
キッズのみんな、こんばんは。サイエンステラーの大村正樹です。バレンタインのチョコもらったかな? 今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ、今回はバレンタインじゃなくて、今話題のハイテク旅客機を取り上げます。ボーイング787って、聞いたことあるでしょ?最新鋭の飛行機で、これからの時代にふさわしいということなんですね。今回のサイコーはこのボーイング787を徹底解剖して本まで出しちゃった、本当に航空機に詳しい方が登場します。


今週のサイコーは、飛行機のことなら日本で最もこの方が詳しいんじゃないかと思います。航空ジャーナリストの秋本俊二さんです。こんばんは。
こんばんは。

また本を出されたんですね。
そうですね。

いやぁ、ほんとに秋本さんの本は写真が満載で、非常にわかりやすい。サイエンス・アイ新書から『ボーイング787まるごと解説』という本を去年の秋に出されています。ボーイング787は今、話題ですよね。
そうですね。ちょうど機種が増えて、就航路線も拡大しつつあるので。

最新鋭の飛行機ということでニュースにもなりましたし、新聞にも出たりしました。この787は、羽田空港で簡単に見られるんですか?
今増えているので、見られますね。

そうですか。見た目の特徴で、何を見たら787とわかるんですか?
これは、いわゆるボーイング767という中型機の後継機なんですよ。ぱっと見ただけでは、例えばその前に話題になったエアバスの二階建てのでっかい飛行機などに比べるとそれほど特徴はないんですが、新しい素材でつくった飛行機なんです。

素材…。
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ええ。

見た目にわからないですねぇ。
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何が違うのかというと、767と長さはほとんど一緒ですがウィングスパン−翼の端から端までの長さが10メートルぐらい大きいんです。

ええ。
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なぜそんなことができたかというと、軽くて強い新しい素材を使ったので、金属の鉄板をいくつも張り合わせたのではなくて大きな一枚板で羽がつくれるんですよ。

へぇ〜。
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だから、それが羽のウィングスパンの広さ−空港で羽を休めている時には鳥みたいにおとなしくしてるんですが、一度浮かび上がると上にすごくカッコよくそるんですね。

うん。
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だから、未来の飛行機みたいな感じです。

そっているところは、地上から肉眼で見ることはできるんですか?
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離陸すれば、そうなりますから。

羽がそるのがわかるんですね!すごい!
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そうですね。カッコいいですよ。

へぇ〜。羽田空港に近づくと、空港のリムジンバスなどで見ると、最近は写真を撮っている方が多いんですよ。
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多いですね。

787を写真におさめようとか、そういう方が多いんですかねぇ。
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今はそうですね。

へぇ〜。何か増えてるなと思ってた
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増えていますよ。「私も見ました」、「私も写真撮りました」という報告がファンの方からいっぱい届いています。

そうですか。アマチュアの写真家の方が多いのは、羽をそるところがぜひ見たい、撮りたいという…。
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今、増えてますからねぇ。降りてくる時に、普通シルエットだけだと何の飛行機かわからないんですが、これはわかるんですよ、羽のそり方で。

明らかに上を向いているということ?
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そうです。

そうですかぁ。この787は全日空で今、55機?
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55機ですね。

JALにはないんですか?
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JALもこれから、3月4月に飛ばし始めます。

今は全日空しか乗れない?
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今はそうです。

乗客としてその美しい飛行機に乗りたい場合は、どこ行けばいいんですか?
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まず2011年の11月1日から羽田から岡山、それから羽田から広島に就航したんです。

へぇ〜。
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年が明け、今度は羽田から大阪伊丹とか、山口宇部や松山などに飛ばし始めました。それで1月からいよいよ国際線のデビューを果たしまして羽田から北京、羽田からフランクフルト。これから、どんどんどんどん就航路線が増えます。JALも今発表しているのは、まず羽田からアメリカのボストン、今まで直行便がなかったところに787が飛ばせるんですよ、ある秘密がありまして。だから増えますね。

ふ〜ん。
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みんな時刻表を見て、何時に787を使っているかわかりますね。例えば、岡山線だったら朝一の便がそうなんですね。広島線だったら午後の便がそうなんですよ。

ほぉ〜。
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だからマニアは岡山へ行って昼に帰ってきて、午後に広島へ行って夕方に帰ってくるという乗り方をしてますよ。

マニアは乗るためだけに!?
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そうそうそう(笑)。

えぇ〜!
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飛行機ファンって多いんですよ、そういう方が。

お金はらってですか?
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そうです。

あら〜。秋本さんもそのお一人?
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私は用事がないと乗らないですけどね(笑)。

