
キッズのみんな、こんばんは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ、今回もにおい、香りを取り上げます。アロマテラピーって知ってる?聞いたことあるよね。香りを医療に役立てる研究がすすめられているんだって。とっても興味深いです。お知らせの後、サイコーの登場で〜す。

今週のサイコーも、昭和大学教授の塩田清二先生にお越しいただきました。先週ご紹介させていただいたんですがご専門は神経科学、そのあたりの話をうかがいました。肩書きがもうひとつ、日本アロマセラピー学会の理事長もされていらっしゃる。
はい。

これは、キッズのママたちは大変興味深いお仕事だと思うんですよね。
そうですか(笑)。

今、だって奥様方、アロマについていけなかったら井戸端会議にも参加できないといわれている時代ですから。
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ハハハ。

先生はアロマセラピー学会という、それはどんな学会ですか?
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これはアロマセラピーを医療で正しく応用するという。

ほぉ〜。
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医療分野でのアロマセラピー。

いわゆる趣味の領域を越えて、もっと専門性が高いんですね。
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そういうことです。だから普通エステなどで、ただ香りをかいで「気持ちいい」とかやっていますけれど、われわれはエッセンシャルオイルと呼ばれるものを使って医療に応用する。実際に人の治療に使うということで、基本的に違うんですね。

なるほど。そういう学会は、東京にあるんですか? 私の妻も「参加したい」といったらどうすればいいんですか?
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学会に参加することはできるんですが、学会員になるためにはいわゆる国家資格、医療の国家資格を持っている人でないとなれないということです。

街に行くといろんなアロマセラピーとか「アロマセラピストで〜す」という人がいますけど、そういうレベルとちょっと違う(笑)。
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違います。学術的なものですね。

失礼いたしました。アロマは香り、セラピーは治療ですかね。
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そうですね。

アロマセラピーをご専門にやっていらして、例えば治療としてはどういうジャンルの治療に役立つんですか?
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いろんな治療を今やっていますが、代表的なものは例えば痛みですね。痛みの緩和ケア。

えぇ〜!
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これにも今、非常にアロマセラピーが使われています。

何の痛みですかねぇ。歯が痛いとか、お腹が痛いとか?
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それもありますけれど、一番多いのはガンですね。

あぁ。
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ガンの患者さんの終末期医療、ホスピスケアがありますが、そういう場合にやっぱり痛み止めの薬だけでは痛みはとれないんですよ。

ええ。
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不眠であったり不安な状態が薬では解決できない。エッセンシャルオイルを使って、トリートメントというんですがマッサージをする。皮膚をさすることによって、患者さんは非常に精神的にリラックスして痛みもとれてくるんですね。

なるほど。
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それがひとつ大きいところで、今アロマセラピーが動いていますね。

そうか。
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あとは別な角度から見ると認知症、アルツハイマーの患者さんがすごく増えてます。そういう患者さんにエッセンシャルオイルをかがせる。芳香療法というんですが、1ヵ月ぐらいやると非常に認知度、物忘れがよくなって回復する。

へぇ〜。
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そういう実証データも出ています。

それは、何系の香りがいいのですか?
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これは、昼間ですと柑橘(かんきつ)系の交感神経を刺激するような香りですね。

ミカンやグレープフルーツですか?
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そうそう。レモンとかレモングラスとか、そういった柑橘系のオイルをかがせると、交感神経が活性化するんですね。

ほぉ〜。
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それによって、われわれの脳の活性がグーッと上がってくる。

はい。
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脳の神経活動が上がることによって特に前頭葉−前頭前野がありますが、そこが活性化すると記憶学習が上がってくるし、やる気も出てくる。

はぁ〜。
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だから、うつなどにもいいわけです。

柑橘系ね。
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柑橘系。

変な話、お母さんたちが興味深いんじゃないかという話をしましたが、興味の対象でダイエットにきく香りとかあるんですか?
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そうですね。

ある!?
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ありますよ。

教えてください(笑)。
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例えば今一番使われているのは、柑橘系ですね。

あっ、やっぱりダイエットも柑橘系。
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ええ。柑橘系の香り、特に代表的なものはグレープフルーツですが、かぐと交感神経が活性化される。それによって何が起きるかと言うと、食欲中枢というよりもむしろ末梢で作用して、熱産生といいまして発熱ですね。体温が上がってくる。

