
キッズのみんな、こんばんは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ、今週もリニアモーターカーについて話を聞いてみたいと思います。みんなは名古屋へ行ったことある?名古屋まで「のぞみ号」で行っても1時間40分ぐらいかかるんだけれど、リニアなら45分で行けちゃう。ちょっと名古屋が近いですよ。お知らせの後、サイコーに詳しく聞いてみま〜す。

今週のサイコーも鉄道技術ライターの川辺謙一さんです。こんばんは。
こんばんは。

先週うかがった500キロを体験したお話、とてもおもしろかったんですが、聞き足りてなかったところ−160キロまでは車輪があって160キロ越えるとふわっと浮く、磁石の反発で。
はい。

リニアモーターカーって500キロで走る。浮いている時は地上から離れているんですよね。何メートルぐらい浮くんですか?
何メートルもいかない…。

何センチ?
約10センチです。

10センチ浮いてる。何トンもある車体ですよね。新幹線みたいなあの車体が10センチ浮いてる!
そうです。

これ、絶対10センチから縮まらないですか?
そうですね。10センチを保つようにつくられています。

10センチでヒュッと浮いてる。
はい。ずーっと浮き続けるようにつくってあります。

上にパンタグラフみたいなものはあるんですか?
パンタグラフのような直接電気を取り込む装置はないんですが、電気を外側から取り込む装置はあります。

ほぉほぉ〜。電線から電気をもらうんじゃなくて?
そうですね。

エネルギーを外からもらうための装置はついてる。
そういうことです。ただ、どこにも触れてないという。

どこにも触れてないけれど、500キロでシューッと走るんだ。
走ります。

でもカーブとかあったら、どこかでガツンとぶつかったりしないんですか?
それはちゃんとガイドウェイという線路に相当するものの真ん中を走るようにつくられています。具体的にいうと、車輌が少しでも左右どちらかに寄ると、磁石の力で真ん中に戻るようになっています。

どんな状況でも?
はい。近寄ったほうが反発する力、離れたほうがくっつこうとする磁石の力が働くので自動的に真ん中を走るようになっているんです。

本当に磁石の反発の力だけで、ちょうどセンターをキープしながら500キロで走れるというシステムなんですね。
そうです。

何かボブスレーやリュージュの選手を見ていると、勢いあまって飛び出したりするじゃないですか。あんなふうにならないのか心配しちゃったんですけれど。
そういうことが起こらないようにつくってある。

絶対だいじょうぶ?
はい。

でも10センチって、あるようで意外に狭いなと思うんです。その10センチも、500キロ出ても絶対に反発でそれ以上ガツンとぶつかることはない?
ええ。そういう確率が低くなるように、高く浮いているわけです。

意外に浮いてるなぁと思いましたね。1ミリや2ミリの世界かと思ったんですが、10センチはけっこう意外だったですねぇ。あんな重いものが…。
はい。

乗り心地は地上にふわっと上がったら、全く何も感じない。
もちろん若干音はしますけれど、電車のような揺れはないんですね。

会話などはできるんですか?
会話は、試作車の場合は音が大きかったのでちょっと続かなかったんですが、これから営業運転に入る車輌ではだいぶ改良されていると聞いています。

ほぉ〜、いいですねぇ。これ、2027年といわれてるじゃないですか。
そうですね。東京から名古屋まで開通するのが2027年なんで、14年後。

本当に実現するんですかねぇ。何かすごいなぁと思って。でも14年といってもあっという間だから、近い将来リニアモーターカーに乗れるんですね。
ええ。

リニアという言葉はどういう意味ですか?
一般的にリニアといわれているのは、リニアモーターカーの略として日本ではよく使われています。

そうなんですか。リニアモーターカーを略したのがリニア。
リニアというのは、「直線状の」という意味の英語です。

直線状のモーターカー?
直線状のモーターカーというよりは、モーターを直線状にしたという意味です。普通のモーターは円筒形状、丸い筒のような形をしていて磁石の力で軸が回転するというもので、リニアモーターは磁石の力で動くのは同じですが直線状にまっすぐスライドするように動く。

