キッズのみんな、こんばんは。サイエンステラーの大村正樹です。今年最後の放送だよ。今週も東京浜松町にある秘密の科学研究所シークレットラボからお送りします「大村正樹のサイエンスキッズ」。2013年最後のサイエンスキッズは、来年2014年に期待される科学について。来年、もう未来の話だね。来年の科学の世界はどんなことが起きるのか? おなじみのサイコーが注目のジャンルについてお話をしてくれます。
今年最後のサイコーはほんとにお世話になりました、科学ジャーナリストの寺門和夫さんです。こんばんは。
こんばんは。
最終回ですから、はりきっていきますよ。
はい。
さぁ、来年の話をしましょう。来年は2014年。来年2014年に期待される科学について、寺門さんがきってくれます。まずは何ですか、期待されることは?
そうですね。いろいろあるんですけれど、やっぱり「はやぶさ2」じゃないですかね。
おっ、おぉ〜!また飛ぶんですね。
そうですね。みなさん、「はやぶさ」のことはよくご存じだと思いますけれど。
そうですよ、イトカワ。
そうですね。イトカワまで行って戻ってきて。
日立ハイテクの電子顕微鏡が…。
そうです、そうです。
物質をとらえたんです。
微粒子でしたが、ちゃんと顕微鏡でみるといろんなことがわかったわけですね。
はい。
「はやぶさ2」という次の計画がずっとありまして、いよいよ2014年の12月に飛ぶことになって順調に準備が進んでいるという状態ですね。
このミッションは何ですか? どこへ行くんですか?
「はやぶさ」はイトカワという小惑星に行きました。「はやぶさ2」もねらうのは小惑星です。
小惑星。
小惑星は、いってみれば太陽系の空間の中にたくさんまわっている小さい惑星、天体ですね。
はい。
ただそこにはいろんな種類があって、構成される岩石の成分によっていくつも分かれているんですね。「はやぶさ」が行ったイトカワとは別のタイプの小惑星をターゲットにしようと今回は考えているわけです。
ほぉ〜。まだ決まってないんですか?
決まっています。それは名前がついていて、「1999JU3」という小惑星です。
えぇ〜!?おぼえにくい。
ただ「はやぶさ2」が打ち上げられてこの天体に向かうことになれば、たぶんイトカワみたいに名前がつくと思います。
「はやぶさ」の成功は、やっぱりイトカワという宇宙開発の父の小惑星に行った、糸川教授のもとに行ったわけでしょ。だから日本人は注目したわけで、「1999JU3」がどういう名前になるかはたぶん世の中の耳目を集めるのに非常に重要ですよね。
そうですね。イトカワもこういう番号がついていたものを「はやぶさ」が打ち上げになってからイトカワという名前にしてもらった。
あと付けだったんですか!
つまりこれも発見者が名前をつけることになっています。イトカワはアメリカの天文台で見つかった小惑星で、「はやぶさ」がその小惑星に行くことが決まったのでイトカワという名前をつけてもらったという経緯があります。
じゃあ、日本の名前をつける可能性が大ですね。
ですから、今回も「はやぶさ2」が打ち上がって間違いなくその小惑星に向かうことになれば−ちょっと僕はこの小惑星の発見者のことは知りませんが、たぶんイトカワと同じように日本にちなんだ、あるいは日本の惑星科学やロケット技術に関係したような名前がつけられるんじゃないかと思いますけどね。
何だろう?想像すると楽しいですね。
そうですねぇ。
やっぱり「はやぶさ」は、最大のサンプルリターンという物質を持ち帰った。当然、今度の「はやぶさ2」もそれを重大なミッションにしているわけですよね。
もちろん、そうですね。今回はすごいですよ。「はやぶさ」はイトカワの表面に降りて、その表面のサンプルを取ってきたわけですね。
はい。
今度はもちろんそれもするんですけれど、一度相手の小惑星からちょっと離れたところで弾丸を発射して、相手の小惑星に穴をあけるんです。クレーターをつくるんですね。
へぇ〜。
つまり、ちょっと穴を掘ってしまう。
すごい!
その掘った穴の中に着陸して、そこからサンプルをとってくる。つまり小惑星の中にある物質をとって来ようという、表面ではなくてね。
ほぉ〜!
今度は、実はそういう仕掛けをしているんです。
これがうまくいくといいですよね。
ええ。
「はやぶさ」もいろいろトラブルが起きたりして…。
そうですね。
バッテリートラブルとか…。
ともかくその辺のトラブルはずいぶんあったので、もちろんそれは全部改良してますね。すべてを改良した上に新しい試みで小惑星に穴をあけて内部の物質を持ってくるという、ものすごいチャレンジングをすることになっていますね。
そうか。「はやぶさ2」は巣ごもるんですね、穴に。
そうですねぇ。
ほかに期待される科学は?