はい。
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体温が1度とか2度上がってくることは、体の中のエネルギーを燃やすわけです。エネルギーを燃やせば、当然ダイエットになるわけです。

ほぉ〜。
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ということで、グレープフルーツは非常にダイエット効果があるということで使われています。

グレープフルーツを食べなくても、香りをかぐだけでいいんですか?
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いいんです。

目の前にグレープフルーツがあったら食べずにいられないじゃないですか。
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そうですね(笑)。

食べてもいいんですか?
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食べてもいいですよ、もちろん。

体内に摂取してもいいし、香りをかぐだけでもいい。
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当然食べてる過程で香りが出てきますから。

へぇ〜。じゃあ、お母さんが坊ややお嬢ちゃんにグレープフルーツを切って、「お母さん、見てるだけでいいのよ」と子どもが食べてるのを見てるだけでダイエットになっちゃう(笑)。
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そう、香りをかぐということですね。

すごい!それも専門的なアロマセラピーの範ちゅうなんですよね。
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そうです。それも交感神経活動を調べたデータでは、確かにグレープフルーツの香りをかぐと交感神経活動が上がってきますので、いわゆる基礎代謝も上がるんですね。

はい。
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それでわれわれの余剰エネルギーをどんどん燃やしますから、結果としてみるとやせる。ダイエットになる。

そうですか。あとちょっとシーズンまで時間がありますが、いろんなアレルギーで一年中クシュクシュいってる人がいるじゃないですか。
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いますね。

鼻に関して、鼻の通りがよくなる香りとかありますか?
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ありますよ。

あれもアロマセラピーの範ちゅうになってくるんですか?
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なりますね。ですから一番使われているのは、ティーツリーというオイルですね。

ティートリー?
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はい。このティートリーのオイルは抗アレルギー作用といいまして、われわれの免疫の過敏な状態をちょっとしずめてやるという。それによって花粉症や起きてくるアレルギー反応をおさえる。

ええ。
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そういうものが使われています。ですから例えば紅茶に一滴ティートリーオイルをたらして飲むなどする。それが花粉症に非常にいいというデータも出ていますね。

それは一時的なものなのか、続けることによってアレルギーそのものを克服できるのか?
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完全に克服はできないですね。やっぱりある程度対症療法になりますけれど、ただ花粉症の時季にそういうティートリーオイルを持続的に摂取してると、おそらくその花粉の期間のところはおさえられると思いますよ。

わかりました。僕らの暮らしの中で専門的ではないけれど寒くなる年末の時季に、「ちょこっと部屋の中に、こんな香りを置くとステキな年末が過ごせますよ」というプチセラピーみたいなものがあったらぜひ!
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ハハハ、そうですね。やっぱり私だったら、ラベンダーなどいいと思います。

何にいいですか?
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これは鎮静作用とか鎮痛作用がありますけど、リラクゼーション。

ほぉ〜。
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社会でいろいろストレスがまん延していますけれど、家に帰って来た時にアロマポットで香りをかぐなどすると非常にリラクゼーションするわけです。副交感神経が活性化しますから。

ほぉ〜。
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例えば寝る時にハンカチに一滴たらせて枕もとに置いたりすると、非常によく寝られるわけです。不眠症の人やストレスがある人には、非常にいい香りですね。

そうですか。興味深いですね。アロマセラピーの医療分野は、将来どうなっていきますか?
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そうですね。アロマセラピーも統合医療と呼ばれる医療の中のひとつに入ってますので、特に予防医学的なものですよね。われわれのヘルスケアを病気にならないようにきちんとしていく。そういうところでアロマセラピーは非常にいいと思います。

そうですか。とてもとてもいいお話でした。今週のサイコーは、昭和大学教授の塩田清二先生でした。どうもありがとうございました。
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どうもありがとうございました。

ほんとに香りをかぐことによって気分が変わることがとても重要だとよくわかりました。それから、痛みを和らげる。ガンの方のホスピスで、終末医療でも香りの効果が役立っているということなんですね。幅広いですねぇ。みんな、どうだったでしょうか?それでは、来週も夕方5時半に会いましょうね。