
キッズのみんな、こんばんは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。明日は日曜日だけれど、文化の日です。三連休というキッズも多いんじゃないですかね。文化の日だけれど、この番組は科学。今回も宇宙に関するちょっとおもしろい、とっても気になるお話をうかがいます。お知らせの後、サイコーの登場です。

今週も有人宇宙システムの長谷川洋一さんにお越しいただきました。こんばんは。
こんばんは。

前回のイプシロンロケット、おもしろいお話でした。今年も残り2ヵ月を切りましたんで宇宙の話を総ざらいでうかがいたいんですけれど、まず宇宙飛行士の若田光一さんが、まもなく日本人初の国際宇宙ステーションの船長になるという。
はいっ!

これ、すごい話じゃないですか!
最高ですねぇ!

泣きそうになってますねぇ。
いやいやいや(笑)。

「ついに来たか、この時が!」という感じですか?
やっと来たかぁ(笑)。

2ヵ月ほど前に、若田さんにお会いになってるそうですが。
実はそうなんですね。

へぇ〜、すご〜い! 何かシャトルがなくなってから「宇宙飛行士の誰々が飛び立った!」というニュースがあまり耳に入ってこないのが気になるんですけれど。
そうですね。「ソユーズ」で宇宙に行ってますので。

ソユーズロケットの打上げ
「©JAXA/NASA」

ISSに接近するソユーズ
「©JAXA/NASA」
※ISS:International Space Station/国際宇宙ステーション

ロシア。
ロシアです。あまり報道の映像とか見ませんよね。

やっぱりお国柄とかあるんですか?
遠くて行きにくいですから、テレビのニュースにたくさん出ないみたいですね。

日本の記者の方が行きづらい?
行きづらいんじゃないでしょうかねぇ(笑)。

なるほど。いわゆるメディアの事情でちょっとニュースとしては…。
ハハハハハ。

国際宇宙ステーション、3人ぐらいの方が滞在してますよね。
6人ですね。

6人滞在していて、その船長になるんですね。
そうですね、ついに!

日本人は若田さんが初めて?
そうです、はい。もう世界に宇宙飛行士は100人ほどいますけれど。

100人しかいないんですか。少ない。
その若田さんは、「トップテンに入るだろう」といわれるぐらい信頼されてるんです。

ほぉ〜。
それほどの素晴らしい実績と信頼、そして仲間からの厚い信望を得ている。

へぇ〜。船長はどんなお仕事をやるんですか?
船長は、宇宙ステーション全体を見なければいけません。実験もやるんですがやっぱり宇宙ステーションのおかしいところはないかとか、ちゃんと飛んでいるか。それから地上との報告、地上からの指示を受ける。こういったことをやるとともに、一緒に乗っている宇宙飛行士たちの活動も全部管理しなければいけないわけですね。

ええ。
6人であれだけ大きな宇宙ステーション、ジャンボジェット機と同じぐらいの広さがあって、その中でいろんな機械が動いてますから、常にどこかがおかしかったり予定がくるったり、こんなことだらけなんですね。

ふ〜ん。
そういったことの判断を宇宙でやらなければならないということで、これは責任重大なんです。実は若田さんにこの間会ってきましたが、前向きでやる気満々で、いわゆる緊張して心臓バクバクではなく「やるぞ! 楽しいぞ!」という雰囲気でした。

もう4回目ですかねぇ、若田さんは?
そうですね、宇宙に行くのは4回目です。

ある程度慣れてきて、いよいよトップにのぼりつめるということで。
そうですね。もう「来るべくしてやるぞ!」という。

何かイメージ的には、僕と宇宙の関係は『戦艦ヤマト』の艦長とか…。
ハハハ。

『キャプテンハーロック』とか何か攻撃の対象になってくるんじゃないかと思ったけれど、そういう問題は起きず粛々と宇宙ステーションを守るという。
そうですね。

地球との交信をするとか、こういうことが役割になってくるわけですね。
ええ。

そうかぁ、いやいやいや。
ついこの間ですがNASAの長官、それから初めて月に行ったオルドリン飛行士も「若田船長、がんばれ!」というエールをおくってくれているんですね。

ほぉ〜。
さらにはハリウッドの女優のサンドラ・ブロックさんとか、そういった方々も「若田さん、ワンダフル!」、「ファンタスティック!」といってくれて世界からも注目されてます。

そうですか。それから2ヵ月ほど前、「ボイジャー1号、36年前に打ち上げられた宇宙船が太陽系の外に出ました」とニュースになってたじゃないですか。
これもすごいですねぇ!

