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「3Dプリンター」(2)
コーチャー/山口修一さん(マイクロジェット)
マイクロジェットのHPはコチラ>>http://www.microjet.co.jp/
大村正樹&山口修一

大村正樹

キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ、今回も今話題の3Dプリンターを取り上げます。君の家には、さすがにまだないよねぇ。前回の放送を聴いて何となく仕組みがわかったキッズもいるかもしれないけれど、もっともっと深い話を聞いてみたいと思いますよ。お知らせの後、サイコーの登場で〜す。


大村正樹

今週のサイコーも前回に続きまして、マイクロジェットの山口修一さんです。こんにちは。

こんにちは。みなさん、よろしくお願いします。


大村正樹

前回の3Dプリンター、おもちゃも複製できちゃうというすごく衝撃的なお話だったんですが、アメリカではすでに流通しているんですって?

そうですね。日本ではここのところすごくブームになっているんですが、アメリカではもう数年前からすごい人気で専門の雑誌もあるぐらいですから。


大村正樹

3Dプリンターの専門雑誌?

はい。


大村正樹

3Dえっ、「こんなのができた!」とか?

ええ。もう「その中でベストバイ! この3Dプリンターがいいよ!」とか「こんなものをつくっちゃったよ」と作品を発表してたり…。


大村正樹

日本だって近い将来、そうなりますよね。

すぐそこまで来ているというか、あちこちでそういう動きがありますよね。


大村正樹

山口さんのこれまでの人生で3Dプリンターの最高傑作は何をつくったんですか?

僕自身はまだつくったことがないので、今つくっているんです。


大村正樹

何かつくっている!

ええ。もし僕が子どもだったら、ぜひつくってみたいものがありまして。


大村正樹

何ですか?

僕は生まれが信州の山の奥で、近くにすごくきれいな川が流れていて、毎日のように釣りに行ってたんです。


釣りには疑似餌(ぎじえ)といって本物に似せた、ちょうどプラスチックでつくったようないろんなエサの形をしたものが売っているんです。


大村正樹

イミテーションですね。

そうです。それを自分で「こんな虫のここにこんなヒゲをはやして、体をこんな色にして…」と、3Dプリンターでつくった疑似餌で魚を釣りたいですね!


大村正樹

いいですねぇ、そうかぁ。できますよね、原理だと。

できます、できます。


大村正樹

へぇ〜。こうやってイマジネーションが湧くわけですね。

はい、そうです。


大村正樹

僕だったら何だろう? 食べ物はできないんですよね。

いえ。樹脂を熱で溶かせてソフトクリームのようにやっていきますから、例えばチョコレートなどは熱を加えると溶けますよね。


大村正樹

はい。

そうするとチョコレートを原料にして、自分の好きな形でチョコレートのフィギュアがつくれるとか(笑)。


大村正樹

食べられないですよね。

いえ、チョコレートをそのまま使えば。


大村正樹

食べられるということか。

そういう機械があるかどうかわかりませんが、原理的にはつくれる可能性がありますね。


大村正樹

僕、たまに切なくなるのが、街のレストランでロウの展示物のメニューがくたびれちゃっている(笑)。ああいうのを3Dプリンターで、そのお店の看板メニューをプリントして店頭に「うちはこんなおいしそうなものを出す。どうだ食べたいだろう!」と出したら、よりお店もはやる気がするんです。

そうですよね、もっとフルカラーでつくれますから。しかも自分がつくったお料理をスキャナという装置で取り込むと、より本物に近い見本サンプルができるようになると思います。


大村正樹

例えば、このラボの中には山口さんにお持ちいただいた樹脂でできたボルトとナット、あと工具などもあるんです。スパナ、モンキーレンチですかね。

そうですね。


大村正樹

モンキーレンチ、工具ですよ。これは樹脂製ですが、金属のものもできるんですか?

もちろんです。


大村正樹

できる!鉄もできる?

鉄というか、もうチタンもアルミもステンレスも金属専用の3Dプリンターというものがあるんです。ただし、すごく本格的なものですから戦闘機の部品に使われていたりとか自動車の部品に使われていたり、1台1億円ぐらいする機械です。


大村正樹

プリンターそのものが?

