キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ、ついにロンドンオリンピックが始まりました〜。開会式、明け方だったけれど、みんな見たかな？ これが4年に一度のスポーツの祭典ですよ。今回もオリンピックでおなじみの陸上競技に詳しいサイコーをご紹介します。投げる競技、いろんな競技があります。みんな、お知らせの間イメージをふくらませてください。
今週のサイコーもライターの柄川昭彦さんです。こんにちは。
こんにちは、どうかよろしくお願いします。
は〜い。始まりましたねぇ、オリンピック！
そうですねぇ。
日本人の選手団500人行っていて、うち選手が300人弱ですが、その中でひときわイケメンで、今話題なのがディーン元気選手。
人気ありますね（笑）。
あの人は、やっぱりこれから行くんじゃないですか。たぶん日本帰国したら引っぱりだこかもしれません。
そうですね。今年もどんどん記録を伸ばしていて、このまま行くと入賞したりとかメダルをとる可能性も期待できます。
おっ、期待できる！
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はい。
へぇ〜。「元気」というと須藤元気さんが有名だったのが、今やディーン元気というふうに…。まだ大学生ですってね。
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そうですね、早稲田大学の学生さんです。
彼は、やり投げの選手。
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はい。
そもそもやり投げはどういうスポーツですか？ 投てき種目というんですけれどね。
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陸上競技の投てき種目は砲丸投げ、円盤投げ、やり投げ、それから室伏選手のハンマー投げの4つあります。やり投げは重さが800グラムしかないんですね。けっこう軽い。
1キロないんだな。
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はい。だけれども、すごく長い。ほかの投てき種目は、重い物をどこまで飛ばすかですけれど。
じゃあ、やりは800グラム。円盤は何グラムですか？
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円盤は1キロちょっとだったと思います。
1キロちょっと。室伏さんのハンマーは？
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7.26ですね、16ポンドですから。
ほぉ〜。
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円盤の1キロは女子ですね。男子はもうちょっと重いです。
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砲丸もハンマー投げと全く同じ7.26です。
7.26、砲丸とハンマー。
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はい。
7.26、砲丸とハンマー。
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はい。
やりは800グラム。
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はい。
じゃあ、9分の1ぐらいですね。
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ですから、やり投げは重い物をどこまで飛ばすかよりも、技術を使って長い物をどうやって上手に投げるかという技術系の種目でもあります。
バランスみたいなものですね。長い物をビューッと遠くへ。
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そうですね。かなり長いですから真っすぐ投げるだけでも、実はなかなか大変。
ほぉ〜。
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初めてやりを投げた人は、やりが縦になったまま地面に着くのはほとんどないぐらいです（笑）。
ですよね〜。
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非常に難しいですね、やってみると。
やりがもし芝に刺さらなかったら失格ですか？
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刺さらなくてもいいんです。
いい？
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はい。ただ基本的にやりは頭から落ちます。
はい。
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重心よりも前の長さと後ろの長さが違って、後ろの長さが長いんですね。重心よりも後ろのほうが長い。
ええ。
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長いと空気の抵抗が大きいので、落ちていく時に必ず後ろのほうが上がって頭が下がるんです。
じゃあ、頭のほうが重くできてるんですね。
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ええ、頭から落ちるようになっている。
ポイントは、僕らはどこを見ればいいんですか？
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やりが真っすぐになったまま飛んでいくのがまず難しいので、そうするために選手がやりを投げる時にスピンをかけているんです。
ええ。
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右利きの選手ですと、後ろから見てやりは時計回りに回転して飛んでいく。
はい、はい。
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その回転することによって、やりは安定するんですね。
クルクル回るほうが安定する？
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はい。コマと一緒ですね。
ほぉ〜。
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コマは回っている時は1本の軸でちゃんと立ちますが、回ってないと立ちませんね。不安定でグラグラしちゃう。
はい。
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回転してるコマを指でつついても、元の状態に戻っちゃうぐらい安定している。回転しているやりは、真っすぐにグラグラせずに飛んでいく。ですから、まずスピンをかける。
じゃあ、選手はただ単に筋肉にまかせて投げてるんじゃなくて、投げる直前に手のひらでやりに回転かけてるということですか？
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そうです。
すごい！
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けっこうすごい回転がかかっているんです。
へぇ〜！
