キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ、今回も植物を取り上げます。とっても身近にある植物、その植物にはいろんな不思議が隠されているということで、今週もサイコーに聞いてみたいと思います。みんなの夏休みの自由研究のひょっとしたらヒントになるかもしれないよっ。お知らせの後です。
今日のサイコーも前回に続きまして、植物にたいへん詳しい萩原信介さんです。こんにちは。

こんにちは。
萩原さんは東大の大学院農学研究科を修了後、国立科学博物館の附属自然教育園に入られまして、今も特任研究員として研究されているということです。今回も植物の常識を聞いていきたいんですけれど、ちょっとクイズ形式で。まずは、こちらです。「虫だけに見える模様を持つ花がある」、−これクイズでも何でもなくて、きっとそういう花があるということですよね。虫だけに見える模様を持つ花、これはどういう名前の花ですか?

私たちは七色の光が見えますよね。
虹、レインボー?

ええ、あれは全部見えますよね。ところが紫外線という言葉があるでしょ。
紫外線。

あれは、虹よりもっと波長の短いものと長いものの話なんですよ。
紫外線は女性の肌に悪いんでしょ(笑)。

悪い。
紫外線というのは、光線の種類ですか?

ええ、そうです。「紫」の「外」と書くでしょ。
そうそう。

だから「紫」の「外」は波長が短くなって体によくないんですけどね。それをハチなどは、特に紫外線の色がわかるんです。
へぇ〜。

逆に赤や緑はわからない場合があるんですけどね。
虫だけに見える模様を持つ花があるというのは、紫外線が花びらについている花があって、人間の肉眼では見えないけれど、ハチには見える模様があるんですか?

そうですね。
それはどうやって人間が研究して、その模様をつき止めたんですか?

紫外線だけを感じるフィルムというのがあるんですよ。
へぇ〜!

紫外線フィルムがありまして、それで撮ってみたらいつもの模様と全然違う模様が花に見えたんです。
すご〜い! あぶり出しみたいな感じですね。

まぁそうですね。実は、それはハチの目から見た花の模様と同じだった。
じゃあ、ハチから見るとおいしそうな花なんですかねぇ。「おいしい蜜がありますよ」という。

蜜のあるところだけ、黒くはっきり色がついて見える。
へぇ〜。何という花ですか?

いろんなものがありますけれども、例えばキンポウゲの仲間など、特に多い。
キンポウゲの仲間。それは人間の目には模様のない花びらだけれど、紫外線で模様が入っている花びらなんですね。

そうですね。ツツジなどもそうです。
えっ、ツツジ。

真ん中に点々がありますけれど、それが虫にとっては紫外線をよく反射して蜜のありかを教えてくれる。
確かに子どもの時にツツジの花を摘んで、チュウチュウ吸って甘い味がしました。あれはミツバチからするとバッチリ紫外線で、「おいしいぞ!」ということが見えるんですか?

そうですね(笑)。
へぇ〜、紫外線が。結構な種類の花びらには、紫外線の模様とかマークがついているんですね。

ついてます。
僕らはわからない。紫外線のフィルムってサングラスとかで売ってないんですか?

昔は研究用に売っていて、今ももちろん紫外線フィルムは売ってます。
じゃあ、カメラ用に紫外線フィルターを通したら、花の写真も僕らが見るのとは全然違う写真を撮れるということですか?

もちろん撮れます。
すごい。次はこちらです。「ドングリは食べられる。ウソかホントどっち?」。どちらですか?

ドングリも種類がたくさんありまして、食べられるのはほんのちょっと。
食べられるドングリがあるんですか?

あります。
いわゆるクリといえば、栗ですからね。

ドングリの「ドン」というのは、まずいとか鈍いという意味で。
鈍い栗。

ところがドングリの中でもシイノミ、シイの木の実は生で食べるんですけどね。
よく東京で秋になって落ちている実はどうですか?

だいたいダメです。
ダメ。シイの木のドングリは大丈夫?

大丈夫です。
どんな味がするんですか?

ちょっと炒ってみるとピーナッツみたいな感じですね。
銀杏を炒る感じで、フライパンでやれば?

銀杏ほど変な苦味はありません。
えっ、おいしいってことですか?

