
キッズのみんな、こんばんは。サイエンステラーの大村正樹です。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。さぁ、今日も金属から日本史を見る科学を取り上げます。先週、お金の話をしたよね。日本のお金、1円玉はアルミニウム。でも、あとの5円玉10円玉50円玉100円玉500円玉は、ぜ〜んぶ主な成分は銅。驚きましたね。ニッケルという金属が加わることによって銀色に輝くという話ですよ。さて今日は、昔話で聞いたことあると思うけれど、小判についてです。「小判って何よ?」「何でできてるの?」「どんな金属なんだろう?」。もちろん金だよね。だけれど本当に金なのかな? 小判に関する“目からウロコ”のお話だそうです。お知らせの後、サイコーの登場で〜す。

今週のサイコーも歴史とロマン、そしてお金の話ですよ。国立歴史民俗博物館 研究部教授の齋藤努先生です。こんばんは。
こんばんは。よろしくお願いします。

先週は古いお金、硬貨に関して興味深いお話をうかがいました。齋藤先生は吉川弘文館から『歴史文化ライブラリー 金属が語る日本史』という本を出版されていらっしゃいます。金属をひも解いてみると日本の歴史、当時の人々の暮らしがかいま見えるということでございます。齋藤先生は、かつて佐倉にある国立歴史民俗博物館の展示で小判を復元したことがあるという…。
はい。企画展示で「お金の玉手箱」というのをやったことがありまして、その中で小判の復元をやりました。

小判なんて漫画でしか見たことないですよ。あとは時代劇でちょっと出てくるぐらい…。
そうですね、はい。

小判って金色のお金ですよね。どういうものですか?
金と銀が混ざってできているんですけれども。

小判は純金じゃないんですか?
純金じゃないです。

銀を入れているんですね。
はい。ただ江戸時代に10種類の小判がつくられているんですが、金の割合がけっこう変わってまして、一番金が少ないのは56パーセントぐらいしか入ってないです。

56パーセントというと、貴金属表記をすると14金あたりですかね。
そうかな。ちょっとごめんなさい、計算しないとわからない(笑)。

14金ぐらい…。それが少ない時は56パーセント。
はい。多い時は87パーセントぐらい入っています。

これはかなり純度が高いですね。
ええ。始めの頃はそれぐらいの金が入っていました。

23金ぐらいまでいくかもしれませんね。24金とか(笑)。
フフフフ。

何で変化したんですか? だって30パーセント以上変化がありますよ、56から87というと。
これは結局、金は例えば佐渡金山などでとれたんですけれど、1年間でとれる量が決まっていたんですね。決まっていたというのは、とれる量自体がやっぱり限度があって、ある一定量以上はとれなかった。

ええ。
ただ幕府としてはお金をたくさんつくって発行してもうけたいとか、そういうことを考えていたんです。経済活動を活発にするということですけれど。

はい。
そうすると、限られた金の量でたくさん小判をつくろうとしたら、やっぱりどこかで水増しをして薄めてやらないといけない。

へぇ〜。
それで金よりもたくさんとれる銀を混ぜて、金の濃度は減らして枚数をかせいだということだったみたいです。

今年の秋は食品の偽装が問題になりましたけれど、江戸幕府はこれを不問に付したわけですかねぇ。
幕府がつくっていますから(笑)。

自分たちでやっているわけですもんねぇ。庶民はまず気づかないですよね。
庶民も気づいていたみたいですよ。

あっ、気づいていたんですか(笑)。何でわかるんですか?
今回の小判は少し金の量が少ないというのは、例えば試金石というものがあるんですけれど・…。

試金石、日本語としてありますよね。
はい。

試金石という石があったんですか?
そういう石があるんです。

試す金の石。
そうです。黒い石で、そこに金と銀が混ざったやつをギュッとすりつけると跡がつくんですね。

えぇ〜!
その色でもって、一体どのくらいの金の量かがわかるんです。

だから試金石という石が存在していて、それが今でいう例え話になっているんですか?
そうですね。

いやぁ、すごい話だ!小判を今日お持ちいただいたと聞いたんですが、実際先生がつくられた復元小判。
はい、再現した小判です。

今、ラボで木箱と名刺入れがあって、名刺入れのほうからなぜか復元小判が登場しました。
何で2種類かというと、こっちが江戸時代の元禄小判という金の濃度56パーセントぐらいのものを復元した、そのままのものです。

徳川家の出した。えっ、ちょっと待ってください。そのもの?
実物じゃなくて、それと同じ含有量でつくったものです。

今、私の目の前に元禄小判があります。齋藤先生が何年前に復元されたんでしょうか?
13年前かな?