ふ〜ん。
リニアモーターの半分を車輌側、半分を線路側につけることによって車輌が動くようにしたのがリニアモーターカーといわれています。

なるほどね。何でも東京都内でいち早くリニアモーターカー体験できる鉄道があるんですって?
そうですね。このシークレットラボのすぐ近くを走っている地下鉄大江戸線が…。

大門駅ありますよ。
ありますね。あそこでリニアモーターカーがすでに走っているんです。

ちょっと待って、ちょっと待って。大江戸線、みんな乗ってますよ。
ええ。

えっ、リニアモーターカーが走ってる!?
走ってるんです。あれは浮いてはいない。車輪で車体を支えてはいるんですけれど、車輪は前に進むために使われてはないんですね。リニアモーターで動いているんです。
電車は普通の円筒形状のモーターで車輪を回して、その車輪とレールの間に働いた摩擦を利用して動いています。

そうか。普通の電車や地下鉄はモーターで動くけれど、大江戸線だけはリニアモーター?
リニアモーターで動いてるんです。

何をチェックすればいいですか?
駅に行ったら、まず線路を見ていただくと2本のレールの間に金属の板が置いてあります。

何色ですか?
まぁ銀色ですね。

銀色。ちょっと待ってください。乗りたい、早く帰りたい!
フフフフフ。

線路の間に銀色の板がある?
これがリニアモーターの半分なんです。もう半分は、実は電車の台車といわれる車輪がついてる部分に電磁石がついています。

本体が来る。そうしたらその下には反発する磁石がついてる!
はい。

それは見るのは怖い、危ない。危ない。
フフフフ。

だけど、電車が入ってくるまでの間のレールを見ればいいんですね。
そうですね。

いやぁ、一刻も早く見たい! それはさっきからいっていた磁石のNとNの反発、SとSの反発を利用して、その力で大江戸線は走ってるんですか?
そういうことです。

10年ぐらい前に愛知万博があったじゃないですか?
はい。

あの時も「日本発のリニアモーターカー」って宣伝してましたよね。あれはもう取りこわされたんですか?
いえ、今も走っています。

有名ですか?
「Linimo(リニモ)」という名前で今もずーっと走っています。

リニモ?それはどういう仕組みですか?
これは普通の電磁石を使っています。中央新幹線に導入される超電導リニアではないんですけれど、普通の電磁石を使って浮いて走っています。

やっぱりそれも浮くんですか?
これは車輪がついてなくて、ずーっと浮いてる。

浮きっぱなし。何センチぐらいですか?
これは約8ミリ、1センチ弱。

そうか。速度が遅いと8ミリぐらいでもスルスルスルッと走る。
はい。中国の上海の「トランスラピッド」というリニアモーターカーは、これも約8ミリしか浮いてないんですけれど時速430キロで走っています。

それ、上海万博の時に有名になったやつですよね。
そうですね。空港と街を結ぶ列車です。

15分で結んじゃうという。リニアモーターカーが500キロ走行中に、もし東日本大震災クラスの地震が起きたらどうなるんですか?
そういうことも想定して高く浮き上がっているんですね。

なるほど。
普通の電磁石よりも強い磁石の力を発揮する超電導磁石を使っているから、10センチ浮き上がることができる。

へぇ〜。何かすごくときめくお話でもあり、日本の技術に安心し、大江戸線にショックを受けて一刻も早くこのラボから脱出したくなってきました。早く帰りたいと思ったの初めてです。
フフフフフ。

ちょうど時間ですね。いやぁ、ありがとうございました。また来てくださいね。今回のサイコーは、鉄道技術ライターの川辺謙一さんでした。ありがとうございました。
ありがとうございました。

いやぁ大江戸線ね。ホームに転落防止のガードがついている駅とついてない駅があると思うんだけれど、くれぐれも気をつけてみんなもチェックしてみてね。これ、お父さんお母さん知ってました?大江戸線はリニアモーターカーの一種だったという。“灯台下暗し(とうだいもとくらし)”ですねぇ。だんだん気温も下がってきますから、みなさん風邪などひかないように。来週も夕方5時半、元気に会いましょう。バイバ〜イ!