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「地学を学ぶ」(2)
コーチャー/左巻健男(さまきたけお)さん(法政大学教授)
大村正樹&左巻健男

大村正樹

キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ、今日も地学です。先週の復習だよ〜。エベレスト、世界で一番高いといわれています。でも実際はマウナ・ケア−これ、ハワイの山ね。あと赤道の近く、南アメリカ大陸エクアドルのチンボラソ山。この二つの山を新たにおぼえてくれましたか? 地学の続きをお知らせの後、聞いていきま〜す。


大村正樹

今週のサイコーも前回に引き続きまして、法政大学教授の左巻健男先生です。こんにちは。

こんにちは。


大村正樹

お願いしま〜す。いやぁ面白かったなぁ、先週の山の話は。今回も地学でございます。地球科学の面白いお話をうかがっていきたいと思いますが、左巻先生は珍しい名字で「左巻き」と書くんですね。

はい。


大村正樹

頭のつむじが右巻きとか左巻きとかよくありましたけれど。

僕の頭のつむじは、右巻きです(笑)。


大村正樹

アハハハハ。じゃあ、右巻きつむじの左巻さんですが、お名刺をいただいた時にすぐ渦巻き−北半球では時計回りに水の流れ、お風呂の栓を抜くと渦巻きが右になるよと。

反時計回りです。


大村正樹

反時計、左回りですか。

左巻きというんです。


大村正樹

では、北半球は反時計回り。南半球へ行くと時計回りになると昔からいわれてるじゃないですか。

はい。


大村正樹

これ、実際に試してみた人っているんですかねぇ。観光客などは南半球へ行ったら、行きたくなりますよね。

赤道が通っている陸地に旅行に行くと、「ここが赤道だよ」という線みたいなものがあったり、ちょっとしるしを付けて、そういうところに水が入った容器を持っていてコリオリショーという…。


大村正樹

コリオリ?

「コリオリショー」というショーをやってみせるおじさんがいるらしいんですよ。


大村正樹

へぇ〜。その「赤道の上ではどう回るか見たいかい?」みたいな。

口上を述べるんですが、「赤道の上ではコリオリの力は働かないので、そこから20メートル以上離れないと働かないんだよ」と。「北半球側と南半球側ではコリオリの力が反対向きに働くから渦が逆になるんだよ」といって観光客たちに見せて、「赤道でこういう実験を見た」とか「証明した」という証明書を売って暮らしているコリオリショーをやるおじさんたちがいるらしいですよ。


大村正樹

それこそアフリカとか南アメリカ大陸などでは、そういうショーがあるんですね。

そうですね。


大村正樹

コリオリというんですか、その渦巻きが南半球と北半球で逆になるというか?

地球が自転しているために「コリオリの力」という力が地球上の物に働いているんですよ。


その一番わかりやすい例が台風です。


大村正樹

お〜、台風!

台風はみんな反時計回り、左巻きという僕なんか自分の名前と関係するのでイヤなんですけれど(笑)。


大村正樹

左巻先生回りですね、左巻き。天気図見ると確かに台風、そうですね。

あれ、みんなそうですよ。


大村正樹

じゃあ、南半球では台風といわないと思うんですが、こういう嵐が起きた場合は右回りですか?

そうなんですよ。


大村正樹

へぇ〜。

そういう巨大な気象現象だと、そのコリオリの力が見えてくるわけです。


大村正樹

だけど、そのコリオリショーという観光地でやっているのは、実はインチキということですか?そこまで、20メートルじゃそんなにできないということですね(笑)。

きっと20メートルでも1キロメートル離れても、そういうおじさんが持っている入れ物に入っている水ぐらいではコリオリの力の影響は出ない。


大村正樹

へぇ〜。「日本のお風呂でバスタブの栓を抜くと左回りになる」というじゃないですか。「南半球に行くと右回りになる」といいますよね。赤道ではどうなるんですか?

