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「ザリガニの生態」(1)
コーチャー/下釜豊久(しもがまとよひさ)さん(日本淡水開発)
大村正樹&下釜豊久

大村正樹

キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ、もう7月に入ったねぇ。夏休みがもうすぐやってきま〜す。自由研究があるよね。ザリガニの飼育なんてどうですか?ザリガニ、けっこう身近でしょ。今日はザリガニにとっても詳しい方をお迎えします。お知らせの後、サイコーが登場しま〜す。


大村正樹

今週のサイエンスコーチャー略してサイコーは、日本淡水開発の下釜豊久さんです。こんにちは。

こんにちは。


大村正樹

お願いします。下釜さんは魚や甲殻類−カニとかエビのエサを、日本淡水開発はエサをつくるメーカーですか?

そうですね、エサのメーカーです。エサだけじゃないですけれど、エサがメインですかね。


大村正樹

それは飼っている観賞用じゃなくて、ちゃんと養殖用とかあるんですか?

観賞用で飼う人たち向けのエサです。


大村正樹

じゃあ、ペットショップに行ったら下釜さんのつくっているエサが売っているんですね。

そうです。


大村正樹

アラッ!そして、ザリガニネットワーク日本事務局長って!これ、すごいですね。ザリガニネットワークって何ですか?

もともとは、趣味でザリガニを飼育する人たちの集まりだったんですが、その中で一部外国から来たザリガニが飼えなくなっちゃったんですね。「特定外来生物法」ということで飼育ができなくなってしまった。そのあたりから飼うだけじゃなくて「数が減ってきているニホンザリガニは保護しましょう」、「そのひとつ原因になってしまっているウチダザリガニに関しては駆除していきましょう」と。そういったことの啓蒙活動をしていきましょうということで活動している団体です。


大村正樹

いなくなっちゃっているザリガニと多過ぎたザリガニのバランスをとろうということでしょうか?

そうですね(笑)。


大村正樹

それから誠文堂新光社から『ザリガニ飼育ノート』という本も出版されています。「ザリガニなんて適当に水槽の中にエサをほうり込んでおけば生きていけるよ」なんてイメージですが、ちゃんとした飼育方法があるんですよね。

あります。強い生き物なんで、水がちょっと入っていればいいです。


大村正樹

そうだけれど…。

けれども、きちっと飼うにはやっぱりいろんな決まりがありますので。


大村正樹

ザリガニはだいたいどのキッズたちも、どんな生き物でどんな色をしてどんな動きをするかイメージしていると思います。触ろうと思って「キャー、怖い!」と触らなかったり、指をかまれたりいろんな思い出があると思うんです。ザリガニ、そもそもカニと名がついていますがカニなのか? 見た目はエビですよね。

そうですね。よく言われる質問で、ザリガニは「カニ」という名前がついていますから。ただ、れっきとしたエビの仲間です。


大村正樹

見た目通りですね。

そうですね。


大村正樹

エビは爪ないじゃないですか。エビはハサミを持ってないから、カニのハサミのイメージでは上半身がカニで下半身がエビという。

エビ

ハハハ、そうですね。カニとの決定的な違いはハサミですが、ザリガニもカニも一番大きなハサミがありますよね。


大村正樹

はい。

そのほかによく見ると、ザリガニは後ろの足も2本ずつ4本ハサミになっているんですよ。


大村正樹

後ろの足もハサミになっていますか?

なっています。


大村正樹

ザリガニは?

はい、なっています。


大村正樹

知らなかったです。

大きなハサミだけ目立つんで、ハサミが2つあるというふうにみんながよく思いますけれど、要は合計6本のハサミになっているんですね。


大村正樹

ちょっと待ってください。今、ラボにザリガニに来てもらっています。今まで知りませんでした! ザリガニはハサミ2本しかないと思っていましたが、実は6本ハサミを持ってるということですか?

そうです。


大村正樹

ザリガニの足って大きなハサミ以外に8本で、全部で10本の足があるわけですよね。

そうです。


大村正樹

そのうち後ろの足がハサミになっている。

2対4本もハサミ足。


大村正樹

一番後ろの足と後ろから2番目のハサミが、ちっちゃいハサミがついているんですね。

そうです。


大村正樹

これ、どのザリガニも共通しているんですか?

そうです。


大村正樹

ちょっと待ってください。いやぁ〜!

カニは、一番前の大きなハサミ以外はハサミじゃない。


大村正樹

おいしいです、そこは(笑)。

ハハハ。


大村正樹

ザリガニは大きなハサミが頭のところに2つ付いているけれど、後ろのほうにもちっちゃいハサミがついた足を持っている。

そうですねぇ。


大村正樹

退化していくことないですかねぇ。

どうなんでしょう。


大村正樹

昔からザリガニはこういう生き物?

