キッズのみんな、メリークリスマス!サイエンステラーの大村正樹です。クリスマスイブの今日も粛々とこのラボからお届けしたいと思っております「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ、今日の夜は、みんなでケーキを食べて、音楽をかけてクリスマスのムードが盛り上がっていると思います。何でこのラボにいなくちゃいけないんだろうと思いますけれど。今日はキッズからの質問特集で、クリスマスにぴったりの科学の質問が届いてますよ。お知らせの後、サイコーが登場します。
今週のサイコーはおなじみの科学ジャーナリスト、寺門和夫さんです。寺門さん、こんばんは。

どうも。
イヤですねぇ、男二人でいい年してこのクリスマスイブにラボにこもるというのは。微妙ですねぇ(笑)。

そうですねぇ。
さぁ、キッズから質問が届いておりまして、今回クリスマスにちなんだものを紹介していきます。東京都八王子市のマサキ君、12歳。あっ、なんだ、大村正樹と同じじゃない、いいじゃない(笑)。「女の子が大人になってプロポーズされる時は、雪の降るホワイトクリスマスがいいといっていました」。マサキ君、ませてるねぇ。「そこで思ったんですが、未来になったらクリスマスの夜は必ず雪が降るようにするなど、人間の力で晴れや曇り、雨、雪などの天気を決めちゃうことができますか?」という。ロマンチックですね。

そうですね。やっぱりクリスマスの時には雪があるといいですよね。ロマンチックですね。天候をある程度人工的につくることができるかという研究は、実は今なされているんです。
はい。

ですから将来はクリスマスの時に雪を降らせることも、たぶんできるようになるかもしれませんね。
えっ、ほんとに?

はい。
どうやってですか、人工降雪機ではなくて?

そうですね。あれはスキー場で使ってますけれども。雨を降らせるという技術は、今ずいぶん研究されてるんですね。
ええ。

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それで、雨をどうやって降らせるかというと、ある程度雲があって水蒸気があった時に、雨ができるためには雨が粒にならないといけないので粒の中心になるちっちゃい種を空中にまくんですね。その種の周りに水蒸気が集まってきて雨粒になって落ちてくるという。そうやって雨を降らせようという研究は今されてるんです。
ふ〜ん。雨乞いって昔やりましたけれれど、儀式として。

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そうですね。
科学的に天気を変えることができる時代に?

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ある程度、雨を降らせようという研究はあるんですね。どうしてかというと、今世界中で雨が降らなくて農業ができない地域がいっぱいあるんです。
はい。

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そのためにたくさんの人がお腹をすかせてるということもあるので、雨を降らせてある程度農業ができるようになると、人類にとってとてもいいことなんですね。ですから、そういった研究はできてます。
はい。

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将来は冬、寒い時季に雪の種となるものをまいて、そしてそこに水蒸気がくっついて氷になって雪になって落ちてくるという。そういった技術も、もしかしたら可能になるかもしれませんね。
へぇ〜。雪が降るのは、基本的には湿度と気温といいますよね。

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そうです。
湿度が70パーセント以上で気温が4℃以下とか、条件があると気象予報士の方がいっていました。

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いずれにしても空に水蒸気、水がないといけないので、まずそれが大事ですね。それで雨ではなくて氷の結晶になって落ちてくるわけですから、当然寒くなくてはいけない。
なるほど。気象条件というと今年もやっぱり夏は暑かったし、いろんな自然災害もあった。特に東京のキッズたちは分からないかもしれないけれど、和歌山県の紀伊半島で大変な雨の水害が起きたじゃないですか。

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そうですね。
ああいう雨雲を逆に排除したりとか、そういうことにはならないんですかねぇ。

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そういった研究もこれから出てくると思います。特にタイですごい洪水もありましたね。アジアの地域は今、大雨が降って洪水になるという災害がとても多いんですね。ですから適度な雨は必要ですがたくさん降ってしまうと災害をもたらすので、雨雲をもたらす台風の勢力を弱めることも将来は考えられるかもしれません。
なるほどねぇ、そうか。自然の驚異って、特に今年はそれを思い知らされた1年だったので少しでも緩和されればいいなと思いながら、そこに手をつけてしまうのは何か神に手を出すような感じがしていけないのかなとか、何かいろいろ考えちゃいますね。

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そうですね。自然をある程度変えることなので、これはやっぱり慎重にやらないといけないですね。ただある意味では、今の二酸化炭素を出して地球を温暖化しているのも、実は人間が人為的に自然を改変しているというふうに考えることもできますね。
あぁ、そうか。

