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「キッズの質問に答えます」(2)
コーチャー/寺門和夫さん(科学ジャーナリスト)
寺門和夫さんのブログはコチラ>>http://blog.scienceweb.jp/
大村正樹&寺門和夫

大村正樹

キッズのみんな、こんにちは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ、今日もキッズからの質問が来てますからねぇ。みんな、歌がうまくなりたいと思わない? 「歌はうまくなるんだろうか?」という、大人の方もぜひ聴いていただきたいんですけれど、これも科学的に科学ジャーナリストの寺門さんが分析します。お知らせの後、寺門さんがキッズの質問にこたえてくれま〜す。


大村正樹

今週のサイコーも、科学ジャーナリストの寺門和夫さんです。こんにちは。

こんにちは。


大村正樹

キッズの質問が来てますよ〜。

はい。


大村正樹

杉並区のツカサ君、小学校6年生。「6年生になってクラスの友だちから、やたらとカラオケに行こうと誘われます。でも、僕は歌が下手なので断っています。家でこっそり練習してるんだけど、高い声が全然出ないし音程もうまくとれません。科学の力で歌のうまい人間に変わる方法はないんでしょうか?」。寺門さんは物を何でも知ってるけれど、これはどうなんだろうか?(笑)

そうですねぇ。僕もこういうのがあったらいいですねぇ。


大村正樹

いいですか(笑)。

ええ、ぜひ(笑)。


大村正樹

寺門さん、これお答えいただけますか?

実は、時々こういう質問を聞かれることがあるんです。


大村正樹

あっ、そうですか。

僕が今考えていることは、2つあるんです。1つは音痴になる先天的、つまり「生まれつき音痴の人はいない」といわれています。


大村正樹

はい。

これは生まれた時に決まっているわけではなく、歌の上手な人とそうでない人がいるかもしれないけれど、程度の差であって、「誰でも練習すれば歌はうまくなる」というふうにいわれています。


大村正樹

練習…。

そのためには練習しなければいけない。プロの先生につけばもっと上手になるかもしれないけれど、そこまでいかないにしても練習したりすればたぶん上手になってくると思います。


それで「その前提はどうしてか?」ということですが…人間はしゃべってコミュニケーションをとっていますね。いろんな話をしたり会話をしたりしゃべっていますが、自然界において、いろいろな生物のことを考えると、動物は基本的に鳴き声でコミュニケーションをしている。仲間に知らせたり、お嫁さんを見つけたりするのは、鳴き声です。


大村正樹

ええ。

鳴き声は基本的に音楽、歌みたいなもので、音程がちゃんとしてなければいけない。リズムもちゃんとしてないと相手に伝わらないし、いいお嫁さんも来ないかもしれない。だから基本的に生物の世界の鳴き声は、必ず音程も正しくリズム感も正しくなっているはずなんですよ。


大村正樹

はい。

そういったものが生物として進化してきたわけです。


大村正樹

はい。

おそらく人間も、もともとは上手に歌ったり、さえずったりする能力を持っていたんだけれども…今の人間の世界はどっちかというと、しゃべるだけで通じてしまうので使わなくなってしまった。だんだんとその能力を発揮しなくてもよくなったということだけの話ではないかと思っています。


大村正樹

へぇ〜。

つまり、人間だってみんな歌が上手になる能力を持っているはずです。


大村正樹

じゃあ、ツカサ君も持っているんですね。

持っています。ちょっと上手じゃないんだったら、やっぱり練習するしかないかなという感じですね。


大村正樹

はい。

それからもう1つ、今は脳の研究がどんどん進んでいますね。


大村正樹

ええ。

そうすると歌を歌うことや音を人間の脳がどういうふうに処理しているか。歌を歌う時にもやっぱり入ってくる音、音の高さやリズム感をちゃんと分析できないといけない。ということは、歌が上手になるためにはいい音楽をいつも聴いていること。


大村正樹

ほぉ〜。

「歌うだけでなく、音楽を聴くこと」。それも非常に大事だといわれています。だから練習する時には、自分で歌うのと同時にいろんな音楽を聴いたりすることもいいんじゃないでしょうか。


大村正樹

いわゆるお手本を聴いて…。

そうです。脳の中にそういったものをインプットすることですかねぇ。


大村正樹

練習です!ツカサ君もがんばってください。では次は、群馬県のパンダマン君、小学校5年生。群馬県のどこだろう? パンダマン君の質問です。「アリは小さいけれど体が丈夫で、本当は強いと聞いたことがあります。そこで思ったんですが、もしも人間ぐらいの大きさのアリが突然変異で生まれてライオンと戦ったら、どっちが勝ちますか?」。夢があるいい話だ。

アリ

そうですね。


大村正樹

アリはちっちゃいけれど、体は丈夫なんですか?