そうですね、ザリガニは古いですねぇ。生き物は何でも全部海から生まれてきたじゃないですか。


大村正樹

はい。

当然、ザリガニの祖先も海から生まれてきているんですが、だいぶ早い時代、恐竜時代頃にはもう陸上というか淡水のほうに川のほうに進出してきた。


大村正樹

じゃあ、何億年も前からザリガニっているんですか?

だから“生きた化石”といってもおかしくない。


大村正樹

ザリガニをあなどっちゃいけませんね。

やっぱり古い生き物ですね。


大村正樹

だって“生きた化石”といわれて、シーラカンスを釣るのは大変ですけれど。

ハハハ。


大村正樹

ザリガニをとるのは、けっこう簡単ですよね。

そうですね。


大村正樹

日本で僕らがよく目にするのは、日本のザリガニですか?

赤いヤツはアメリカザリガニ。


大村正樹

アメリカザリガニ。

はい。アメリカから来ました。


大村正樹

アメリカから来たアメリカザリガニと、あとは?

あとはもうひとつ、アメリカから来たウチダザリガニというザリガニが福島県の裏磐梯(うらばんだい)地方に多くせい息していますね。


大村正樹

へぇ〜。

もともと日本の国には、ニホンザリガニというのがいます。寒いところにしかいません。


大村正樹

北日本、東京にはいないですか?

いませんねぇ。アメリカザリガニとウチダザリガニが日本にやって来たのは、大正の終わりから昭和の始めですね。なので、江戸時代の人はニホンザリガニしか知らないので、江戸の町を歩いていた人はザリガニを見たことなかったでしょうね。


大村正樹

アッハハハ。

ほんとにここ昭和に入ってから見るようになった。


大村正樹

あっ、そうなんですか。

そういうことですねぇ。


大村正樹

大正時代に外来種がやってきたんですか?

そうです。


大村正樹

何のためにザリガニを輸入したんですか?

ウチダザリガニは食用で、そのもの自体を食べようと思って研究するために輸入したんですね。


大村正樹

ええ。

ザリガニ全体に言えることですが、あまり高い水温には強くないんですね。日本の夏は若干ザリガニには不向きで、なかなか繁殖というか食べるまで増やすにはうまくいかなかった。


大村正樹

ほぉ〜。

一番よく見るアメリカザリガニは食用蛙を、それも日本人の食糧として増やそうとカエルのエサとして持ってきたのが最初です。


大村正樹

えっ、それが今や日本中に広がっちゃったということですか?

当時は飛行機もないので船でザリガニを運んだのでしょうけれど、やっぱり長生きしないというか、船で揺られてくる間にどんどんどんどん死んでいった。何百匹か積んだんですが、生きて日本に上陸したのは20匹だと聞いています。


大村正樹

最初20匹だったのが、今は日本中にアメリカザリガニが! すごい繁殖力ですよねぇ。

すごい繁殖力です。


大村正樹

はぁ〜!

それから輸入された実績はないので、最初の20匹の子孫ということになりますね。


大村正樹

えぇ〜!それは大正何年ぐらいの出来事でしょうか?

えーと、1927年かな。


大村正樹

ほぉ〜。

昭和2年、アメリカザリガニが来たのは。


大村正樹

ちょっとみんな、まだ春にとったザリガニが生きていたら、それは昭和2年日本にやってきたんですよ、子孫が。もとは20匹!

そうですねぇ。


大村正樹

1年に1回ぐらいですか、繁殖は?

そうです、1年に1回ですね。


大村正樹

ということは90何年。

すごいですねぇ。


大村正樹

90世代さかのぼったら、昭和2年の船でアメリカからやってきた20匹の中に。

なりますね。


大村正樹

“ザリガニロマン”でした。もうこんな時間。下釜さん、あっという間でしたね。

そうでしたね。


大村正樹

また来週、続きをうかがいたいと思います。

はい。


大村正樹

例えば、オスメスの見分けのつけ方とか教えてもらってよろしいですか?

はい。


大村正樹

今週のサイコーは、日本淡水開発の下釜豊久さんでした。ありがとうございました。

ありがとうございました。


大村正樹

いやぁ、すごいねぇ。アメリカザリガニというのは、昭和2年ですよ。昭和2年にたった20匹がアメリカからやってきて、それが今や日本中の川にいるんでしょ。びっくりだったねぇ。ザリガニ、ほんと身近なところでつかまえられるからね。ぜひ自由研究のテーマにするのもありだと思いますよ。それでは、来週も夕方5時半に会いましょうね。キッズのみんなも楽しい週末を。バイバ〜イ!