おいしいですよ。
シイの木のドングリはおいしい?

ええ、おいしい。
ふだん東京にあるドングリは、何の木のドングリですか?

いろいろありますけど、まん丸いクヌギのドングリとか…。
クヌギのドングリ。

コマにつくったりする、丸いドングリね。
ドングリの木からできる実かと思ってたら、そうじゃないんですね。

はい。ドングリの木というのはないんです(笑)。
知らなかったぁ。

だから、コナラのドングリや今いったクヌギのドングリとか、それからカシの木にもドングリができる。
へぇ〜。じゃあ、食べられない鈍感な鈍い栗の実は総じてドングリと呼ばれ、いろんな木からドングリの実はあるんですね。

そうです。
だけど、シイの木のドングリだけは食べてもいいよということですね。

そういうことです。
ちょっと帰り道、シイの木さがそう! 秋になってドングリ炒って食べたら、シイの木はおいしいということですね。

ええ、非常においしいです。
続きまして、「サボテンに葉っぱはない。ウソかホントどっち?」これは、サボテンに葉っぱはないですよね。

うん。葉っぱとは見えないけれど、実はトゲが葉っぱなんです。
えぇ〜! 何でですか?

サボテンが生えているところは、あまりにも暑い。乾燥してるでしょ。葉っぱをつけていると、葉っぱから水が抜けちゃって困ったことになるんですよね。
でも葉っぱがあるから植物は光合成をして栄養を得るというじゃないですか。トゲだったら、光合成はできないですよね。

やっていません。
やらなくていいんですか?

ところが、サボテンは茎が太くて緑でしょ。
はい。

あそこで光合成をやってる。
茎本体が光合成の源ということですか?

ええ。
じゃあ、トゲの必要性は何で…。身を守るため?

身を守るためしかありません。
そういうことか。重要な茎の部分が光合成に必要な体幹部になるから、それを守るためにトゲがあるということですか?

そうです。
それがまた植物の生きる知恵ということですね。

はい。
もうすぐ夏休みなので、萩原さんおすすめの子どもたちの自由研究のヒントはありますか?

特別なことをやらなくて、なるべく身近にたくさんあるもの。いつも見られるようなもの、例えばヤブカラシ…。
先週のツルですね。

ええ。どこでもあります。これの巻きひげがちょっと何かに触れると1分以内にグルグル巻き始めます。
見えるんですか?

ええ、見えます。
すごい! ツル性の植物、それはヤブカラシ以外でアサガオは?

アサガオは、そう簡単にはいきませんね。
時間がかかる?

ええ。
ヤブカラシは、都内あちこちにあるんですよね。

どこでもあります。
先端の部分に割りばしなどを近づけると…。

割りばしは太いから、マッチ棒などの太さのものがいいですね。
1分でそのマッチ棒に…。

1回転はします。
すごい! ミミズみたいにニョロニョロニョロと動くのが肉眼で見ることができるということですね。

そうですね。よーく見てると、動いているのがわかります。
ラジオの前のキッズ、お父さん、お母さん、やってみてください! ちょっとこれをヒントに、僕もさっそく帰りにやってみようかなぁ。時間になりました。すごく勉強になりました。もしよかったら、また来ていただいてよろしいですか?

こんなことでよろしかったら、いつでも参ります。
ほんとこのシーズンは、植物にとって非常に元気な季節ではありますよね。

そうですね。
これを自由研究のヒントにして、キッズも身の回りの緑から何か見つけてみてはどうだろうか? ということで、今週のサイコーは萩原信介さんでした。ありがとうございました。

はい、どうも失礼しました。
サボテンの続きじゃないけれど、「植物は普通にそういう形してるから」と見ていたけれど、敵から身を守るためとか理由があるんだよね。ヤブカラシにマッチ棒を近づけたら、たった1分でマッチ棒に巻きついちゃうって、ほんと今からでもやってみたいぐらいだけれど、そういうふうに成長の早いものもあれば、スギの木みたいに何百年も何千年もかけてじっくりちょっとずつ成長する木もあって人間のタイプに似てるよね。みんなは何タイプだろうか? ということで、植物をきっかけに自分の性格を振り返ってみるのもいいかもしれないな。また来週、バイバイ!


