないですよね。
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カエルは両生類です。
は虫類と両生類の違いは何ですか?
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図鑑ではよく種類の数の問題とか、あとはよくわからない生き物まとまりで“は虫類両生類図鑑”みたいになっちゃうんですけれど、実は全然違う生き物です。最大の特徴といったら、は虫類は卵から産まれて、産まれた時から大人と同じ姿をしてるんですが、カエルは水の中でゼラチン質の保護膜のようなものに包まれた卵で、産まれた時は幼生というカエルでいうオタマジャクシの形で、それが変化していって変態してカエルになるという。
そういうことか。は虫類、イグアナやヘビは生まれたらそのまま大きくなるけれど、両生類は最初はオタマジャクシ。
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一度大きな体の変化をもたらして、変態してカエルになる。
僕らは子どもの時に、確かに理科ではカエルを習うわけですよ。教材としてはすごく印象に残っているんですけれど。
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あぁ〜。
えっ、習わなかったですか?
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自分の子どもの頃は、カエルは出てこなかった。
そうなんですか。
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解剖とかもしなかったですよ。
解剖までありましたよ。
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あれっ、そんなに年代は変わらないですよね。
44歳です。
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41歳です。その差だけでやっぱりだいぶ違うのかなぁ。やってないですねぇ。
僕のちょっと下になるとフナの解剖で、僕はカエルなんですよ。
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フナもしなかったなぁ。
そうなんですか。わかりました。変態ね。そもそもカエルの体をプロから説明していただくと、変態して大人になった後のカエルの体はどういう特徴があるんですか?
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キャラクターにもよくなるように目がギョロッと出っ張っている。それは生態によるんですけど、水生のものだと水から目だけを出してあたりを見るとか、土にもぐるタイプだと目だけ出してエサを待つとか、目が出っ張ってるのがとても特徴的です。
そうか、カエルは総じて目が出っ張ってる。
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出っ張ってるものがほとんどですね。体の形はだいたいズングリしていて…。
ズングリ。
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流線形の形で、泳ぐにしてもジャンプするにしても風の抵抗を感じにくい体形にはなっています。
はい。ジャンプが特徴ですよね、カエルは?
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もちろんジャンプはするんですが、人間が見てジャンプと思うのは、ただ単に人間が怖くて逃げてるから“カエル=ジャンプ”と思うんでしょうけれど、ふだんそんなにしつこくジャンプする生き物ではない。
そうなんですかぁ!
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はい。
カエルは普通に歩くんですか?
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普通に歩きます、移動は。
逆に見たことない、そんなの! 水槽の中しか。
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外で見ていても、移動は基本的には歩きで、ジャンプといっても小さなジャンプを繰り返す感じです。でっかいジャンプは、ほんとに驚いた時しかしない。
カエルの歩き方を表現すると、誰もがきっと「ピョコピョコ」というと思うんですね(笑)。
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そうですね。
だけどジャンプだからピョコピョコなわけで、カエルはペタペタ歩くんですか?
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ペタペタ歩く種類は、かなり多いですよ。
そうなんですかぁ。
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むしろジャンプをほとんどしないカエルもいるぐらい。
へぇ〜、そうですか。もう時間ですか。ちょっとあっという間ですよね。
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早いですね。
また来週も詳しい話をうかがいたいと思います。今週のサイコーは、動物写真家でカエルが大変お好きな松橋利光さんでした。ありがとうございました。
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ありがとうございました。
好きなことを仕事にするっていいですねぇ。子どもの頃からカエルが大好きで、その写真をひたすら撮り続けて写真集を出せるという。ほんとにいろんなカエルが写真集に載っているんですけれど、今日はちょっとだけカエルが好きになってきました。では、楽しい週末を。バイバイ!