
キッズのみんな、こんにちは〜!
こんにちは〜!

はい、今回も出張授業です。岩手県釜石市にあるシープラザ釜石に来ています。釜石は、岩手県の南東部にある港町です。海の生き物もいっぱいいるんだよ〜。今日は釜石のキッズたちがたくさん来てくれてるんですねぇ。浜松町のシークレットラボを飛び出しまして、出張授業になりました。今週も海の生き物を取り上げます。お知らせの後、サイコーの登場で〜す。

じゃあ、みんなでサイコーを呼びますよ。せいの〜!
サイコー!

はい。ということで、今日も東京大学大気海洋研究所の佐藤克文さんにお越しいただきました。こんにちは。
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こんにちは。

海の生き物の専門家でいらっしゃいます。この三陸・大槌町に東大の研究所があったんですね。
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そうです。

大槌町というと、釜石の北側ですよね。
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はい。

その研究所は、去年3.11の時にはどうなったんですか?
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三階建ての建物の三階まで水が来て、中にあった機械が全部こわれてしまいました。

そうですか。みんな、地震から1年半経ちましたけれど、とても元気で、僕もほっとしました。こういうふうに大学の研究機関も三陸にあって、やはりこわれてしまったところもあります。でも、研究は続いてるんですよね。
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そうですね。

今日は、まず音を聴いてもらいます。ある動物の声です。いいですか、スタンバイOKですか? じゃあ、聴いてください。
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動物の声:クククククククク、ウウゥゥゥ〜〜〜ヒューフゥゥゥゥ〜〜〜。

みんな、何聴こえた? 不思議だったねぇ。わかる人?−「ウウゥゥゥ〜〜〜〜」でしたねぇ。
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そうですね。

人間が何かやってるような感じですけれど…。
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あるいは電子音みたいな感じですよね。

ちなみにわかる人? −ヒント、これは三陸の生き物ですか?
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違います。

違う。地球上の生き物で、日本の近海にいるんですか?
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日本とは全然違うところです。

全然違う。遠いところの海ですか?
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遠いところです。

北と南のどちら側ですか?
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南のほうです。

南。南のどの辺ですか?
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南極の動物です。

南極。南極はみんな知ってるよね。南極で生きてる生き物といったら何ですか? わかる人?
……。

南極の生き物、わからない…。 南極に行ったことある人?
……。

いるわけないね。行きたいと思う人? −南極へ行ってみたいキッズいる。やっぱり東大に行きたいキッズは南極も行きたいんですね。
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いいですね。

先生は南極へ行かれたことはあるんですか?
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何回か行ってます。

先生が体験した南極の寒さは?
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マイナス45度。

マイナス45度ですって(笑)。そのマイナス45度の世界で鳴いてた生き物は…、想像つかないね。さぁ、何ですか?
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ウェッデルアザラシというアザラシですね。

アザラシ。アザラシは北海道にもいますよね。
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いますね。

だけど、南極のアザラシですか?
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南極のアザラシです。

北海道のアザラシはこんな鳴き方をしないんですか?
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こういう鳴き声じゃないと思いますね。

ウェッデルアザラシはどういう生き物でしょうか?
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大きさが2.5メートルぐらい。400キロぐらいになる大型のアザラシです。ここに載ってますね。水中で魚とかをとって食べてます。

これ、データロガーでやっぱり研究されて?
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そうですね。

変わった動きをするんですか?
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はい。氷の上をころがっている様子がいっぱい観察できるんですが、こういう装置をつけると300メートルとか400メートルまで深くもぐってエサを食べることがわかりました。

アザラシの主食は何ですか?
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魚です。コオリイワシという魚を食べます。

ほぉ〜、イワシ。
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でも日本にいるイワシとはちょっと違う形をしてます。

コオリイワシ。
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はい。15センチぐらいのちっちゃな魚です。

300メートルまでもぐるんですね。
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もぐりますねぇ。

マンボウよりさらに100メートル深くアザラシはもぐるということですね。
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そうですね。

もうひとつ鳴き声がありますね。じゃあ、みなさんまた聴いてください。変わった音が聴こえてきますよ。
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動物の声:トゥトゥトゥワ、トゥトゥトゥワ。トゥトゥトゥワ、トゥトゥトゥワ。トゥトゥトゥワ、トゥトゥトゥワ〜。

はい、わかった人いる? そこの女の子、わかった? 何ですか?
馬みたい。

馬?
馬みたいだった…。

お馬さんみたいだった。先生、何ですか?
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答え言っていいですか。アデリーペンギン。