そこまでしてマニアの方が787にくいつく…787のすぐれている点はズバッと何ですか?
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さっき見た目はあまり変わらないといったんですが、これは乗ってみてすごさがわかる飛行機なんですね。まず入ってすぐ気がつくのは、「何か開放的だな」、「広いな」と思うんですよ。今までの飛行機は胴体を輪切りにして、断面図を見るとだいたい飛行機って、まぁるい形でしょ。

はい。
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まん丸に近かったんですね。

はい。
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それがこの飛行機は楕円形なんですよ。縦に長いので、天井が20センチぐらい広いんですね。だから圧迫感がない。エコノミークラスに乗ると早く乗りたくてゲートに並ぶじゃないですか。

はい。
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あれはなぜかというと、荷物置き場がなくなっちゃうんですね。できるだけ自分に近いところに荷物を置きたいので、早く乗りたい。あとから乗ると、自分のところはみんな荷物で埋まり、ちょっと離れたところに置くことになるし、乗務員の方に頼まなくちゃいけなくなる。

ええ。
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それが、天井が高いぶんキャリーバッグが縦に並べて3つポンポンと入るんです。

機内がもう広いわけですね。よく窓側に座ると、窓が湾曲したところが足に引っかかって狭くなったりしますよね。
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ええ。

そういうのがないんですね。
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窓側が好きですか?

窓側は好きですよ。景色が見えますもの。
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そうですよね。でもトイレに立つのは面倒くさいので通路側という人も多いんですね。

はい。
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通路側希望者は外の景色をあきらめてたんですけれども、この飛行機は通路側からでも景色が見えるんですね。窓が大きくなってるんですよ。

へぇ〜。従来のものよりも大きい?
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ええ。幅をはかったら同じぐらいですが、縦に伸びて今までの1.3倍ぐらいあるんですね。

ほぉ〜。
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確かにボーイングの技術者が、シアトルに取材に行った時に「これからは通路側からでも景色が楽しめるよ」といってたんです。ほんとその通りですよ。

へぇ〜。あとは、メリットは何ですか?
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窓の話でいうと、日よけのシェードが普通あるでしょ。それがないんですよ。

へぇ〜。
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下に小さな丸いボタンがあって、上を押したり下に押したりして差し込む光の量を調整できるんですよ。

なるほど。
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5段階で調整できてお客さんにとっても斬新だし、一番いいのは長距離線で夜になるとみんなシェードをしめなくちゃいけないので、忘れて寝ちゃった人がいると乗務員がいちいち手を伸ばして「ごめんなさい」といってしめて歩くんですね。それが中央のコントロールパネルで一気に調整できるので、乗務員の方も楽になりましたよねぇ。

国際線などはいいですよね。やっぱり燃費もいいわけですか?
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燃費がすごくいい飛行機なんです。さっきからいっている新素材というのは、炭素繊維の複合材なんですね。

いわゆるカーボン。
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はい、カーボン。ゴルフのシャフトに使ったりとか、釣竿とかF1のマシーンなどにも使われていますが、軽い。強度が鉄の8倍、9倍あるんですね。

ほぉ〜。
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そういう素材は部分的には使われてきましたが、787は機体の50パーセント以上−全部、細かい部品なども素材に含まれるので、そうするとわれわれが外から見ている大部分がカーボンファイバー、炭素繊維の複合材でつくられてるんですよ。

見た目にはわからないですよね。
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わからないですね。

今、手元に秋本さんの著書があって787のきれいな写真があるけれど、鉄板だろうと思っていましたが、実は鉄板じゃなくてカーボン。
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だから、窓も大きくつくれたんですね。

なるほど。カーボンは、これからの次世代の素材になってくるわけですね。
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軽いぶん燃費が20パーセント向上したので、そうするとエアラインにとってはいろいろなことができるんですね。

わかりました。そのあたりを含めまして、次回、エアラインのメリットなどもうかがっていきたいと思います。また来週もよろしくお願いします。
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はい、ぜひ。

今週のサイコーは、航空ジャーナリストの秋本俊二さんでした。ありがとうございました。
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ありがとうございました。

秋本さんに聞き忘れたけれど、飛行機っていい値段するわけですよね。これを何機も投入して採算とるのも大変だと思います。今、飛行機って格安航空会社も参入して、今年は「日本初の格安航空会社も」ということでまたニュースになってますので、いろいろと航空業界は大変だと思います。この787という新しい飛行機は、世界的にも注目されているということです。乗る機会があったら、よーく窓の外の羽の動きをチェックしてください。それでは、来週も夕方5時半に会いましょう。キッズのみんなも楽しい週末を。よかったら飛行機に乗りに行ってね!