
キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ、夏休みの後半戦、みんな思い出もつくってるかなぁ?宿題もやってるかなぁ?自由研究は進んでるかなぁ?そうそう自由研究。先週は生き物の話をしましたが、宇宙の自由研究をやるキッズも多いと思うんだよね。この夏、宇宙飛行士の星出さんが国際宇宙ステーションで長期滞在に入ってます。この星出さんの動き、やっぱりチェックしておくと自由研究のヒントってたくさんあるんですよ。お知らせの後、サイコーの登場です。

今週のサイコーは、宇宙といえばこの方です。有人宇宙システム株式会社の長谷川洋一さんです。しばらくぶりです。
ご無沙汰です。

もう1年ぐらい前ですか?
ちょうどそれぐらいですかねぇ。

もう長寿番組になりつつあるので。
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本当ですね、すばらしい!

これからもよろしくお願いします。さぁ、夏の話題はオリンピックも盛り上がりましたけれど、やっぱり注目は、宇宙飛行士の星出さんによる国際宇宙ステーション滞在…。星出さんの滞在はいつまでですか?
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だいたい11月の予定で4ヵ月ぐらいの滞在になります。

秋まで。
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ええ、秋ですね。

日本人で今まで一番多かったのは、若田さんですよね。
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若田さんが3回宇宙に行ってますね。それで星出さんは2回目。あと野口さん、土井さんも2回行っている。向井さん、毛利さんも2回行ってます。

滞在時間でみると、どなたが一番?
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今は若田さんですけれど、この後新しい宇宙飛行士も出てきます。それから何と来年の12月から若田さんがさらに宇宙ステーションの船長として乗ります。

えっ、ISSの?
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ええ、ついにそういう時代になりました。

日本人が国際宇宙ステーションの船長になるんですか!?
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そうです。コマンダー、司令官です!

若田光一さんが!
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そうです、そうです。

えぇ〜!
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もう日本の宇宙飛行士は、今9人宇宙へ飛んでますし、世界の中でも宇宙飛行士の層の厚さは3番目です。つまりアメリカ、ロシアに次いで第3位となっています。

へぇ〜!今回、星出さんが国際宇宙ステーションへ行って、日本の「きぼう」という実験棟がありますね。この「きぼう」がずっと注目されているわけじゃないですか。

提供:JAXA/NASA
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ええ。

いろんな実験ができるって、例えばどんな実験を今回やるんですか?
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今ちょうど星出さんが頑張ってるのは水の中の魚、メダカみたいな魚を飼うための装置の組み立てをやってますね。

宇宙メダカってお台場の未来館に行ったら、その末裔(まつえい)がいるじゃないですか。
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はいはい。1993年に向井さんと一緒に行った、もうそれ以来のメダカになりますけれど(笑)。そのメダカがロシアの「ソユーズ」に乗って、この後宇宙ステーションに行くんですよ。

ほぉ〜。
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それを迎えるための準備を今、星出さんがやってくれています。

そうですか。15種類もの実験を「きぼう」で行なうということですが、注目すべき実験はほかにありますか?
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水の流れとか難しい物理の現象を調べるとか、それからたん白質の固まり方を調べて将来の薬につなげるとかいろいろあるんですけれど、ちょっとおもしろいのが人工衛星を宇宙ステーションから出す、飛ばすという未来チックなことをやるんですよ。

人工衛星を宇宙ステーションから出すって、宇宙で孫をつくるんですか?
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そうですね。宇宙ステーションの周りを飛ぶのではなくて、わかれて別々に飛ぶんですが、いろんなSF漫画のヤマト、ガンダムの世界では当たり前ですけれど宇宙ステーションから衛星がピュンと飛んでいく。それがおもしろいんですよ、バネで飛ばすんです(笑)。

えっ! へぇ〜、宇宙で!?
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ハハハハ。

でも無重力だから、バネは永遠にストップしないで…。
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そうですね。押せばピューンと行きますよね。そのあたりをもうちょっと詳しく話しますと、エアロックってキッズのみんなは知ってると思いますが、「きぼう」にもエアロックがあるんですよ。エアロックってよく戦闘機とかガンダムのロボットや宇宙飛行士がそこから出て行きますけれど。

はい。
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「きぼう」についているエアロックはそんなに大きくなくて、残念ながら宇宙飛行士がそこを出て行くことはできないんですけれど、中を物を通すことはできる。

ふ〜ん。
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エアロックを通して「きぼう」の中から人工衛星を出すんですね。そうしてロボットアームを使ってビューンと出して、その後スイッチを入れるとバネがピュンと伸びる。そのバネの力でちっちゃい人工衛星がはじき飛ばされる。