13年前、2000年ミレニアムの年に復元した元禄小判。ひとついっていいですか?
はい。

こんなこといったら先生に怒られるかもしれませんが、ペラッペラッとこう曲がるんですけれど。
あっ(笑)。

すみません、何ですかこれ?
それはですね…。

ペラッペラッ。
ひとつは薄いですよね。

薄い!
すごく薄いと思います。

金属だからカチカチかと思ったら、ペラッペラッ。
ええ。

これ以上やったら折れちゃう。
復元の仕方でどうしても…。何といいますか、ソリがついちゃったんですね。

意外に柔らかくて薄いんですね。
実物はもっと硬いです。

そうですか。
復元した時にちょっとやり方があまりよくなくて、そういう風になっちゃったんですけれど。

元禄小判、今でいうと1枚でいくらぐらいの価値があるんですか?
それはすごく難しい質問で(笑)、だいたい10万円ぐらいといわれてます。

10万円! このご時世に10万円札すらないんですけれど、小判1枚で10万円の価値がある。
はい。

これは石川五右衛門がとりたくなるのもわかりますね。
そうですね(笑)。

ねずみ小僧とか(笑)。けっこう軽いですもんね、これで10万円。
そうですね。

1万円札10枚持つよりも、はるかにかさばらない。
はい。

これは金の含有量はどれぐらいですか?
それが56パーセントぐらいです。

56パーセント。確かに金色は弱いです。若干金色というか、500円玉みたいな色をしていますね。
そうですね、近いです。

黄色がかった銀色というか、プラチナ色というか。
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はい。本来はそういう色なんです、56パーセントの金が入っているものは。ですけれど表面処理をしていて、色揚げとか色付けというんですが薬品を使って処理をすると表面が金色になるというのが一番最後の工程にあるんですね。

金属そのものを型にはめてつくったのではなくて、最後に色付けをしているんですか、江戸時代の小判も?
-
そうです。

そういう技術もあったんですね。
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ええ。薬品を塗るとこういう色になるんです。

あらっ先生、金ピカのお金が出てまいりました。すみません、ごめんなさい。元禄小判をバカにしてました。
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ごめんなさい(笑)。

500円玉のちょっと黄色いやつといってましたけれど、同じ型の小判に色をつけているんですね、金色。
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そうです。

いわゆる小判が目の前にあります。
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はい。それが実物の小判に近い色だと思います。

これが、先生が復元された小判。最初に見せていただいたものはペラペラしてましたけれど、上から金色を塗ったことによってガッチリと。
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きちんと加工してあるんでガッチリしてるんですけれど、厚さはたぶん変わらないと思います。

そうですか、わかりました。ありがとうございました。歴史民族博物館、千葉県佐倉市。ここに行くといろいろと歴史がわかりますよね。
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はい。

ここはどういう子たちが行けば楽しめますか?
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歴史好きの子たちがすごくたくさん来てくれているので、特にやっぱり歴史に興味がある人に来てほしいですね。

そうですか、わかりました。歴史も小学生から習い始めますので、関心を持ったらぜひ行ってみてはいかがでしょうか。またお時間になってしまいました。今週のサイコーも国立歴史民俗博物館 研究部教授の齋藤努先生でした。ありがとうございました。
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はい、ありがとうございました。

今日見てさわらせていただいた小判、感動しました。金が入っているんです。これ番組のホームページで後日アップするので、ぜひ確認してみてください。あと「試金石」、いい言葉をおぼえましたねぇ!今月はもう終わりかぁ。あっ、今年もあと1ヵ月だねぇ。それではみんな、すてきな師走を迎えてください。バイバ〜イ!