36年というと、たぶんキッズたちのお父さんが生まれる前ということもあるでしょう。
ちょうどお父さんお母さんが生まれたかどうかという年ぐらいですね。

僕は松任谷由実さんが『ボイジャー』というアルバムを出したんで、そこから興味を持っていたんですけれど。
年がわかりますね(笑)。

僕が小学生の頃ですよ。1977年9月5日、ボイジャー1号が打ち上げられました。この日は、あの王貞治さんが1回目の国民栄誉賞を受賞した日。
あぁ。

国民栄誉賞、初めての受賞が王貞治さん。それまで国民栄誉賞という考え方はなくて、でもその日にボイジャー1号が打ち上げられた。「何でまだボイジャー1号が飛んでいたのかな?」という。
なぜ生きてるかというのは、まず電池が原子力電池なんですよ。

えっ、当時から?
そんな怖いものじゃないですよ。すごくちっちゃくて弱いもので、それを節電して節電して使っているんですね。

原子力電池!
何で太陽電池じゃないかといいますと、太陽電池は太陽の近くでしか使えませんよね。

だって太陽系の外に行っちゃったから、もう太陽電池は…。
ダメです。太陽電池は使えないんですよ。

原子力電池で今まで生きてるんですね。
そうです。それも切ってつけて切ってつけてで、やっとこさっとこ生きているんです。

太陽系の外に出て、ボイジャーからおくられてくる太陽系の外の情報は何かあるんですか?
はい。これからひょっとすると宇宙人が見つけてくれるかもしれません。今現在は何もないところを飛んでますけれど、例えば何万年と飛び続ければ次の星、隣の星に行き着くだろうといわれてます。

えっ、どこの星?
どこでしょうね、次の星なんですが(笑)。

太陽系以外の星にボイジャーが…。
近づく。それには何万年もかかります。

ボイジャーの原子力電池は何万年持つんですか?
電池は、残念ながらあと10年持つかどうかというところですね。

えっ。
持たなくても、実はボイジャーは金色のレコードを積んでいるんですね。地球から宇宙へのメッセージを積んでいます。

ということは10年で電池は切れちゃうけど、宇宙人がひろってくれたらレコードを再生できるということですか?
そうですね。そういう地球からのメッセンジャーとしての役割を果たすんです。

今、僕は半分冗談でいってますけれど、有人宇宙システム的にはOKなんですね、こんな話をしても。
はい。

本当に?
きっと宇宙人がひろってくれて、その時レコードの表面に「どうやったらこのレコードがかかるのか」が描いてあるんです。

書いてある(笑)。
絵で描いてあります。レコードというのがいいですよね。

CDはない時代ですね。
もしかしたらキッズのみんな、レコード見たことないかもしれない(笑)。

そりゃそうですよ(笑)。でも、何となくレコードといったらわかるけれど。
針でカリカリとかけるあれです。

レコード針も積んでるんですか?
積んでるんですね、これが(笑)。

じゃあ、レコードを再生する機械はある?
それは宇宙人ですから、きっと持ってると思います。

向こうが持ってる?
それで、何が入ってるでしょう(笑)。

ちょっと待って、ちょっと待って。三波春夫さんの歌、『世界の国からこんにちは』。
それです、それです。『世界の国からこんにちは』。

えっ、入ってるの!?
入ってます。

「こんにちは〜こんにちは〜、世界の♪」これが入ってるんですか?
歌じゃないですけれど。

歌じゃない。
ちゃんと日本人も、日本人のある女性の声で「こんにちは、お元気ですか?」というメッセージと、世界中の国からの「こんにちは」が入っています。

そうですか、いやぁ〜。もう1回整理すると、今ボイジャーは太陽系の外に出た。それで向こう10年以内に電池が切れちゃうから、その間に宇宙人が回収してくれてレコードを再生するというのを待っているんですね。
そうですね。10年越えてもだいじょうぶですよ。たぶんレコードはずーっとだいじょうぶですから。

レコードはまだあるから。
何万年先でもだいじょうぶです。

どこかで宇宙人がそれを見つけてくれたら、再生してくれるんですね。
はい、そうです。

「聴きました」と地球に報告が来るのは、また何万年も後かもしれない。
明日かもしれませんよ(笑)。

アハハハハ。時間だぁ。ありがとうございました。夢がふくらむなぁ。今週のサイコーは、有人宇宙システム株式会社の長谷川洋一さんでした。ありがとうございました。
ありがとうございました。

あらためて確認するよ。今から36年前に地球を飛び立ったボイジャー1号の機体の中にはゴールドレコード盤、金色のレコード盤が搭載されている。そして世界各国の言語の「こんにちは」−「ハロー」「ニーハオ」、いろんな言語で宇宙人に聴いてもらいたいということですね。これは衝撃ですねぇ。いやぁ、夢がふくらみますねぇ。いやぁ、宇宙人。レコードを聴いたら、ぜひサイエンスキッズに出てください。それでは、キッズのみんなも楽しい週末を。バイバ〜イ!