アリの体とライオンの体−人間などもそうですが哺乳動物の体とアリの体は違いますね。基本的にはどこが違うかというと、われわれは背骨というものがあって、それに筋肉がついたりして体ができていますが、アリや昆虫は体の回りに固い殻をかぶっています。


大村正樹

ほぉ〜。

ですから、いってみればアリが巨大化して人間と同じぐらいになったら、おそらくそのアリはものすごく頑丈なヨロイを全身にまとっているような生物になるはずですね。


大村正樹

あぁ。僕らのサイズに合わせると、つまりアリは仮面ライダーみたいなイメージになる感じ?

そうそう、そんな感じですね。


大村正樹

あぁ〜。

本当に完璧な防御スーツを着て、兵士みたいになるかもしれませんね。


大村正樹

けっこうアリの頭とか固いんですね。

固いですね。それから、アリはあごも発達しているから、咬まれると痛いこともあるでしょ?


大村正樹

痛いですよ〜。

それからハチと同じで種類によっては毒針があるので刺すこともできるし、けっこうパワーがありますよね。


大村正樹

はい。質問は「ライオンと戦ったらどっちが勝つか?」という…。

これはちょっとなかなか難しいところですね。アリはかなり完璧な兵隊さんとなるかもしれないけれど、アリがどれぐらいのスピードで動けるかはわからない。


大村正樹

はい。

それはアリの体の構造−足が6本あって動いているわけですが、ライオンはわれわれがよく知っているように、いざとなったらものすごいスピードで身のこなしが速いですね。


大村正樹

ええ。

ですからアリが襲ってきたとしても、たぶんなかなかライオンをつかまえることができないんじゃないかと僕は思っているわけです。


大村正樹

はい。

そういった意味ではアリのほうはかなり強そうに見えるけれども、ライオンをつかまえて攻撃することはできない。むしろライオンのほうは、後ろに回ったりしてお尻のほうが弱いですから攻撃することもできるかなという…。


大村正樹

アリのウィークポイントはお尻?

そうですね。体の上のほうはかなり固いですから、お尻というかお腹ですね、一番後ろのほう。


大村正樹

ほぉ〜。

そういったところをライオンのほうは攻撃することになると思うので、どっちが勝つかはなかなか想像できないですね。


大村正樹

何か、武井壮さんの会話みたいになってきましたけど(笑)。イージーなのかどうかという問題。やっぱりアリは強いけれど、ライオンの身体能力と比べると想像はできない。

そうですね。お互いに強いところと弱いところがあるでしょうから。


大村正樹

ほかに、「トラとライオンは戦ったらどっちが強いか?」という話は?

う〜ん、ちょっとその辺もよくわかりませんね。実際に戦ったところを見てないので。意外と想像で考えてみると面白いですけれど、実際に自然界ではそういうことが起こってないんですね。


大村正樹

そういう異種格闘技みたいなことは起きてない?

ほとんど起きてない。それは、やっぱり自然の中ではバランスが保たれていて、自分の領域が決まっているわけですね。異種格闘技をやる必然性が全然ないんですね。


大村正樹

ええ。

つまり、それぞれが分かれて自分の領域で生活しているのがほとんどで、むしろ格闘するのは例えばオス同士が自分のお嫁さんを獲得するために仲間同士でケンカをする。これも最後まで、殺すところまでいかない。どっちが強いか決まったら、そこでおしまいになりますね。


大村正樹

はい。

あとはライオンみたいな猛獣類がある生き物を襲った時に、それに反撃してくるくらい。だから、実は自然界は争い事がほとんどないんですよ。


大村正樹

そうかぁ。

ですから異種格闘技はほとんど起こってないし、争っているように見えるけれど、それは自然の中で動物が生きていく法則の中でやっていることでしかないんですね。


大村正樹

ハブ対マングースショーを沖縄で見たんですが、マングースもすごくやりづらそうだったんで、そういうことなんですね(笑)。

そうですね。


大村正樹

人間が仕込んだという(笑)。

ですから、必ず自然界は食べられる側と食べる側って関係が決まっちゃっているんですよ、ほとんどの場合には。


大村正樹

そうか。

それに反撃して追い返すことぐらいはできるけれども、食べる側だったものが食べられる側になるという生物の関係はほとんどないですからね。


大村正樹

もう時間、あっという間でした。また質問が来たら、いらしていただこうと思っています。今週のサイコーは、科学ジャーナリストの寺門和夫さんでした。ありがとうございました。

どうもありがとうございました。


大村正樹

最後は猛反省だなぁ。人間が勝手に動物を戦わせて、それをビジネスにしちゃっている。これ、まちがっているというのが、よくわかりました。それでは、また来週も夕方5時半に会いましょう。バイバ〜イ!