へぇ〜。それは地上にも映像が送られてきますかねぇ?
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うまく行くと一応その予定ですけれど。

楽しみですねぇ。
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その人工衛星がおもしろいんですよ。大きさが10センチ×10センチぐらい。手のひらに乗るサイズで、今こういうのをピコ衛星といってますが、それがこれからの人工衛星です。

そんな小さいサイコロみたいな衛星で何ができるんですか?
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例えばキッズのみんなが持っている携帯電話、スマートフォンといってカメラが入ってるしGPSで地球のどこにいるかわかったり、モーションセンサーというのもある。それからゲーム機もちっちゃいですよね、手のひらサイズになってますから。ですから、そういったことは全部人工衛星でもできます。カメラで地球を写したり、通信したりできちゃいます。

ほぉ〜。僕らみたいな人たちは、誰も宇宙に行ったことないじゃないですか。だから夢がありますけれど、残念ながらアメリカなどはちょっと規模を縮小してスペースシャトルも退役しちゃいましたよね。
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そうですねぇ。

今後、日本は日本で種子島からロケットを打ち上げたりしてますが、これから日本の宇宙開発はどこへ行くんですか?
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日本は月へ行こうという話がずいぶん盛り上がっていますし、やっぱり火星とか未知の世界へ向けて頑張ろうという…。もうひとつは、必ずしも宇宙飛行士を送らなくても探査機でもいいじゃないかという一派がありますね。

人を送らないで機械で多少のリスクをおかしても行ったことのないところ、いわゆる「イトカワ」みたいなことですかねぇ。
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そうですね。「はやぶさ2」という計画も出てますし、「はやぶさ」の成功を大事にしてさらに上を行く。それからロボットの技術が日本はすぐれてますよね。毛利さんは「月の上に二足歩行するロボットを送りたい」といってますし、また「はやぶさ」もロボットなんですね。ロボット技術なんですよ。

はい。
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ああいったロボットを次の小惑星に送ろうとか、色々なことを考えてます。

それこそ未来館で「ASIMO」がパフォーマンスのショーをやってくれて二足で歩いて動くわけですよ。だから「ASIMO」をまんま宇宙へ持っていって何かやらせることはできないんですか?
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そうですね。重たいと月に立った時、ずぶずぶと沈んじゃうかもしれませんけれど(笑)。

あの体重じゃダメ?
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どうでしょうね。月は重力が地球の6分の1なので沈みにくいんですけど、月の砂ってすごいんですよ。地上にはないような種類の砂で、モワモワッとすごく舞い上がる。そして、「ASIMO」などロボットの関節のところに入っていっちゃうんですよ。そうするとガリガリガリガリッとなって動かなくなっちゃう。『オズの魔法使い』のブリキマンみたいになっちゃう(笑)。

あぁ。
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だからもし月にロボットを持って行こうとしたら、相当新しいことを考えないとダメですね。

なるほどね。「ASIMO」にビニールをかけるとか、そんな単純な話ではないんですね。
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たぶんそういう形になって、関節を守るようなことをするんでしょうねぇ。

へぇ〜。アメリカはオバマ大統領になってから、何か宇宙へのトーンが下がっちゃったじゃないですか。
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そうですねぇ。

オバマ大統領はどうなんだろうか。選挙が今度あるんですけれど(笑)。
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アメリカは大統領が代わるたびに「やれ、月だ火星だ」といったり、いろいろ変わるんですね(笑)。でもアメリカのシャトルはなくなりましたけえど、元気なところは何といっても民間の企業が宇宙ロケットをつくって、本当に宇宙ステーションまで行って、ドッキングして帰って来たということですよね。これはすごい!

民間企業がそこまでやるということは、場合によっては僕ら民間人が宇宙に行く時代も来るかもということですか?
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そういうことなんですね。もうまもなく!

そのあたりを次回うかがうことでよろしいですか?
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はい、わかりました。

今日はお時間なので、宇宙旅行の話を来週よろしくお願いします。今週のサイコーは、有人宇宙システム株式会社の長谷川洋一さんでした。ありがとうございました。
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ありがとうございました。

ちょっと大人の事情だけど、宇宙開発ってお金がかかるのよ。お金がかかるということは、世の中の世界の経済状況を考えると、いわゆる経済大国と呼ばれた国が宇宙開発の予算を削っちゃったりするわけさ。そうなってくると夢もへったくれもなくなっちゃうから、やっぱり宇宙は夢なの。どんどん開発してもらって、僕らが行きやすい宇宙をやがては実現してもらいたいです。ということで、来週の長谷川さんの話、ものすごく楽しみです。それでは、来週の放送を楽しみにしていてください。バイバイ!