そうですね。あとは日本の産業にとってとても大事なことがあって、それはいわゆる資源材料ですね。工業製品の材料ね。日本というのは国土も狭いし資源はそれほどないんですが、実は最近日本の周りの海底にたくさんレアアースという物質があることがだんだんわかってきたんです。
レアアースって新聞やテレビでいいますけれど。
よく出るでしょ。
あれは何ですか?
つまり、こういうことです。レアアースは、元々はあまり地球に大量には存在してない元素なんです。けれども、その元素を使うといろんな工業製品がすごい高性能を発揮するようになる、そういったものです。
ええ。
いってみれば、化学調味料みたいなものですかね。材料にちょっと加えると、例えば磁石がすごい強力になったり、それからすごくきれいなレーザーを発光したりすることが可能になる。
加味することによって、それが増すということ。
そうです。ちょっとだけあればいいんですけれど、やっぱり資源の量が少ないのでとても貴重品なんですね。
へぇ〜。
実はいつも問題になるのは、いろんな資源問題に政治の問題がからむと、やっぱり輸入していますからだんだん手に入らなくなるとか、そういった問題が出てくるんですね。
はい。
今、実は携帯電話なども資源を回収しようとしていますね。
レアアースがあるといいますものね。
そうです、あの中にいっぱいあるんですね。だからああいう風に再利用するくらい大事なものなんですよ。
レアアースって海の底から出てくるとか中国の山奥にあるとか、いろいろといわれているじゃないですか。
-
そうです、そうです。
日本の場合は海底から見つかったというじゃないですか。海の底で泥にまみれているんですか?
-
泥の中に入っているんですね。
どんなふうに見えるんですか?
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普通の泥と同じですね。その中の成分がそういった物質なんです。
へぇ〜。
-
例えば中国やインドは、鉱山みたいなものですから岩石の中に含まれる。日本近海の場合は、どちらかというと海底に積もった泥の中にそういったものがありそうだとわかってきているわけです。
レアアースは、金属がボロボロッと出るんじゃなくて…。
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固まりになっているわけではないです。細かく分離しているので、これを取ってきてたくさん集めるのもまた技術がいるわけです。むしろ、僕はやっぱりその辺のところをこれから日本も頑張って開発してほしいなと思いまして、来年期待されるサイエンスのひとつにあげたのはそういうことです。
いわゆるその物質の宝の宝庫が海底にあるのもさることながら、それを取り出す作業、技術ということですね。
-
そうです。ある程度あることがわかったんだけれど、取り出す技術から開発しなければいけない。取り出して、その中からレアアースだけを取って使える材料として精製しなければいけない。
はい。
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そこまでのことをやらなくちゃいけないので、かなり時間はかかると思いますけれど、でもやっぱりそれをやっていかないと。世界的に資源問題はすごく大きな問題で、いずれ今のまま世界中の国が使っていたら当然なくなってくるわけですね、有用な金属や物質は。だから、そうならないように一方でリサイクルを進める。
ええ。
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それから、海の底のような今まで使ってない資源を有効に利用することがとても大事だと思うんですね。
いやぁ、そうかそうか。海洋資源大国を目指すとは、そういうことですね。
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排他的経済水域といいますけれど、この面積は、日本はすごく多いんですよ。
広いんですよね。
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面積でいうとすでに海洋大国だけれど、その中で活動しなければいけないわけだから、お魚をとるだけではなくて海底の資源−レアアースもあるしメタンハイドレードみたいな新しいエネルギー資源もあるかもしれない。もっと日本の海を利用することをやったほうがいいんじゃないかなと思いますね。
財産が実は多々あるということ、それをになっていくのは君たちだよっ!頼むよ!
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そうですね。
ということで、今年最後の放送となりました。寺門さん、今年もありがとうございました。
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どうもありがとうございました。
みんな、レアアースという言葉を聞いたことがあったと思うんだけれど、何か勝手に“海の底に眠るダイヤモンド”とかそんなイメージしてなかった?そうじゃないんだね。ドローッとしたものの中から、日本の科学技術によって物質を抽出する、そういう研究なんですねぇ。今年の年の瀬の最後の最後に、重要な知識を僕は得ましたよ。みんなは今年、この番組を通じていろんな知識を得てくれたかな?来年も引き続きがんばってこのサイエンスキッズを放送していくので、ぜひよろしくお願いします。それでは、今年はここまでです。みなさん、よいお年を。また来年!