日本のお風呂で栓を抜くと右回りになるか左回りになるかということ自体が、コリオリの力とはほぼ関係ない。


大村正樹

関係ないんですか!? じゃあ、何かお湯の波のタイミングとか?

どこに穴があるとか、どういう傾斜がついて穴から落ちていくかとか、お風呂の形のほうの影響が強くてコリオリの力で右回り左回りになるというのは関係ないですね。赤道ではもっと関係ないんだけれど、日本でもそれぐらいのレベルだと関係ない。


大村正樹

では、本当に南半球と北半球の渦巻きの逆転現象は、気象衛星からの雲の動きぐらいしか参考になるものがないということですね。

かなり大きなそういう現象できいてくるという…。


大村正樹

これ、ちなみに地学とは関係あるんですか?

天気の変化も地学の範囲なので。山に登る時、ちょっとひしゃげていたポテトチップスの密閉されている袋を高い山の上まで持っていくとパンパンにふくらむという現象があるんです。


大村正樹

ええ。

これは、下では普通の大気圧がかかっていて中にも空気が入っていて、中からも大気圧で押しているのである形を保っているわけですね。それがどんどん上に行って高い山の上だと気圧が小さくなる現象があるので、周りの気圧は小さくなるのに中は同じ空気が入っている。中は同じままの圧力で周りから押される力がどんどんちっちゃくなるので、ポテトチップスの袋がどんどんふくらんでいくことになるんです。


大村正樹

なるほど。

これは何に関係するかといったら、雲ができる原理なんですよ。


大村正樹

雲?

天気の変化が何で起こるかというと、“雲ができるから雨が降る”というやつですね。


大村正樹

はい。

そうすると下のほうで空気のかたまりがあると、その空気のかたまりが上昇気流で上がっていく。上がっていくと、その空気のかたまりの中の気圧は変わらないまま、というのはポテトチップスと同じです。


大村正樹

はい。

だけど、周りの圧力が高くなればなるほどちっちゃくなってくる。そうすると、その空気のかたまりがふくらんでくるんです。


大村正樹

ええ。

もう一つそこにあるんだけど、急にふくらむと温度が下がる現象がある。それは、また違った実験で示すことができるんですが、ふくらむと温度が下がる。温度が下がると、中の水蒸気が水滴になってくる。その水滴がワーッと集まったものが雲ですから。


大村正樹

なるほど。いやぁ、わかりました。地学のジャンルというのは、これからどういうふうに研究が進められていくんですか?

地球の中がどうなっているかが、先程いったように実際にはほんの地球の表面をかじっただけでわかってないわけですね。


大村正樹

地質程度ですよね、私たち人間がわかっているのは。

地殻を突き破ってない、マントルまで行ってないので。


大村正樹

はい。

実際にはそこまでなかなか行けないのだけれど、どうなっているかを他のいろいろなことを組み合わせて想像はできるわけですよね。それで地球の構造がある程度わかってきた。


大村正樹

はい。

さらに地球の構造がわかったら、その構造の中でどういうふうに地球の中が動いているかがわかる。何がわかってくるかというと、例えば地震がどうして起こるかがわかってくるとか、火山がどうして噴火するかがわかる。そういうのがもっとわかってくると、将来的には地震の予知がある程度できるようになるとか、そういうことにきっとつながっていくと思います。


大村正樹

そうですよねぇ。もう時間ですね。先生、面白かったんでまたぜひ遊びに来てください。今週のサイコーは、法政大学教授の左巻健男先生でした。どうもありがとうございました。


大村正樹

地学というと、僕らが住んでる地面を掘り進んでいくとその中に何があるのかという。こういうのに関心を持つキッズたちも多いと思います。それから、地学は気象の世界にもいろいろな影響があることもよくわかりました。先週も先生が話していらっしゃったけれど、地学は宇宙にまで関係があるということで、とってもスケールの大きなお話でしたね。ほんとに地震予知に関しては、地学の進歩が期待されるところがあると思いますね。みんな、どうだったでしょうか?それでは、来週も夕方5時半に会いましょう。みんなも楽しい週末を。じゃあね!