はい。ですから個人でというわけにはいかないんですが、企業さんなどはそれをすでに導入して実用化しております。


大村正樹

えぇ〜!身近なところではこの間、僕は歯医者さんで奥歯の詰め物がとれたのでちょっと高いものを詰めたんですよ。

ええ。


大村正樹

高いのに1回目でフィットしない。

なるほど。


大村正樹

だったらフィットするようにこの3Dプリンターの技術を要すれば、1回でジャストフィットの詰め物ができるんじゃないかと思ったんですけれど。

実はもう歯科でも、いろんなところで使われているんですよ。


大村正樹

もうすでに?

ええ。


大村正樹

僕の歯医者さんはまだ導入してないということかしら?

そうですね。日本ではこれからですが、海外では例えばインプラントといって歯を失った人が人工の歯を入れるために歯の根っこのようなものをチタンでつくるんですけれど、3Dプリンターの技術を使って、歯の根っこをつくり歯ぐきに埋めて実用化されているんですね。


大村正樹

へぇ〜。じゃあ、細かいものに関してはその技術は絶対必要になってきますね。大きいものではどこまでプリントできるんですか?

これは話題ですが、家1軒を3Dプリンターでつくっちゃおうと。


大村正樹

えぇ〜、どうやってですか?(笑)

今の家って柱があって骨格があるので、だいたい四角が基準の建物が多いじゃないですか。


大村正樹

四角。

3Dプリンターって形が自由ですから、筒状のクネクネ曲がったような家とか、そういうものが自由に設計できちゃう。これを大きくすればいいので、出てくる材料の穴を大きくしながらどんどん積み上げていくと将来は3Dプリンターでつくった世にも不思議な形をしたすごい家ができちゃうんじゃないかということも話題になっています。


大村正樹

テレビで見る3Dプリンターのマシーンは立体的で何かこう吹きつけながらやっているじゃないですか。でも住宅になると、相当大きな機材が必要になってきますよね。

そうです。幅が5メートルぐらいの動くクレーンのようなところに3Dプリンターの材料を押し出すヘッドが乗っていて、それが数メートルの範囲をグルグルグルグルとデジタルで動けばいいのでつくれる可能性は十分ありますよ。


大村正樹

だけれどアルミサッシはアルミサッシだし、大黒柱は木の柱だし、壁紙が樹脂だったり人工的なものだったり、いろんな材質があるじゃないですか。そこもプリンターで忠実に再現できるんですか?

ええ。今、3Dプリンターでは木材調の材料もあるんです。何と木を小さく砕いたものが入っていますから、木の匂いがしたりとか。


大村正樹

えぇ〜!(笑)

そんな材料もどんどん開発されているんですよ。


大村正樹

いや、おそろしい! だったら有名な骨董品もプリントされちゃうと、どれが本物でどれが偽物かわかんないですよね。

そこがちょっと、いい面もあるんですが気をつけなければいけない。つまり偽物をつくる技術としても応用できちゃう。やっぱり基をつくった人がいるわけで、その人に黙って同じ物をつくってしまうといろんな問題が出ることもありますから、これから注意をしていかなければいけないという面もあります。


大村正樹

美術品などは、その人の許可が必要になってきますよね。

ええ。


大村正樹

そうそう、拳銃をつくったという事件がありましたね。

ちょっとネットで話題になりましたけど、拳銃の銃身をつくるためのデジタルデータが誰でもダウンロードできる状態にあったんですね。今はもうダウンロードできませんけれど。


大村正樹

犯罪ですよね、それは。

それをダウンロードしてつくると拳銃のようなものができてしまいますので、使い方によっては非常に危険な面もあるのも確かですね。


大村正樹

ネット犯罪などはこの10年で今までの警察の全く想定し得なかった新手の手口の犯罪が増えているわけで、こういう新しい物の普及によって思わぬ形でとんでもない事件が起きたりという危険性もあるわけですね。

ありますね。ですからいい面と悪い面の両方を見ながら、いい面はより伸ばしていけばいいでしょうし、悪い面は法律をつくって使う側がきちんと良識を持って対応しなければいけない部分があると思います。


大村正樹

2週にわたってお話いただきました。今週のサイコーは、マイクロジェットの山口修一さんでした。ありがとうございました。

どうもありがとうございました。


大村正樹

たかがプリンターとはいえスケールの大きな話になって、家もできちゃう。しまいにはこのシークレットラボ、あるいは文化放送そのものがプリントできちゃうかもしれないという(笑)。そういうお話ですねぇ。自由研究にいいんじゃない、こういうのって。それではまた来週、夕方5時半には聴いてね。バイバ〜イ!