ペンギン。動物園でペンギンいますよね。
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はい。

あんな鳴き声なんですか?
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繁殖期にオスとメスが鳴き交わす鳴き声ですね。

はぁ〜。
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動物園でも、なかなかああいう音は聴こえないと思います。

この音はどこでとって来たんですか?
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南極の集団繁殖地ですね。子育てしてる場所があるんですけれど、そこでとって来ました。

やっぱり南極でとれるわけですね。
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はい。

そういう時はマイクを向けたりするわけですか?
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マイクをあえて向けなくても、うるさいんですよ。

ええ。
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あっちこっちであの音がしてます。簡単にとれますね。

へぇ〜! 南極でもやっぱりデータロガーをペンギンにつけて、ペンギンの変わった動きはあったんでしょうか?
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ペンギンはこれをつけてわかったんですけれど、もぐっていく時は一生懸命バタバタやるんですが、水面に浮かんでくる時は羽根を動かさないでスーッと滑空するように上がってくることがわかりました。

もぐる時は一生懸命こぐけど、上がる時はシューッという感じですね。
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飛ぶ鳥の逆ですね。このあたりを飛んでいるカラスなどは、例えば電柱に上がっていく時はパタパタパタパタやって上がって、下りる時はスーッと下りますね。これのちょうどひっくり返したような泳ぎ方をしてました。

あぁ、なるほど。浮力を使ってスーッと上がるような感じですね。
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そういうことです。

そのほか、先生はどんな生き物の調査をされてるんでしょうか?
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もういろんな動物に機械をつけてやってるんですが、例えばこの周辺で言ったら鳥です。飛ぶ鳥も研究してます。

はい。
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オオミズナギドリという鳥です。

オオミズナギドリ。オオミズナギドリって、お母さん方、知ってますか? 聞いたことないですか? −意外に知らない。
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そうですね。無人島に繁殖している海鳥なので、おそらく見たことがある方はいないんじゃないかと思います。

でも、三陸にものすごくいっぱいいるんですよね。
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はい、三陸です。三貫島という釜石市の島と、船越大島という船越湾の島の二つにたくさんこの鳥がせい息しています。

日本でも、その生態系を調査するには格好の場所なんですね。
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そうですね。

オオミズナギドリの生態は何が変わってるんですか?
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まずこの鳥は、夕方に日が沈むと島に戻ってくるんですね。

夕方、戻ってくる。
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一晩中ギャーギャーギャーギャー島の上で鳴き交わしながら子どもにエサをあげたりして、明け方日の出前にまた海に向かって飛んでいく。エサをとりに行くんです。

ほぉ〜。何か働くわれわれと同じですね。
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昼夜逆転してますけどね。遠くは北海道までエサをとりに行ったりすることがわかりました。

へぇ〜。それでまた島に戻ってきて子どもたちにエサをあげて…。
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そして、また海に出かけていく。

一晩中ギャーギャーギャーギャーお説教をしてるんですね、子どもたちに。
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何をしてるんでしょうねぇ。お説教をしているのか、何をしているかわからないんですけれど、うるさいんですよ。

そういうのもこのデータロガーで、本当に小さな機械で動きがわかるわけですね。
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はい。

先生、まだまだわかってない生き物ってあるんですよね。
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はい、もうわからないことだらけですね。

例えばこの岩手の釜石周辺で、まだ調査されてない生き物がありますか?
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沖のほうに行けばクジラとかイルカも泳いでいるんですが、この動物たちはまだよくわからないですね。

そうですか。ちなみにオオミズナギドリは岩手、マンボウも岩手に。
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います。

だけど、なかなかキッズたちの目に触れることは少ない。
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そうです。漁師さんは見てるんですけれど、なかなか一般の人たちが見る機会は少ないと思います。

はい、わかりました。さぁ、そろそろお時間です。今回は岩手県釜石市から、東京大学海洋大気研究所の佐藤克文さんをお迎えして出張授業を行いました。佐藤先生、どうもありがとうございました。
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どうもありがとうございました。
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会場:パチパチパチ(拍手)

さぁ、釜石の出張授業でした。東京で聴いてるキッズもどうだったかな? 会場のキッズもウミガメを触ったりしてとても喜んでくれました。来週からは東京へ戻って、いつものラボからお送りしたいと思います。それでは、来週も夕方5時半に会いましょう。キッズのみんなも楽しい週末を。それから釜石のキッズたちもどうもありがとう! じゃあ、バイバイ!
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バイバ〜イ!