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その回転をもっと生かすために、やりの先端をちょっと右側に向ける。
右、はいはい。
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やりの先端がちょっと右を向くと、左側面から風を受けます。
はい。
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左側面で空気を切り裂いていく。その時に右回転のスピンがかかってますから、やりの上を流れる空気の速さと下を流れる速さが違うんですね。
へぇ〜。
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回転がかかっているために、やりの上を流れる気流のほうが速くなる。そうすると、そこの気圧が低くなって浮き上がる。
飛行機の原理と同じですね。
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そうですね。飛行機の翼の上を流れる空気は速くて、下を流れる空気は遅い。ですから揚力（ようりょく）という力が働いて翼は持ち上がる。それと同じようにスピンをうまく生かすためには、ちょっと先端を右に向けてあげると気流によってやりが揚力を受けてちょっと浮く。そのために後半落ちるかなと思ったやりが落ちない時は、そういう揚力が働いているんです。
いわゆる「伸びた〜！」というやつですね。
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そうですね。最後の伸びるかどうかは、回転と風の向きなんです。ですから、やり投げは、ちょっと向かい風のほうがいい記録が出るんです。
なるほど。あとハンマー投げ。ハンマーって学校で出てくるハンマーは、金づちのでっかいやつですよ。ところがオリンピックで出るハンマーは、鎖でつながれて、何の道具だってみんな思うと思うんですよ。
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はい。どうやら道具ではなかったみたいですね。
何ですか、ハンマーって？
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あれは鎖ではなくて、ピアノ線でつながっている。
あっ、ピアノ線。ワイヤーみたいなものですね。
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あのハンマーは重さが7.26＝16ポンドという重さで、ボウリング場へ行くと一番重いボールがありますね。
はい。
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あれが16ポンドです。
えぇ〜！
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一番重いボウリングのボールをワイヤーを付けて飛ばす、という感じですね。
16と書いてあるボールが、室伏さんが投げる重さ？
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そうですね、とてつもなく重いやつです。
そんなの僕、持てないもの。
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フフフフ。
キッズたちだって絶対16なんか、持った瞬間「これダメ」となって9とか8で投げてると思いますけどね。
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あれを80メートル先まで飛ばすのはとんでもないですね。
はぁ〜！
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男子の砲丸投げも同じ大きさなんですね。でも砲丸投げは20メートルちょっと、ハンマー投げは80メートル。何でそんなに飛ぶかというと、ワイヤーを使ってグルグル回している。
はい。
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室伏選手は4回転しますが、4回転するうちにどんどん遠心力を使ってスピードを上げていく。飛び出す時のスピードが、砲丸投げとハンマー投げでは全然違うんですね。
ええ。
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ですから、20メートル台と80メートル台の距離の違いが出てきます。
そうか。競技する選手たちが円の中にいて、その円の中でグルーン、グルーン、グルーン、グルーン、グルーン！とやる。いわゆる遠心力をかけて「それっ！」となる。
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あれは、どんどんハンマーを速くしてるんですね。
砲丸投げはそれがないですものね。
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そうです。
タッタタ、「ほりゃ！」ですものね。
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そうですね。ハンマー投げのハンマーが飛び出す速さは、世界一流選手の場合はやり投げの選手が投げるやりとほぼ一緒だといわれています。
タッタタ、「ほりゃ！」ですものね。
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そうですね。ハンマー投げのハンマーが飛び出す速さは、世界一流選手の場合はやり投げの選手が投げるやりとほぼ一緒だといわれています。
はい。
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でも世界記録は、やり投げのほうが10メートルぐらい多い。
ほぉ〜。
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それは先ほどいった揚力が働くので、同じスピードでほぼ同じ角度で投げても、やりのほうが飛ぶんです。日本の室伏選手とディーン選手の記録を比べますと、ディーン選手は今年84メートル、室伏選手のベスト記録は84メートル86と同じぐらいだったんですが、まだ室伏選手が上なんですね。
ええ。
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それは世界的にいえば、やりのほうが揚力を使って10メートルぐらい遠くに飛んでもいいはずですから、その記録だけ見てもやっぱり室伏選手はかなり偉大だと思います。ですから今回、室伏選手の記録とディーン選手のやりがどっちが飛ぶかはけっこういい勝負です。
いやぁもう俄然楽しみだ。よし頑張ろう！ もう時間ですね。今度、オリンピック終わったら総括に来てくださいよ。
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ありがとうございます（笑）。
今週のサイコーは、ライターの柄川昭彦さんでした。ありがとうございました。
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どうもありがとうございました。
投てき競技は、東ヨーロッパというエリアが昔から圧倒的に強かったんですね。そこで室伏選手が8年前に金メダルをとって今、日本人も頑張ってますから、みんな応援しましょ！それでは来週も夕方5時半に会いましょうね。キッズのみんなも競技を見る人はもう寝るように。おやすみ！