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そういうことをしないようにすることも大事ですし、適度に自然を利用することも大事だと思います。
文明の利器の開発によって地球がこうやって温暖化したことは、元々ない時代の地球と照らし合わせるとやっぱりそのツケが今きてるわけですものね。

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そうですね。
そうか。質問者の八王子市、マサキ君と言ったけどマサキちゃんって女の子なんだね、きっと。クリスマスのプロポーズ。ごめんね、マサキちゃんでした、12歳。続いていきましょう。埼玉県のユリアちゃんという11歳の女の子です。「クリスマスの時季になるといつも思うことがあります。それはサンタさんが乗るソリです。空を飛ぶソリを人間はつくれますか? それとサンタさんが乗るソリには屋根も壁もありません。あのまま飛行機と同じ高さを飛んだら、酸素は大丈夫なんでしょうか? トナカイは息ができるんでしょうか?」。いい質問ですねぇ。

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そうですねぇ。
ちょっといろいろあるなぁ。まず空を飛ぶソリを人間がつくれるか?

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はい。
それから、飛行機と同じ高さまで飛べるか? そしてトナカイは上空で息ができるか?

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まず空を飛ぶソリをどうやってつくるかですが、やはり翼がないとダメですね。
イラストのソリじゃ基本的には不可能なんですね。

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そうですね。どうして飛行機が飛ぶかというと、あんな重いものが飛べるのは翼があって浮き上がる力をつくってるんですね。ですから翼がないといけないんですけれど、ソリもそういったものをある程度つければちょっと空を飛ぶことができるかもしれません。
ふ〜ん。

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ただやっぱり飛行機の原理はすごい難しくて、揚力という浮き上げる力が飛行機の重さよりも大きくないと飛べない。ですからソリそのままだと、ちょっと夢をこわすようですがなかなか空を飛ぶことは難しいんじゃないでしょうかねぇ。
きっと寺門さんが、キッズたちが読んでいる絵本やアニメーションで「現実的にこのソリが飛ぶには…」という計算をして羽を描いたら、まったくデリカシーのない絵になるでしょうね。

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そうなっちゃいますねぇ(笑)。
ハッハハハ。

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それは夢をぶちこわすことになりますね。
やっぱり寺門さんはファンタジーの世界を見ると、「こんなの、あり得ない!」と子どもの頃から?

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いや、僕は全然それはないですねぇ。僕はサイエンス・フィクション=SFは好きですし、ファンタジーの世界も好きなので全然そういうふうに考えたことはないです。
なるほど、わかりました(笑)。で、飛行機と同じ高さを飛んだら酸素は大丈夫なのかという。飛行機はどれぐらいの高さに?

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例えばジャンボジェット機で東京とニューヨークを往復する時は、だいたい1万メートルぐらいを飛びますよね。高度約10キロ。
10キロ! そんなに低いのか。もっと高いところを飛んでると思ってた。

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だいたいそれぐらいですね。
そんなもんですか。

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でもそこまで行くと空気が薄いので、やっぱり息するのは苦しい。それから、もちろん気温が低いですからね。
スカイダイビングの人は何メートルから飛び降りるんですか?

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もうちょっと高いところからやることもあると思います。
空気がないところから?

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全然ないわけじゃないです。薄い。例えばエベレストは8,000メートルちょっとですね。それぐらいまで酸素ボンベをつけないで登る人もいるし、気球でもっと高いところまでマスクをつけないでいく人もいますね。
ええ。

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ですから絶対ダメだということはないですけれど、普通の人にとっては酸素が薄くなるととても危険ですね。
あぁ。

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そういった意味では、トナカイさんもやっぱりちょっと息するのが苦しいかもしれませんね。
質問してくれたマサキちゃん、それからユリアちゃん、どうもありがと! 寺門さん、来週は大晦日ですけれど、もしよろしかったら来週、今年の締めをよろしいですか?

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はい、わかりました。
今週のサイコーは、科学ジャーナリストの寺門和夫さんでした。
みんな今の時代、何がプレゼントで欲しいのかなぁ? やっぱりゲーム機とかになってると思うんだけれど、確かに大村さんの子どもの頃も顕微鏡とか天体望遠鏡とかやっぱり科学にちなんだものをサンタさんにお願いするのがいわば常識だったもんね。いやぁ、時代も変わったもんですね、お父さんお母さん。ということで、みんなどうだったでしょうか?それでは、来週はいよいよ大晦日だ。じゃあ、また来週の夕方5時半ね。バイバ〜イ!


